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第526話 監禁場所を発見し殴り込む

【魔導レーダー広域探知結果出ました、ディスプレイに表示します】


 ピコンと音を立ててサブディスプレイにマップが表示され、竜結晶のある場所が赤くポイントされた。


「なんだ、結構あるな、絞り込めるか?」

「宝石店にある物は違う。貴族の舘にある物も今は除外していいだろう」


 秘密結社をやってるような貴族が自分の家に人質を監禁するとは考えにくいしね。

 探すのは、変な所にある光点だ。

 スラムや下町、竜結晶が無さそうな場所の独立した光点。


 王都内の光点は宝石店、鉱物博物館、貴族の舘が多い。

 下町には点いてないな。

 少し移動しながら反応を拾うか。


 あ、そうだ。


「カーチス、大神殿に向けて照明弾を撃って」

「何のために?」

「リンダさんを呼び出す」

「なるほど」


 カーチス兄ちゃんは火器管制ハンドルの引き金をしぼって照明弾を発射した。

 ジジジと音を立てながら光球が大神殿を照らす。

 私は伝声管を開いた。


「聖女候補マコトより緊急出動要請、リンダ師の支援を要請します。飛空艇の後に追随してください」


 モニターの中の大神殿に動きがあった。

 リンダさんが馬にのって出てきた。

 甲冑を馬上で着替えている。


「リンダ師がいれば安心だな」


 カーチス兄ちゃんが笑いを含んだ声で言った。


「光点……、王都外……、墓場近く……」


 エルマーが怪しげな光点を発見した。

 墓場の隣の家にぽつりと一つ赤い光点がある。


「よし、近づいて精密走査をしよう」


 私は舵輪を回して北の墓場に向けて蒼穹の覇者号を動かした。


 王都の外壁近くで、再走査してみる。

 古い民家で、中に六人の人間がいる。

 手前入り口に近い部屋に三人、奥の部屋に三人。

 奥の部屋の一人が竜結晶を持っているね。


「ここだ」

「どうする、飛空艇で近づくと気がつかれるぞ」

【マスター。消音モードに移行しますか?】

「消音モード?」

【エネルギー消費が三割増しになりますが、飛行音がほとんど出ないモードです】

「移行して、エイダさん」

【了解しました】

「なんでそんなモードまであるんだ」

「聖女の……、活動は……、多岐にわたるのか……」


 消音モードに移行すると、ファンファンという飛行音がほとんど無くなった。

 低く小さくブーンという音がするだけだ。

 これなら敵に気づかれにくいね。

 しかし、ビアンカさまはこの船でどんな聖女活動をしてたやら。


「監禁場所近くに降りて、人質を助けよう」

「アレをやるか、マコト」

「アレか、ヨシ!」


 アレをやろうやろう。


 国営墓地内の広場に蒼穹の覇者号を降ろした。

 タラップを降りて地上へ立つ。

 森の木に隠れて姿は見えないけれど、ここから例の一軒家まではすぐそこだ。


「みんな静かにね」


 突入班の皆は黙ってうなずいた。


 静かに森の小道に分け入っていく。

 夜の森は暗いけど、月明かりがあるのでなんとか歩ける。

 木々の間から一軒家の灯りが見える。


 人質が殺されたり害されていたりしなければ良いんだけど。

 私への襲撃が失敗したときに見せしめに殺すつもりだろうから、結果が出るまでは大丈夫だと思うけどね。

 新入生歓迎ダンスパーティに秘密結社の仲間がいたら、今頃はここへ向かって走ってる所だろうか。

 早く人質を救出しないと。


 サーチの魔法を使う。


 カーーーン!


 よし、人質は生きているみたい。

 縛られているけど、怪我はしてないみたいだ。

 良かった。


 悪漢は三人、ヤクザというよりも、上級貴族の執事っぽい雰囲気だな。


 木々が切れて、一軒家の前まで来た。

 茂みに隠れて悪漢のいる部屋の窓が見える。


「やるか!」

「ヨシ!」


 カーチス兄ちゃんが右手にファイヤーボールを作った。

 私が左手に光球を作った。

 タイミングを合わせて、窓に向けて飛ばす。

 ファイヤーボールがガラス窓を砕いて室内に入った。

 光球も室内に入る。


「「崩壊!! 今っ!!」」


 轟音と閃光が同時に炸裂して、中の悪漢三人が耳や目を押さえてうずくまった。

 スタングレネード魔法、成功であるよ。


 アダベルがだだだと走って、ガラス窓に飛び込んでぶち破った。

 おまえー。

 おまえー。

 ドレスが、ドレスがっ!


「ぎゃー、ドレスが切れたーっ!!」

「やっぱり……」


 そういう事は鱗服の時にしなさいよね。

 あとでお針子さんにつくろって貰おう。


 サーチ。

 カーーン。

 よし、他に悪漢はいないな。

 私たちは家の入り口に行った。


「ホウズ、頼んだぜ」

『まあ、よかろう』


 ホウズが光輝き、ドアをたたき切った。

 さすがは聖剣だぜ。

 すごい切れ味だ。


 家の中に入り、悪漢部屋に行くと、アダベルがドレスの切れた所を見てべそをかいていた。

 ずたずたになったかなと思ったがそうでもなかった。

 二三カ所がガラスで裂けた感じだね。

 アダベルの肌は強いのか、傷もついていなかった。


「うえーん、どうしよう、ガクエンチョに怒られる~~」

「ドレス着てる時は考えなさいよ」

「うえーんうえーん」

「後で、お針子さんに直してもらおうよ」

「本当かっ! 直せる?」

「だから、もうこれ以上汚さないのよ」

「わかったー、気を付けるよー」


 エルマーが黙々と悪漢を縛っていた。

 十二倍崩壊させたからな、目が白くなっているぞ。


 だが、尋問は後だ、まずは人質解放である。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 12倍崩壊、鼓膜もやぶれてそう
[良い点] マコトちゃんとカーチス兄ちゃんの合体技!! と、サクサク捕縛するエルマーくん。 [一言] リンダさん、一人で甲冑着込めるんだ。 しかも、馬上!!凄ッ!!Σ(゜д゜lll) …アダベルちゃ…
[一言] まさかの1話でのスピード解決。 これならダンパに間に合いますね。
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