第523話 みんなでもっしゃもっしゃと食事をするのだ
さてさて、何から食べようかなあ。
「何をどれくらい取るんだ」
「ちょっとずつ、メイン三つ副菜二つぐらいかな。取り終わったら卓に行って、飲み物を貰って食べる感じよ」
「そうか、マコトありがとうっ! 肉っ、肉っ!!」
アダベルは肉食ドラゴンだなあ。
さっそく、ミニステーキを焼いてるブースに行ってお肉をもらっているね。
私はどうするかな。
まずは、豚のソテーと、魚のフライ、わ、海老フライお頭付きもある。
副食として、テリーヌと、サラダを少々、パスタを少しかな。
まず、一皿目はこんな感じ。
あと、チョコミントボンボンを二つ。
おっと、カロル用にも取り分けないと、どうしよう、卓に置いてまた来るかな。
「マコトさま、お持ちいたします」
「わ、ありがとうダルシー」
そうか、お付きのメイドさんの手があるのね。
私はダルシーにお皿を渡して、折り箱を収納袋から出した。
ミニステーキに、スズキのソテーに、お頭付き海老フライ。
ホタテのサラダと、あとはー。
「カロルはトマトカップが好きだぞ」
「それも入れよう、ありがとうコリンナちゃん」
コリンナちゃんがトングで折り箱にトマトカップを入れてくれた。
トマトカップはトマトをくりぬいて、色々な物を入れ直したサラダだな。
あと、彼女はボロネーゼのパスタも好きだから入れてと、あとはチョコミントボンボンを一つ。
収納袋からブランデーボンボンも出して、一つ折り箱に入れた。
「だいたいこんなものかな」
「彩りが綺麗だな」
コリンナちゃんが笑った。
「というか、ジェラルドは?」
「忙しいって」
「んもう、あんにゃろ」
「良いって良いって、一曲踊って貰っただけで思い出になったよ」
なんというけなげさか。
絶対私が学園生活三年間で、奴よりいい男をコリンナちゃんに探してあげるからねっ。
カトレアさんが片手にお皿、片手にスープ皿を持って歩いてきた。
「黄道亭がビーフシチューを出してるぞ」
「おお、それは食べねば」
カロルにも持って行ってあげたいけどなあ。
私とコリンナちゃんはシチューブースに行った。
「おじさん、これ、友達に持って行きたいんだけど」
「持ち帰り容器は持って無いのかい?」
「無いのよ」
「それじゃ、だめだなあ、皿だとこぼれるしなあ」
カーチス兄ちゃんがやってきて、なんか缶みたいな物をこちらに出してきた。
「使え」
「持ち帰り容器?」
「ダンジョンの奥でランチするときに使う、保温も出来る弁当缶だ」
そんな便利な物があるのか。
私がおじさんに缶を渡すと、彼はにっこり笑って蓋を開けて中にビーフシチューを入れてくれた。
ひねると仕掛けで密封されるようだ。
これは良いなあ、私も今度買おう。
「ありがとう、カーチス」
「後で洗って返せよ」
「わかったー」
私は弁当缶を収納袋にしまった。
そして、自分の分をスープ皿に入れてもらった。
よし、卓について食べよう。
「コリンナさま、お持ちしますよ」
「え、良いのダルシーさん」
気がつくとダルシーはお盆を持って、コリンナちゃんのスープ皿を受け取っていた。
お盆はスタッフに借りたのかな。
確かに二つ持つと危ないしね。
テーブルスペースに行くと聖女派閥員のいる卓があって、エルマーが手をふっていた。
アダベルがもう、卓についてミニステーキをガッガッガと食べていた。
「もう、ゆっくり食べなさいよ」
「この肉うめーよっ」
「はいはい」
「また、焼いてもらおうっ」
ざっと、目で派閥員を数える。
「あれ、ジュリちゃんは?」
「ロイド王子と一緒だから、テラスの上だぜ」
ああ、中央ホールには階段があって、一階上のテラス席がある。
王族以外立ち入り禁止の場所で、階段は近衛ハゲが守っている。
ジュリちゃんはテラスの上か。
「お飲み物はどういたしますか?」
「私は冷えたお茶をください」
「かしこまりました」
メイドさんがカップに冷えたお茶を入れてくれた。
みなはお酒を頼んだり、お茶を頼んだりしてるね。
アダベルがシャンパンをグラスで飲んでいるぞ。
まあ、良いか、この中で一番年上だしね。
ナイフとフォーク、スプーンは卓の上に準備されているな。
「マコトさま」
おっと、ダルシーが胸元にナプキンを付けてくれた。
確かにドレスをお料理で汚すと大変だしね。
見れば、アダベル以外ナプキン装備だ。
あ、アダベルが、アンヌさんに捕まってナプキンを付けられた。
さてと。
「いただきます」
「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」
もう、こんな時にもかい。
パクリ。
ああ、さすがに展望レストランの料理は美味しいね。
豚肉がとろける。
海老フライうまー。
パリパリ。
「あ、シチューがあったのか」
「アダベル味をみてみる?」
「くれーっ」
アダベルが口を開けたので、スプーンでシチューを突っ込んであげた。
「あふあふ、うわー、このシチューうまいなー」
どれどれ。
わたしも。
「ふーーっ!」
美味しいっ!
牛肉は良い部分を使ってるのか、ほろほろとろとろで良い味だ。
イルダさんのシチューに似てるけど、もっと洗練されてる感じ。
さすがは本店だなあ。
これはおかわりしないと。
「よし、おかわり行ってくる」
「ああもう」
ヒルダさんがしゃがんで、アダベルの口のまわりをハンカチで拭いてあげた。
「ありがとうっ、ヒルダ」
「あ、汚れたお皿はここに置いていって、新しい皿を貰ってくださいね」
「わかったっ!」
アダベルは卓にお皿を乗せると、ぴゅーと走って行ってしまった。
「本当によく食べること」
まあ、ドラゴンだしね。
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