第522話 三曲目はロイド王子と、でみんなで輪舞曲
曲が止まり、ダンスを止めて、お互いに礼。
なんか色々腑に落ちたよ。
近い人が不幸にあうと、まわりも色々大変なんだよな。
カーチス兄ちゃんは笑顔で私を見ている。
うん、私もカロルを守るから安心しろ。
さてー、三曲目どうするかな。
四曲目の輪舞はみんなで踊りたいね。
あれならカトレアさんも踊れるだろう。
基本の動きはマイムマイムだからな。
カーチス兄ちゃんはコイシちゃんの所に行った。
お、踊るみたいだね。
カトレアさんは、説教続行のようだ。
ロイドちゃんが寄って来たぞ。
「マコトっち、踊ろうぜ~~」
「王子なのに、良いの? 大貴族の令嬢さんとかと踊らなくて」
「あはは、その、踊るとヤバイ筋の娘さんが多くて」
ああ、潜在ロイド王子派の令嬢とかいるのか。
「マコトっちなら派閥の領袖だしね」
「あんたは国王派じゃんよ」
「気持ちは聖女派閥だよ」
まったく、調子がいいなあ、ロイドちゃんは。
こういう所が王様譲りだなあ。
ケビン王子の性格は王妃さま譲りなのかな。
「まあ、いいや、踊ろう」
「ありがとう、マコトっち」
聖女派閥溜まりを見ると、ジュリエットさんがサムズアップしておった。
問題は無いのね。
三曲目は、ワルツでもちょっとアップテンポだね。
前奏が始まり、ロイド王子と密着する。
お?
おおー?
さすがチャラ王子、すんごい踊りやすい。
ダンスが上手いな。
これは生来の才能っぽい。
「ダンス凄いね」
「昔から練習したからね。ダンスは合法的に女の子と抱き合えるから好きなんだ」
まったく、エロ事師め。
んで、くるくる巧みに回される。
これはとても楽しい。
やあ、一人一人ダンスにも個性が出るね。
ロイドちゃんのリードで会場をくるくると回る。
やあ、うまいうまい。
「何かしら派手な安服で、ロイドさまと」
「噂の金的令嬢よ、いやあねえ」
C組とおぼしき壁の花令嬢の声が聞こえてくるが、気にしないのだ。
というか、ロイドちゃんはモテるなあ。
王子さまだもんなあ。
ああ、ダンス楽しいなあ。
これははまるね。
もっと上手くなりたいな。
「マコトっちには感謝してるんだよ」
「なんだよ、みんなして、聖女に感謝デーか」
「あはは、ダンス中はさ、密着するから、心の中の思いを言葉にしやすいんだよ」
そういうもんか。
別に男衆に抱く熱い気持ちとか無いからなあ。
「ジュリエットを救ってくれてありがとう、すごく付き合いやすくなったよ」
「ジュリちゃんは良い子だから泣かしちゃだめよ」
「うん、あまりわがままも言わなくなったし、焼き餅焼きは治らないけどね」
ジュリエットさんの気持ちの不安定さは、生き人形のアリスがいたからなんだよね。
今頃、アリスは衛星軌道上で魂の虫干しをしている事だろう。
「だからありがとうなんだ。マコトっちのお陰さ」
「たいした事してないから、べつに、お礼とかいいさ」
「まったく、マコトっちは相変わらずだなあ。そういう所が好きなんだけどね」
「やめてよ、てれるぜ」
密着されて褒められると効くなあ。
照れくさくて胸がワキワキする。
三曲目が終わり、お互い離れて礼。
はあ、踊った踊った。
次は輪舞だな。
私は、聖女派閥溜まりへ行った。
「次は輪舞だよ、みんなで踊ろう」
「む、それなら大丈夫だな」
カトレアさんでも輪舞なら大丈夫だろう。
「私もやるぞっ!」
「アダベルもおいでっ」
「うんっ!」
皆でホール中央に出て、手を繋ぐ。
男女男女という感じ。
私の隣はエルマーで、反対側はカーチス兄ちゃんだ。
生徒達が二つの列を作り、音楽に合わせて寄せたり引いたりする。
そして、横に移動して、列同士で回る回る。
明るくてアップテンポで楽しいダンスだ。
たのしいたのしい。
ダンスというのは人力のメリーゴーランドみたいな所があるね。
ぐるぐる回って、踊るのはなんだか楽しい。
輪舞は踊りやすいので、壁の花の令嬢も、令息も、参加してみんなでぐるぐる回る。
みんなで一曲踊りきり、笑い合う。
ああ、体を動かすのはいいねえ。
「さて、ご飯に行きますか」
「いくいく、私、おなか減った」
「カロルの分も取っとかないといけないからな」
「そうだね-」
まだ踊り足りない人は居ないようね。
みなでぞろぞろ行けば嫌がらせにも遭いにくいだろうし。
「じゃあ、出発~~!!」
「「「「おーっ!」」」」
食事ブースはフロアをちょっと降りて、隣接するホールにあるね。
ホールに入ると、飢えた令嬢令息がご馳走に群がっている。
そしてアダベルはご馳走を見てよだれをたらしておる。
この子はほっとくと食べ尽しかねないからな。
気を付けないと。
藤子不二雄キャラの一種と思わないと。
「お嬢様、食事についての説明はお聞きになりますか?」
王宮の執事長という感じのナイスミドルが声をかけてきた。
「おねがいします」
「まず、お皿をお渡しいたしますので、好きなお料理を取って、あちらのテーブルでお召し上がり下さい。向こうでは飲み物も提供しております。おかわりをしたい時は、テーブルに汚れたお皿を置いて、新しいお皿をとり、またお料理をお取り下さい」
そう言って執事さんは私たちにお皿を渡してきた。
基本的な立食パーティと一緒だね。
テーブルには椅子が無く、立って食べるみたいだ。
シルバー類はテーブルにあるっぽいね。
お料理は、ビュッフェ形式でワゴンが並んでいる。
スープやシチューのカップはワゴンの近くに置いてあるのか。
料理人さんが鉄板でお肉を焼いているブースもあるね。
「よし、行こう!」
「「「「おうっ!!」」」」
よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。
また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。




