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第519話 ホール入場、新入生歓迎ダンスパーティ開始

「カップルが出来たら並んで下さい。男性の身分順に入場します。最初はケビン王子、つぎはロイド王子、その次が学園長となります」


 知らないうちに私たちの後ろにゆりゆり先輩が男装したエステル先輩を連れて並んでいた。

 エステル先輩は侯爵家だしな。

 というか、女子同士で良いのか。

 それがありなら、私は男装してカロルをエスコートしても良いし、カロルにエスコートされるのもやぶさかではない。


「一年生の間は無理だな。三年になって寮の舎監にでもならないと無理だろう」

「くそう、不公平だ」


 私の目線を読んだのか、コリンナちゃんが語りかけてきた。


 クレイトン家の侯爵家の格はどんなもんなんだろう。

 こういうのは順序で喧嘩になったりしそうだなあ。

 中世の人は面子が大事だからな。


 エルマーが手を引いてくれた。

 侯爵家の三番目ぐらいか。

 真ん中ぐらいの家格かな。

 侯爵家筆頭はジェラルドの家のようだ。

 宰相だから家も名門っぽいな。

 侯爵ってのは偉いんだなあ。


「それでは、腕を組んで、列を乱さずご入場ください」


 司会の先生が声を張り上げた。


 私はエルマーの腕を取った。

 なんつうか、あんまり気が無い男子でも体を接触すると、ちょと胸がときめく感じだね。


 ケビン王子とビビアン様がゆっくりと歩き始める。

 ビビアンさまは今日は綺麗にしているな。

 赤いドレスも新作っぽい。


 続いて、ロイド王子とジュリエット嬢が歩き始める。

 なんというか、厨二病ドレスは浮いてるなあ。

 まあ、似合ってるから良いか。


 今回は公爵家の男子は参加していないから、次は侯爵グループである。

 ジェラルドとコリンナちゃんが動き出した。

 コリンナちゃん嬉しそうだな。

 うんうん。


 知らない侯爵家カップルが歩き出して、私たちの番だ。

 エルマーと歩調を合わせて歩く。


「はれがましい……」

「うん、良かった」


 エルマーが幸せそうな微笑みを浮かべているので、私も嬉しい。

 これはそうとう好感度が上がってるな。

 原作だと二年の秋ぐらいにならないとエルマーのこんな表情は拝めなかったな。

 エルマーは美形で、いつも仏頂面なんで、微笑むとインパクトがあるんだよね。

 まあ、良いんだが、婚約者のプリシラにその笑顔は向けなさいよ。


 私の後ろには、エステルゆりゆりカップルがいて、堂々と歩いておる。

 王家の血を盾に無茶苦茶をしているなあ。


 待合ホールを横切って、ドアをくぐると大ホールだった。

 生バンドが軽快な音楽をブンチャカ鳴らしていて明るい雰囲気だね。


「やあ、マコト嬢、クレイトン君、よくお似合いだね。今日は記念すべきデビュタントだ、是非楽しんでいってくれたまえ」

「あ、ありがとうございます、王様」

「感謝します……」


 ニッコリ笑った王様に出迎えられたぞ。


「生徒全員に挨拶するのですか?」

「まさか、上級貴族だけだよ」


 王様はしれっと言い放った。

 まあ、そうだろうなあ。


「ああ、ユリーシャ……。エステルくんだよね?」

「そうですわっ、おじさま、何か問題がありまして?」

「い、いやその、ええと、う、うん、それもいいねっ」

「あはは、お察しします、国王陛下」


 王様弱いっ、押し切られおった!


 入場したら、ホールに並んで他の人が入ってくるのを待っているみたいだね。

 上級貴族ほどホールで長い間、待つことになるのか。


 だんだんと人が入ってきて、列が増えるね。

 前の方で、アダベルが飽きたのか、ぶらぶらきょろきょろしているな。

 大人しくするんだ。

 あ、学園長がアダベルの頭をなでると、大人しくなった。

 さすがは教育者、慣れているな。


 しばらくすると、ホールに全員が入場して、ドアがしまった。

 テラスに王様が立って咳払いをした。


「みなさん、王立アップルトン魔法学園主催の新入生歓迎ダンスパーティへようこそ。一年生のみなさんはこれがデビュタントとなり、夜会に参加する事ができるようになる、記念すべきダンスパーティだ。ダンスが下手だ? おしゃべりが恥ずかしい? そんな事は若さで跳ね飛ばして、どうかこのダンスパーティを楽しんでいって欲しい。偉いさんの長い挨拶は嫌われるというから、ここまでにして、ダンスパーティをはじめようでは無いか」


 わあっと生徒から歓声があがる。

 生バンドの演奏が盛りあがる。


「では、新入生歓迎ダンスパーティをはじめよう!!」


 わあっと拍手と歓声が沸き上がった。


「最初はイントロダンスだ、エスコートしてくれた相手と一曲踊りたまえ、その後はダンスを続けても良いし、食事をしてもいい、お酒もあるが、初めての生徒はほどほどにな。では、ミュージック、スタート!」


 王様が手を上げると、生バンドが軽快なワルツの前奏をかなでだした。

 ぶんちゃっちゃぶんちゃっちゃ。


 私はエルマーと対峙して、頭を下げる。


「ダンスの自信は? エルマー」

「練習した……」


 そうか、それでは踊ろうかね。

 ちなみに私は男女のパートとも、上手いぞ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] おうさま とっても ふれんどりい。 コリンナちゃん、記念デビュタント。良かったね。 ジェラルドのびっくりどっきりはいつやってくるんだろう? [一言] この世界は地位の高い人順なのかぁ……
[一言] ミュージックスタート!とは何ともノリの良い王様で。いろいろ穴の多い王家だけど人柄は慕われてるんだろうなあ。 ホラ、どこかのジェームス翁の息子の人!具体的にはビビアン様のおとん! 王様の爪の垢…
[一言] >ビビアンさまは今日は綺麗にしているな しかし弟の嫁には負けるのであった というか日々のメンテナンス的にも寮の地下浴場使ってる生徒よりくすんでる可能性が 古傷さえ治すヒールポーションベースの…
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