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第516話 エスコート相手がだいたい揃う

 コリンナちゃんに後ろ頭をぺしぺしと叩かれた。


「お前は、もうちょい、領袖らしく、偉そうにしろい」

「えーっ」

「そうしないと、ヒルダさんとか、ゆりゆり先輩がお前に替わって文句を付けなきゃならないんだぞ」

「うーっ」

「コリンナさま、良いんですよ、領袖は聖女さまなのですから、スラムの人間でも分け隔て無く優しくするのは当然です。勘違いなさる方には我々が対処いたしますわ」

「あー、ごめんね、ヒルダさん」

「僕も悪かった、婚約者にちゃんと説明しておくべきだったね」


 ライアンも謝ってきた。

 あーうー、前世では身分差とか無かったから、全員平等だろうという感じだったけど、こっちの世界だと、身分差で世間が回っているからなあ。

 ちょっと上手い事しないと駄目だなあ。


「まあ、だんだんと慣れていけよ」

「わかったよう、ありがとうコリンナちゃん」

「がんばれ」


 がんばらないとなあ。


 私が萎れていると、カトレアさんのそばに黒い礼服の野性的な男性が寄って来た。


「カトレア、今日はよろしくな」

「あ、先輩、こちらこそよろしくお願いします」

「聖剣が格好いいな」

「そうでしょう、みんなゴツイっていうけど、解って無いんですよ」

「そうだな、わかってないな」


 誰やあれは。


「うちの領の騎士生徒です」


 ヒルダさんが寄って来て小声で教えてくれた。


「聖女さまですか、マーラー領の騎士のナゼールと申します。以後お見知りおきを」

「こちらこそ、よろしくおねがいね」


 マーラー領の黒騎士の卵か、格好いいなあ。

 カトレアさんもまんざらではないのか、良い笑顔をナゼールさんに向けている。

 二人が並ぶとお似合いだなあ。


「おうおう、マコト、偉く綺麗だなあ」

「本当に天上の女神さまみたいですよ」

「あ、バルトロ部長、アイーシャさんも」


 バルトロ部長はドワーフの民族衣装を着てがははと笑っている。

 アイーシャさんはドレスがよく似合って可愛いね。


「筋肉のお二人は?」

「あれは相手がいねえから鍛冶部室で剣を打ってるぜ」

「探してあげなさいよ」

「あ、それもそうだったか、考えが及ばなかったぜ」


 まったく、ドワーフってやつはよう。


 なんだかでっかい人がこちらにやってきた。


「こんにちわ、コイシさん、今日はよろしくね」

「あ、待ってたみょん。よろしくお願いだみょん」

「うわ、でっけえ」


 アダベルがコイシさんのお相手を見上げてそう言った。


「あはは、ありがとう。オーバンと言うんだよ、お嬢ちゃん」

「俺んちの騎士だ。でっかい家系なんだよ」

「これは、閣下、このような綺麗なお嬢さんのエスコートを命じていただき感謝いたします」

「綺麗だなんて、照れるみょんよ」


 コイシちゃんが頬を手で押さえた。

 しかし大きいなあ、リックさんよりもまだ大きいぞ。

 ちょっと、近くにリックさんがいたので、押してオーバンさんの隣に立たせてみた。

 オーバンさんの方が頭一つぐらい大きいな。


「でかいね、君」

「て、鉄腕リックさまですかっ!! 僕はあなたの大ファンですっ!!」

「そうかそうか、今度稽古を付けてやっから来なよ」

「ありがとうございますっ!! 光栄ですっ!!」


 オーバンさんは直立不動でリックさんに敬礼した。

 おー、武人なんだねえ。


「リックさん、俺らも俺らも」

「カーチス閣下もですかー」


 リックさんは苦笑いをした。


「わっしもみょんっ」

「コイシ、抜け駆けはずるいぞ、私もだっ」

「まあ、今度、一緒に稽古しましょうや」


 リックさんは武人にモテモテだなあ。


 さて、うちの派閥員のパートナーはだいたい揃ったかな。


「あれ、ジェラルドは?」

「ジェラルドさまは忙しいから待合室で落ち合おうって言ってたよ」

「あんにゃろーっ」

「ダンパの準備に忙しいからしょうが無いって」


 礼服の学園長が小走りでやってきた。


「アダベル、待たせたね」

「ガクエンチョ!!」


 アダベルは飛びついた。


「いやあ、可愛いドレスだね。素敵だ」

「ガクエンチョも格好いいぞっ」

「いつもはホスト側で参加だが、今回はアダベルと一緒に入場だよ」

「うれしいなっ!!」


 本当に、初孫にふにゃふにゃにされたお爺さんだよなあ。


「良いんですか、アダベルは学園の生徒じゃないのに」

「なあに、ゲスト扱いでかまわんよ」

「来年は正式にダンスパーティに出るっ!」

「そうかー、だったら頑張って来年学園に入学しなくてはなあ」

「がんばるっ!!」


 一年で勉強とか何とかなるのかね。

 アダベルが後輩に入って来たら嬉しいけどさ。


「しかし、なんだねえ」

「なんだよ」

「ダンスパーティって、恋愛させる行事なんだねえ」

「そりゃそうさ、貴族にとって結婚は大事だからな。C組の女子なんかはダンパの為に在籍してるって言ってもいいからな」

「こうやって男女が知り合うきっかけを作って結婚させようってんだな」


 なかなか、恋愛したくても異性に声を掛けにくい人とかもいるし、そういう人のお尻を叩くのに、夜会にエスコートする相手と知り合わせる、という面があるのだな。

 一度一緒にダンパをすると、次も同じ人と、という無精な人も結構いるだろうしね。

 あと、相手が変な奴だったら、次回は無しとか、付き合う前に人となりが見れるのもいいね。

 結構、良い文化だと思うね。



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― 新着の感想 ―
[一言] 国営お見合いパーティーか
[良い点] リックさんモッテモテ。 [一言] オーバンさんとコイシちゃん。 身長差ありそうだけどダンス…運動神経でカバーかな?
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