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第514話 剣術組のドレスを見たあと、男衆の礼服をぞんざいに見る

 さて、せっかく廊下に出てきたのだから、剣術組はどうなっているのだろう。

 私たちが図書館行ってる間にシャワーは終わってると思うが。


 第一二等船室のドアを叩いた。

 ヒルダさんが現れる。


「あら領袖」

「みんなのお着替えは終わったかな」

「えー、もうちょっとですね」


 ドアから覗くと絶賛カトレアさんとコイシちゃんが着替え中であった。

 ヒルダさんはピシリと真っ黒なドレスを着込んで格好いい。

 ドレスから手袋まで全てが漆黒で胸元だけ真っ赤なコサージュである。

 光るリボンは手首でピカピカ光っている。

 いやあ、格好いいなあ、惚れ惚れだ。


「おー、ヒルダ綺麗~~」

「ありがとうございますわ、アダベルさま」

「カトレアとコイシは着替え中か、エルザは終わったか?」

「終わりましてよ、アダベルさま」


 エルザさんが椅子からすっと立ち上がった。


 わあ、深い紺、コリンナちゃんも紺だけど、伯爵グレードの紺色は引き込まれそうに深い色だなあ。

 デザインはベーシックなんだけど、落ち着いた感じで大人っぽいね。

 格好いい感じ。

 リボンは二の腕に巻いてピカピカさせているね。

 手袋も紺で、サッシュベルトには鉄扇を差し込んでいる。

 いいねえ。


「おー、凄い、渋いけど格好いい。深い青」

「紺色ですわ、アダベルさま」

「紺! 紺!」


「終わった終わった、なんだか動きにくいぞ」


 カトレアさんがのっしのっしとこちらに歩いてきた。

 わあ、目が覚めるような若葉色のドレスだな。

 明るい緑だ。

 どうだという感じに彼女はドヤ顔である。


「おお、綺麗だな、カトレア」

「そうだろうそうだろう、アダベル」


 とても少女らしい綺麗なドレスなのだが、左肩に甲冑のショルダーが付いていて、エッケザックスが吊してあった。


「デカくない?」

「良いんだ、エッケは我が体と一緒だ、置いて行くなんてとんでもない」


 まあ、カーチスもホウズもっていくらしいからいいけどさあ。


「マコトさまはリジンを差して行きますか?」

「え、ドレスに武装とかいらないよ」


 収納袋に子狐丸とユニコン盾剣入ってるし。


「不用心な」


 カトレアさんが憮然とした顔で言った。


「ダンパで聖剣を抜かなきゃならない事態があったら大問題だよ」

「何かあったら言え、エッケを渡す」

「エッケビームを撃つ事態がありませんように」


 私は手を合わせて祈った。

 ドラゴンとか出てこない限り撃たないけどな。

 本当はリジンがあれば高速運動が出来てもしもの時は良いのだが、いかんせん魔力の燃費がね。

 やっぱり置いていこう。


 ちなみにカトレアさんの髪にはリボンがついていてピカピカ光っている。

 うんうん、良い感じだね。


「おまたせみょーん」


 コイシちゃんがドレスアップしてやってきた。

 うーわー、良い青だなあ、水色から濃い碧にグラデーションしていくスタイルで格好いい感じにアレンジしてある。

 というか、私がデザインアレンジしたんだけどね。

 ちょっと和服っぽいあわせな感じに襟ぐりを交差させてみた。

 細いサッシュベルトには短めの脇差しを差して、りんとして格好いいね。


「おおおっ、格好いいぞコイシ!!」

「ありがとうみょん、アダベルちゃん」


 コイシちゃんはアダベルの頬を両手で挟んでぐりぐりした。

 アダベルはきゃっきゃと笑っている。

 仲良しだなあ。


 これでみんなのドレスはだいたい見たな。

 男衆の礼服はべつに制服の上等なやつなので見所は無いのでいいか。


 と、思ったら、第二二等船室から、男衆がぞろぞろ出てきおった。


「お、どうだい、俺の晴れ姿は」

「ん、かっこいい」

「ど、どうかな……」

「ん、かっこいい」

「領袖……」

「ん、かっこいい」

「俺はマイレィディに見せに行ってくる」

「そうか、オスカー」


 私はオスカーを連れて、第一スイートに戻った。


「マ、マイレイディ、ど、どうで……。ああ、なんと可憐な……」

「あ、オスカー、ありがとう。あなたも素敵よ」


 臙脂ドレス姿のカロルがはにかんで笑った。

 むっかーっ!


「ほら、見たし見せたからいいだろ、出ていけいっ」

「い、いや、しかし領袖、もっとおしゃべりをですね」

「うるさい、第一スイートは男子禁制じゃいっ」


 むりむりオスカーを部屋の外に押し出した。

 カロルもコリンナちゃんもクスクス笑っていた。


「あいつは、ダンパの間、錬金室でカロルと談笑とか、ぬるい事を言いやがるし」

「あら、それはちょっと無理ね」

「レストランでお茶でも一緒にしてやれば?」

「え、そんな必要はないよっ」

「夜にはレストランはやってないわよ、コリンナ」

「そうかー、まあ、秋まで待てだね」

「……」


 カロルは答えなかった。

 んー、いろいろと難しい事だな。


「でも、オスカーが元気になって私も嬉しいわ」

「それはまあ、あるけどね」

「カロルもマコトも優しいからなあ」


 優しいかねえ。

 カロルとオスカーが仲良くしてると嫉妬でムキーとなるけどね。

 とはいえオスカーが落ち込んだりするのも嫌だし、難しいな。

 心の傷はそんなにはすぐには治らないしね。

 だんだんと、ゆっくりと、治っていけばいいんだよね。


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― 新着の感想 ―
[一言] そうか・・・お互い心の傷を持つ者同士なのか・・・ キェェェッ!危険が危ない! 百合の間に挟まる者に災いあれ・・・
[一言] 聖剣が必要になるダンパ 参加要件は聖剣または魔剣の所持とかになるんだろうか
[良い点] 私は手を合わせて祈った。 フラグ? [一言] 「終わりましてよ、【ビアンカ】さま」→マコト?
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