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第513話 カロルに髪を結ってもらい、お洒落組のドレスを見る

 第一スイートに入ると、カロルとコリンナちゃんが応接室でくつろいでいた。


「お、帰ったね」

「ドレス汚れなかった?」

「大丈夫! 床ででんぐり返りとかしなかったからっ!」


 普段着でもでんぐり返しはやめなさいよ。


 椅子に座り、時計を見上げると二時か。

 あと二時間で入場であるな。

 カロルが私の後ろに立って、髪を結ってきた。


「ありがとう」

「アップにした方が大人っぽいからね。あとでコリンナにもしてあげるわ」

「それはうれしい」


 髪の毛を三つ編みにして結い上げてまとめる。

 綺麗な銀の髪留めを付けてくれた。


「これは私のお母さんのよ、私は結えないから」

「髪の毛を伸ばそうよ」


 カロルは笑って首を横にふった。

 本当になあ。

 私の親友の心の傷は深くて、塞がっていないんだな。


「はい、終わったわ」

「どれどれ?」


 私は立ち上がって姿見の前に行く。

 わあ、すごく良い感じ。

 ドレスに良く合っているなあ。


「私は結わなくていいのか?」

「んー、もうちょっと髪が伸びないとね」

「来年ぐらいかー、髪を結うとなんか大人っぽくなるな」

「そうね、アダベルも来年になったら結ってあげるわ」

「うん、約束だぞ、カロルっ!」


 カロルはコリンナちゃんの後ろに回って髪を結いはじめる。

 コリンナちゃんも髪が長いから良い感じに結えるね。

 銀色っぽいグレイの髪。

 キラキラしてないけど、いぶし銀みたいで私は好きだよ。

 コリンナちゃんにも銀の髪留めを付けて結い上げが終わった。


「おおー、コリンナも大人っぽい、メガネをはずしてみて」


 コリンナちゃんがメガネを外した。

 ほわーっと、私たち三人のため息が上がった。


「すんごい綺麗だなあ」

「やっぱ、新しいメガネを作りなさいよ」

「コリンナはメガネで損をしているわ」

「いーんだよ、男爵家で綺麗だと、偉いさんにさらわれてお妾か後妻になっちまうし」


 コリンナちゃんはメガネを戻した。

 ああ、そういう恐れもあるからぐりぐりメガネなのか。


「メガネを外した姿を見たらジェラルドさまも恋に落ちるかもしれないわよ」

「……、な、ないないっ、ジェラルドさまは容色が優れてるからって気に入るほど俗っぽい人間では無いぞ」

「なんか、想い人がいるとか聞いたな」

「多分、学園に来ていない深窓の令嬢に心を奪われてるのさ。私なんか出る幕じゃないさ」

「そうね、さすがに侯爵家は地位差がありすぎね」

「侍女やメイドでも子爵家令嬢だったりするからねえ。雲の上さ」


 まあ、ジェラルドが相手じゃなきゃ、コリンナちゃんを応援したいんだが、悲しいかな奴はイヤミ眼鏡だしな、奴にはコリンナちゃんみたいな良い子は勿体ない。


「コリンナは大人になったら結婚はどうするの」

「んー、結婚なあ。あれだ、仕事をして、サーヴィス先生みたいに」

「「やめ」ろ」なさい」


 おっと、カロルとハモった。


「えー、彼女は独身職業婦人のあこがれだろ」

「あれはだめよ」

「あれはだめだ。ずぼらすぎる。乗ってる馬車とか凄いよ」

「そ、そんなに?」

「あんな自壊しそうな馬車は初めて見たよ」

「魔法塔の錬金部の長でしょ、お金が無いわけ無いじゃん」

「お金はあるが、整備に出すのが面倒臭いんだろう」

「学者馬鹿の典型よ」

「そ、そんなになのか……」


 あれは真似しちゃなんねえ。

 きっとお賃金は全部、希少錬金素材を買うのに費やしているのだろうな。

 サーヴィス先生は偉い学者さんだが、人間として駄目だ。


 アダベルが退屈してソファーで足をぶらぶらさせておる。


「退屈?」

「なんか食べたい」

「駄目よ、ここからはお茶とお菓子禁止」

「ど、どうしてー?」

「おしっこ出るから」

「あーーー、そうかあ」


 おトイレでドレスを汚すと、まあなんだ、悲しいしね。

 念の為ダンパが始まるまでは飲み食い禁止であるよ。


「カロルだけお茶飲み放題かー、ずるーい」

「飲まないわよ、アダベル」

「うむむう」


 お、廊下がガヤガヤしている。

 立ち上がってドアを開いて覗いてみた。

 お洒落組とジュリエットさんの着付けが終わったようだね。


「あ、マコトさま、アダベルさま、見て見てくださいまし」

「とっても素敵なのですわ」

「ふふふ、夜会に向けて魔力をチャージですのよ」


 メリッサさんのドレスは緑色のフリフリドレスで完成すると、とても素敵だなあ。

 一色の緑ではなくて、部分部分で色合いが違い、トップスの若葉色からグラデーションでスカートに向かって緑が深くなっていく。

 胸元にはエメラルドのバリア宝石のブローチが光っているね。

 光るリボンは髪に付けてピカピカと光っている。


「おおーっ!」


 ドアから顔を出したアダベルが、メリッサさんのドレスを見て吠えた。


 マリリンのマーメードドレスも素晴らしい。

 完成すると、体型にぴっちり合って惚れ惚れするようなたくましさがありつつ、女性らしいしなやかさも感じる。

 青い闘魚のような勇ましいフォルムであるよ。

 そして胸元に光輝く赤いバリア宝石。

 なんという美しさだろうか。


「マリリンもすげーっ、かっけーっ!!」

「うふふ、嬉しいわアダベルさま」


 ジュリエットさんは赤黒のゴスロリドレスで格好いいポーズを取っている。

 相変わらず厨二令嬢だなあ。

 お針子さんが調整したゴスロリドレスはえもいわれぬ怪しさ満載であるなあ。

 それで、ジュリエット嬢も綺麗だからすごく似合うのだ。

 怪しさ満載である。

 光るリボンもツインテールの根元にあってピカピカ光っていた。


「ジュリジュリもすげえっ、怪しい!!」

「ありがとう、アダベルちゃん、これが私の本気なのですわっ」


 また、ピシッとジョジョ立ちをしおった。

 こっちの世界にはジョジョは無いのになあ。

 なんでポーズがかぶるかな。


 しっかし、みんな綺麗ねえ。


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― 新着の感想 ―
[一言] >ジョジョ立ちジュリ 勇者は勇者を知る、といいますしね。何か魂で繋がってるのかもしれませんよ。こちらからの転生者がぽつぽつ居るわけだし、世界的に近いのかも。 ジュジュの奇妙な冒険、やってみる…
[一言] そういえば、真琴の生前は何学部だったんだろう >男爵家で綺麗だと、偉いさんにさらわれてお妾か後妻になっちまうし マコトの補佐官的な立ち位置で神殿の後ろ盾を得れば
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