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第510話 ドレスに着替えて晴れ姿を鑑賞しあう

 お針子さんがアダベルのまわりをくるくるくると回ってドレスを着付けていた。

 おー、さすがはプロだなあ、手早い。


「えへへ、どう?」

「異常に可愛いっ!」

「素敵よ」

「あー、可愛いなあ」


 私たちに褒められてアダベルはご満悦であるね。


 アダベルの髪と目、あと尻尾とかにある鱗は深い青なんで、赤いドレスは色合いが難しいんだけど、襟ぐりの白とグラデーションして袖とスカートの端で真っ赤になる生地ですごく良い感じにまとまっているね。

 ドレスの形はメリッサさんへデザインした物のアレンジタイプ。

 もうすこしフリルとタックを増やしてあって可愛くてポップな感じだ。

 くるりとアダベルが回ると、後ろスカートの切り込みから青い尻尾が覗いてキュートだね。

 頭には光るおリボンを二つ、角の根元に巻き付けるようにしてある。

 光らせると派手である。


 惚れ惚れするなあ。


「あ、ベットで寝転んではなりません」

「えー」

「ドレスを着てるときは飛び跳ねてはいけませんし、床で前転するのも駄目です」

「え-」

「ソファで大人しくしていましょうね」

「えー……」


 活発なアダベルはじっとしているのが嫌みたいだが、まあ、ドレスとはそういう物だからしょうがない。


「きちんとしてると、ルカっちも、学園長も褒めてくれるよ」

「褒めてくれるかなっ、あー、キルギスにも見せたいー!!」

「さすがに孤児院までは無理だね。またの機会にしましょ、孤児院でもみんなに買ってあげた晴れ着を着る会とかやろうか」

「みんなと買った晴れ着も着たい……」

「ドレスで行って、着替えたらいいよ」

「そうかっ、コリンナ頭がいいなっ」


 ダンパが終わったら晴れ着の会をやるかな。

 孤児の子たちも新しい晴れ着は嬉しいだろうし。


「マコトは優しいわね」

「べべべべつに教会の仕事だしー」


 カロルは私の目を見てふふふと笑った。

 ほ、本当だぞ。


「マコトさまもお着替えになりませんか」


 ダルシーの言葉で私は壁掛け時計を見上げた。

 さすがはスイートでお洒落な時計が掛かっているな。

 ちなみに魔導時計で船の光魔力タンクから魔力は供給されているらしい。

 ちなみに、一時半ぐらいだ。


「そうね」


 ダルシーがいそいそとドレス袋を開いた。

 アンヌさんもカロルのドレス袋を開く。

 お針子さんが、コリンナちゃんの手を引いて制服を脱がしていく。

 アダベルが顔をしかめてちんまり座っていた。


 まあ、ドレスなんか人に着せて貰わなくても、とか思うのだが、背中の押さえが編み紐状なので、どうしても人の手がいるね。

 この世界にチャックはまだ発明されていないのだ。


「少し前屈みに願います、はい」


 ダルシーにぎゅうぎゅう締められるよ。

 でも、背を伸ばすとぴったりドレスが体に合って苦しくはない。

 よしよしである。

 オーダーメイドだから本当にぴったりになるのよね。


「おおお、マコト綺麗!」


 アダベルが寄って来て私のまわりを動きながら見ているな。


「すごいいい色で形も格好いいなあ」

「ありがとうアダベル」


 聖女さまのドレスは白を基調に水色と金をあしらってある。

 ふわふわはメリッサタイプよりかは少ない、そのかわり流れるようなドレープを特徴にしてみた。

 胸も背中も大きくあいて、首元には光リボンをチョーカー状に巻いているぜ。

 くるりと回るとドレスの布地がふわりと広がって良い感じ。


「本当にマコトは綺麗ねえ」

「領袖らしい豪華な感じだな、良く見ないと安い生地だと解らない」

「デザインで豪華さを出してるわね、はあ、綺麗だわ」


 お針子さんたちもコリンナちゃんの着付けを止めて見惚れているな。


「立体になるとすばらしいですの」

「スカートまわりはわっしがぬいましてよ」

「男爵グレードなのに、縫製が全力ですね」

「お針子さんたちもありがとう、凄く良いドレスだわ」

「いえいえ、御発注ありがとうございます」

「次のドレスも是非マーラー領で」

「素敵なデザインをまた作らせてくださいましね」


 しかし、首元がピカピカしてるとうるさいな。

 切ろう。

 プチ。


「あーー」

「あーー」

「あーー」

「いや、首元で光られるとうるさいので」

「マコトの魔力が入ると光が大きいわね、ちょっと抵抗を調整するわ」


 ドレスを半分着た所のカロルが私の首元のリボンに魔導筆で書き足してくれた。

 なんだか、接近してドキドキするな。

 お花の良い匂い。


「なんだか絵画みたいで神々しいな」

「だなあ、二人とも綺麗だねっ」


 やめろい、照れくさい。

 カロルが調整して、光が薄くなった。

 うん、これくらいなら気にならないかな。


「光り物は派手ね、凄く目を惹くわね」

「そうだねえ」


 カロルが着付けに戻った。

 ああ、良い匂いが。


「というか収納袋、どこに付けてるの?」

「スカートの下」

「私も付けよう」


 ダルシーが私のスカートをめくって腰のあたりに収納袋を下げてくれた。

 こしょばい。

 収納袋が無いと色々と困るからね。


 コリンナちゃんの着付けも終わった。

 彼女のドレスのデザインはわりとベーシックなデザインだね。

 色は単色の紺であるよ。

 あまり遊び心はないけど、清楚な感じでコリンナちゃんに良く似合っている。

 光るリボンは頭に一つだ。


「コリンナも凄いデザインにすれば良かったのに」

「いいんだよ、派手なドレスだと下級貴族だと目立って嫌がらせされるからな」

「人間は変だなあ」


 まったくである。


「これくらいの方が、どこにでも参加出来ていいんだよ。ほんとヒルダ先輩のお陰だね」

「最近よく働いてるから秋もドレスが作れるんじゃないかしら」

「いや、さすがにそれは悪いしなあ」

「お金結構稼いだでしょ、どうしてるの?」

「半分は実家に入れたよ、お母さんが泣くほど喜んでた」


 そう言ってコリンナちゃんはニッコリ笑った。

 孝行娘だねえ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 百合百合イチャイチャぽいです、癒しです〜 作者さん、最近の投稿はお疲れ様です!速い更新です、ありがとうございます!
[一言] 秋のドレスはジェラルドから贈られるんじゃないかな
[一言] マーラー領もブランド「マコト」展開かな?
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