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第498話 礼服を調整してお風呂に行く

 礼服を着込んで鏡に映すとまあ綺麗なお坊ちゃまがそこにいた。


「領袖、可愛いです」

「すごい美少年ですよお」

「実在したらモテモテですねえ」

「はい、背を伸ばしてくださいね」


 三人のお針子さんに取り囲まれて礼服にまち針を打ってもらう。

 しかし、白と青の礼服は格好いいな。

 どこの勇者だ、って感じだな。


 服の余ったところを詰めて行く感じね。

 調整してない服はちょっとだぼっとしてるんだけど、余分を縫い込んで体にぴったりさせるのな。

 礼服は詰め襟なんでちょっと首が苦しい感じ。

 ごてごてと飾りが付いてるけど、結局は学ラン型の服なのね。


「はい、できましたよ、聖女さま」

「とっても素敵ですねえ」

「貴公子みたいですわね」

「うふふ、ありがとう」


 男性用礼服はドレスよりはシンプルな作りなので、結構早く終わった。

 ちゃっちゃと脱いで制服に着替えた。


「明日のお昼頃までに仕上げておきますね」


 まち針を打っただけでは調整は終わってなくて、ちくちくと針仕事で詰めないといけないのよね。

 大変な仕事だね。


 お針子リーダーがぺこりと頭を下げた。


「聖女さま、このたびは素敵なお仕事を頂いてうれしゅうございました」

「また、秋にも呼んでくださいませな」

「そうね、また飛空艇で迎えに行くよ」

「ありがとうございます」


 お針子さんたちが一斉に頭を下げた。

 秋には新しいドレスを作る人も居るでしょう。

 私は作らないけどね。

 男爵位だと、一年に一回どころか、三年に一回ぐらいでも良いぐらいだ。

 侯爵位ぐらいだと毎回かな。

 これも見栄の問題だからなあ。

 貴族のお金がかかるゆえんだね。


「さて、私はそろそろ帰るけど、ヒルダさんたちは?」

「私たちも帰ります、作業はまた明日の朝からですね」


 うんうん、休息は必要よね。


 私たちは集会室を出て施錠した。


「では、地下待合室に置いてきますね。お疲れ様でした」

「はい、おつかれさま。また明日ね」


 ヒルダさんたちは武術場の方へ歩いていった。

 私も帰ってお風呂に入ろう。


 私は肌寒い中を背を丸めてまた女子寮に向かった。

 暗い。


『ライト』


 明るい。


 さすがに夜も更けて来たので、集会棟の灯も消えて、真っ暗だね。

 ライトの灯りを頼りに外周路を歩く。

 さみいさみい。

 早くお風呂に入って寝よう。


 女子寮のドアが閉まっていたので、護衛女騎士ドミトリーガードのお姉さんに開けてもらう。

 すんません。


 階段を降りて大浴場の脱衣場に入る。

 服をぽんぽんと籠に脱ぎ捨て、ロッカーに入れる。

 鍵を手首に掛けて浴室に入る。

 まだ、二三人の女生徒がお風呂に入ってるね。

 私を見て目礼してくれる。


 かけ湯をして湯船に入る。

 あ”あ”あ”。

 いい湯だなあ、しみこむしみこむ。

 明日の朝にまたお風呂入るから、今日は入らなくても良いのだが、やっぱりお風呂入って寝たいじゃない。

 ふー、あったまるなあ。


 さあ、明日は新入生歓迎ダンスパーティの当日だ。

 やっとここまで来たね。

 まるで一年の最後みたいな感じだが、まだ入学して二ヶ月経って無いんだよなあ。

 なんというイベントラッシュなのか。

 入学前にマイクーの急所を粉砕したのが、もう遠い過去のようだよ。


 しかし、派閥を作るというカーチス兄ちゃんの提案を受けて良かった。

 友達が沢山出来たし、色んな人と知り合って楽しいしね。

 武装もかなり増えたな。

 飛空艇に聖剣三本、魔剣が一本だね。

 あと、ドラゴンもいるぜ。

 魔王とでも戦うのかね、私たちは。


 私は湯船を出て、洗い場に座った。

 ダルシーが魔法のように現れて私を洗ってくれる。

 まだ照れくさいよなあ。

 慣れない。

 気持ちはいいんだけどね。


 体を洗って貰い、髪をシャンプーリンスしてもらう。

 ダルシーが私の頭をすく手の動きが気持ちが良いね。


 髪をダルシーにバスタオルで巻いてもらって、再度湯船に浸かる。


 さて、ダンパが終わったら、ポッティンジャー領で麻薬を焼いて、それから中間テストだね。

 大人たち中心の派閥パーティとか遠足とかあって、武道大会後に期末テストで夏休みだ。

 はあ、楽しい事がいっぱいだな。

 一年のうちはこんな感じでぶらぶらと遊んで派閥の絆を深めよう。

 うんうん。

 カロルとも最近良い感じだし。

 コリンナちゃんは頼りになるし。

 ダルシーは忠義者だし。

 私は幸せ者だなあ。


 湯船から出て、脱衣所でダルシーに体を拭いてもらう。

 ちょうどいい所にダルシーの頭があったので撫でてあげる。


「?」

「いつもありがとうね」

「お礼には及びません、マコトさまにお仕えする事が私の幸せなのです」


 うん、いいこいいこ。

 私が撫でるとダルシーはうっとりと目を細めた。


 新しい下着、新しい制服でさっぱりして大浴場から出る。

 階段を上がり、205号室を目指す。

 ダンパの前日だからだろうか、なんとなく寮の中の雰囲気がかるく浮ついてる感じがするね。


 寝静まった205号室に入り、チェストからパジャマを出して着替える。

 ハシゴを上がって自分のベットに横たわる。


 あー、やっぱり遠出をすると疲れるね。

 魔力が足りない感じ。

 早く魔力量が増えないかな。

 そんな事を考えながら、私は眠りについた。

 すやあ。

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[一言] マコトが女生徒を虜にする時がキター
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