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第484話 マーラー領館でアダベルドレスとジュリエットドレスを見る

 どやどやと飛空艇を降りた。

 春だけど、山間の街は寒いね。

 ちょっとぶるっときた。

 家令頭のセバス爺さんがにこやかに笑いながら、私たちを出迎えてくれた。


「これはこれは、聖女さま、お早い御再会に、この爺の胸もときめきますぞ」

「あまり日取りが無かったけれど、お願いしていたドレスと礼服はできているかしら?」

「はい、今朝整いましてございます。みな素晴らしいデザインの物で楽しんで縫製できたと言っておりましたぞ」


 ドレスを作ったのが、アダベルに、ジュリエットさんに、ミーシャさんだな。

 鍛冶部のアイーシャさんのも作ったのだが、用事でこれないから、取ってきて夜に試着するとの事。

 礼服が、私のと、ライアン君と、オスカーのだね。


「服を頼んだ人は試着するから、領館へ、セバス爺ちゃんに付いていってね」

「「「はーい」」」


 カーチス兄ちゃんと剣術部一家がまとまった。


「俺らは街をぶらついてくるな。集合は五時ちょうどか?」

「そう、遅れないでね、五時ちょうどにここに」

「わかった、いくぞ、みんな」

「「「「はーい」」」」


 お洒落組とケビン王子主従がやってきた。


「では、僕たちは街を散歩してくるね」

「はい、メリッサさん、マリリンさん、おねがいね」

「わかりましたわ」

「ケビン王子さまをご案内できるなんて誇らしいですわ」


 ゆるゆると、王子主従とお洒落組は街の中心街に向けて歩いていった。


「ほんだら、わたしらはこれで」

「家に挨拶せねば」

「五時にまたうかがいますんで」

「はい、おねがいしますね」


 お針子三人組は大きな荷物をしょって街へ歩いていく。


 さて、残りは、試着組とその付き添いと孤児さんたちだな。


「みんなは、街を見てくる?」

「アダちゃんのドレスを見る~~」

「見たい見たい~~」

「街はその後だね~~」


 そうかそうか、では、皆で領主の舘に入ろう。

 どっしりとした木で組んだ重厚な舘は、古い民家特有のいぶした感じの良いにおいがするね。

 暖炉の煙の匂いなんだろうなあ。


「それでは、試着の方はこちらにきてください」


 セバス爺ちゃんが試着のみんなを集めた。


「領袖の礼服は試着しないのですか?」


 ヒルダさんが小声で言って来た。


「うん、秘密だから、こっそり試着するよ」


 私が答えると彼女はカロルの方を見ながら小さくうなずいた。


「では帰りの飛空艇の中で試着いたしましょう」

「おねがいね」


 試着の皆は二階で着換えるので、一階の広間に付き添い組は残された。

 領主の舘の侍女さんが孤児達に紡績機の模型とかを見せて説明してくれて助かるね。

 社会科見学だな。


「学園長、後でみんなで紡績工場の見学とか行きましょうか」

「おお、それはいいね。現場を見るのは何よりの勉強だよ」

「かしこまりました、聖女さまのご一行なら、どこの工場でも大歓迎と思われますわ。さっそく予約を入れておきますわね」


 侍女長っぽいおばさんが侍女さんに手紙を持たせて走らせた。


「工場見学は楽しそうね」

「糸の着色とかどうやってるのかな?」

「行けば解るよ」


 また、キルギスが居心地悪そうにしてるな。


「なんで不安そうな顔なのよ」

「暴力沙汰の無い交渉とかあまり経験がないんだよ」


 どんだけスラムで殺伐生活を送って来たのか君は。


「あまり荒事のない日常に慣れないとね」

「なんだ、大事な察知感覚が鈍りそうで怖いんだよな」

「リンダさんに相談してみなよ、結構大丈夫とか言ってたよ」

「そうだなあ」


 二階の階段から、アダベルが下りてきた。

 ふおおおおおっ。


 綺麗だね綺麗だね。

 青い髪のアダベルが赤いふわふわドレスを着るとうっとりするぐらい可愛い。


「うひひ、どうだー?」


 アダベルは私たちの前でくるりと回った。

 尻尾も誇らしげに立っていて良いね。

 青の尻尾と、赤いスカートで遠い色なのにセンス良く綺麗にまとめてるね。


「おおお、可愛いよ、アダベル!」

「素晴らしいね。君を誇りに思うよ、アダベル」

「わあ、アダちゃん綺麗!!」

「お姫様みたい~~すご~い!」


 アダベルはみんなに褒められて誇らしげだ。

 キルギスは、アダベルのドレス姿を熱い視線で見つめていた。


「どうだ、キルギス?」

「あ、ああ、そのすごい綺麗だな……」

「だろだろ、うひひひひ」


 アダベルは可愛いからふわふわドレスが反則みたいに似合うね。


「もう着換えてきなさいよ」

「なんでよ、マコト!」

「明日のダンスパーティ用の服なのよ、汚したら洗濯できないわ」

「お、おう、そうか、そういやそうだ」


 君はその服で孤児と遊び回ろうと考えてたね。

 お姉さんは予測できるのだ。

 ほっとくと泥遊びもしそうだ。


 アダベルは侍女さんと二階に上がっていった。


 入れ替わるようにジュリエットさんが下りてきた。

 あはは、これは、凄いなあ。


「どうですかっ」


 ジュリエットさんはフンスとばかりに赤黒ゴスロリでポーズを決めた。

 黒の眼帯付きだね。

 なんというまとまり具合か。

 侯爵グレードなので、生地が凄くいいね、ふわふわピカピカである。


 イラストの時も凄かったが、立体になって体にまとうと途轍もない存在感だ。

 ジュリエットさんも美少女だから、もの凄く格好いい。


「似合うなあ、凄いよ、ジュリちゃん」

「そうでしょうそうでしょう、もっと褒めても良いのですよ!」

「読み本の悪者令嬢みたいであるね」

「ジュリエット素敵だよ、惚れ直したよ」


 ロイドちゃんがしみじみという。

 このタラシは口が上手いわね。


「格好いいなあ~」

「ジュリエットさま素敵~~」

「怖いけど可愛い格好いい」


 孤児たちに褒められてジュリエットさんはくるりくるりと回るのだ。

 やっぱり新しい服はテンション上がるね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] アップルトンの一大紡績地帯の社会科見学。
[一言] いずれはアダベルの変身対応ドレスを ドラゴン姿でもふわふわフリフリで
[良い点] やっぱり、ドレス着たら回転するよねwww
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