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第483話 飛空艇は突剣山脈を飛び越す

 飛空艇の操縦桿を引いて空に飛び上がる。

 今日のフライトは私が運転するのであるよ。

 良く晴れて飛行日和よね。

 私はかぶった船長帽を直した。


着陸脚スキッド格納」


 ガチャン。


着陸脚スキッドの格納を確認しました】


 高度を百クレイドほど稼いだら、出力を上げ、前進、加速し始める。

 蒼穹の覇者号は滑るように加速していく。

 目標は突剣山脈。

 三千クレイド級の山岳を飛び越してマーラー領に向かう。


「あーあ、またマーラーの奴、こねえかなあ」


 火器管制席に座ったカーチス兄ちゃんが物騒な事を言う。


「やめろい、聖女ビーム砲をまた使われると補充が大変なんだ」

「エネルギーの問題かよ」

「大問題なんだ」


 一発、光魔力タンクの四分の一消費する馬鹿ビームなんだぞ。

 気楽に打てるもんじゃないぞ。

 だいたいマーラー来ても、もう外套は要らんぞ。


「やあ、操縦席は映像で外が見れてすごいね」

「まったくですね、王子」


 そしてケビン王子主従が後ろのベンチに座ってやがる。

 上のラウンジに行けよう。

 もしくはスイートルームでのんびりしてろやー。


 船内モニターを見ると、孤児達が甲板に出て外を見ておる。

 アンヌさんがテーブルと椅子を出し始めたな。


 今日のお洒落組とゆりゆり先輩はラウンジでくつろいでいるな。

 お針子さんは四等船室だ。


 どんどん高度を上げ、どんどん速力を上げていく。

 どんどん突剣山脈が近づいてくる。


 ヒューム川沿いの街道を行くと、アリアガルドで一泊の後、マーラー領前の宿場街で一泊の二泊三日の行程なんだけど、飛空艇なら一時間ほどである。


「こちら艇長のマコトキンボールです。本日は蒼穹の覇者号にご搭乗ありがとうございます。本艇は王都学園グラウンドを一時ちょうどに出発、突剣山脈経由で、マーラー領を目指します。目的地のマーラー領館前練兵場には二時ちょうどを予定してます。みなさまごゆっくりフライトをお楽しみ下さい」


 伝声管の蓋をあけて、艇内に放送をした。


「やあ、どうにいってるねえ、キンボールさん」

「やりますな」


 うるさいぞ、王家主従。


 さて、突剣山脈が大きくなってきたな。

 山の上を飛び越すのは、気流が悪くなるから気を付けないと。

 派閥員と王子二人を乗せて墜落事故とか洒落にならないしな。


【今日の突剣山脈の気候は晴天で気流の乱れもあまりありません】


 ディスプレイが気象レーダー画像に切り替わった。

 全体的に青い。

 気圧が低い黄色や赤の部分は無いね。


 操縦桿を引き上げて、さらに高度を上げる。

 あんまりすれすれを飛ぶと危ないからね。

 頂上から千クレイドほど上空を目指す。


 蒼穹の覇者号は問題無く山頂を飛び越した。

 一回だけぐらっと揺れたけど、それだけであった。

 天気の良い時の飛行は安全なのよね。

 天候が悪いときの飛行が危ないらしい。

 ダウンバーストとか言う下向きの突風とかで良く飛行機が墜ちるらしい。

 メーデーで見た。


 山頂を飛び越すと、遠くにマーラータウンが見えた。

 ラウンジで子供達が大喜びである。

 高度が上がったので、誰かが子供達を取り込んでくれていたようだ。

 高空だと与圧キャビンにいないと危ないしね。

 寒いし。


 徐々に高度を落とす感じでマーラー領を目指す。

 帰りも日があれば突剣山脈の飛び越しルートが楽だね。


 畑の上を飛行して、マーラータウンが見えてきた。

 飛空艇が珍しいのか、田園に出ている農民の人たちが手を振ってくれるね

 彼らの上を蒼穹の覇者号は飛び越していく。


 マーラータウンが大きくなってきたら、出力を絞って減速する。


「ここがマーラータウンか、綺麗な街だね」

「アップルトンの一大紡績地帯ですな」

「王都への輸送はどうしてるのかな」

「街道を使いアリアガルドへ行き、そこから川舟ですね。前回の関税十五倍で難渋したようです」

「あれは酷かったね、あちこちから苦情がホルスト家へ殺到してたようだよ」

「関税を政治的な攻撃に使うと色々と弊害がありますな」


 王家の方でも噂になっておったか。

 そりゃそうだよね。


 領主の舘上空で空中停止し、練兵場に合わせて高度を落としていく。


着陸脚スキッドを展開」


 ガチャン。


着陸脚スキッドの展開を確認しました】


 スルスルと高度を落として着陸する。


【蒼穹の覇者号、タッチダウン】


 私は伝声管の蓋を開けた。


「お知らせします、こちらは艇長のマコト・キンボールです。本艇は予定通り午後二時三分にマーラータウン領館練兵場に着陸いたしました。押し合わず下船をお願いします。なお、学園への帰投は、午後五時ちょうどを予定しています。お遅れの無いように集合おねがいします」


 船内モニターで、みんなが移動しはじめるのが見えた。


「僕たちはどうしようか、どこに行くジェラルド?」

「一通り町並みを見ましょうか、その後になにか買いましょう」

「ロイド王子がこの街二回目だから案内してもらったら?」

「ロイドかあ、でもジュリエット嬢と一緒に居たいだろうしなあ」

「じゃあ、お洒落組と一緒に行くと良いですよ」

「アンドレアさんとゴーゴリーさんだね。街を一回りしたらお願いしてみようか」

「そうですな、では行きましょう、王子」


 そう言うと王家主従はメイン操縦室から出て行った。

 まあ、ジャックさんが付いてるから大丈夫でしょう。


「私たちはどうする、マコト?」

「そうねえ、最初はアダベルの試着を見て、あとは街を孤児たちと一緒にぶらぶらかな」

「そうしよう」

「うむ……」


 コリンナちゃんとエルマーが返事をした。


「俺は、エルザと、カトレアと、コイシで街を回ってくるよ」

「家族サービスだな」

「なんか違うぞ」


 とはいえ、剣術組は仲良しで良いな。


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