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第482話 土曜の午前を過ごして、みんなで飛空艇にのりこむ

 さて、土曜の午前の授業である。

 数学、地理、国語、魔術理論だね。

 基本的に座学なのですいすいである。


 数学もまだまだ大丈夫、卒業までに覚えるのは前世の中学生程度のレベルだから、あまり心配はしていない。


 難しめなのは魔術理論なのだが、基本的にこれって仮説なのよね。魔法がなんで作用するか証明はなされてないのだ。

 何かの力が働いて、詠唱魔法、錬金術、魔法陣と不思議な作用が起こるのだが、原理の解明はされていないのである。

 とりあえず、仮説理論を一応生徒の頭に叩き込もうという授業だな。

 前世の素粒子理論みたいな物よ。


 これが、まったく無意味かというと、そうでもない。

 仮説理論があると、魔法の設計とか、魔法陣の回路設計とかがやりやすくなるしね。

 覚えておいて損は無い感じか。


 よし、授業終了! アンソニー先生のホームルームである。

 明日の新入生歓迎ダンスパーティを控えて浮かれる生徒さんが多いのだけれども、あまり羽目は外さないようにとの事。

 毎年、盛り場に出て捕まる一年生が絶えないらしい。

 カーチス兄ちゃんが不安だが、まあ、大丈夫でしょう。

 あとで釘をさしておくかな。


「おう、今日はひよこ堂か?」

「そうだよ」


 カーチス兄ちゃんを筆頭にB組の子たちがどやどやとA組にやってきた。


「じゃあ、さっさと行こうぜ、午後からマーラー領だろ」

「そうだね、いこういこう」


 ケビン王子とジェラルドがやってきた。

 当然のようにひよこ堂行きにまざろうとしておるな。

 まあ、いいけどさ。


「薬とチョコボンボンは王宮へ行ったの」

「うん、ジャックに持って行ってもらったよ」

「薬だからバクバク食べないように言わないと夕方には無いかも」

「ふふ、問題無い、きちんと『薬用:無断で食べるべからず』と羊皮紙に書いて貼っておいたのだ」


 さすがはジェラルド、隙が無いね。

 ケビン王子も満足そうにうなずいていた。


 王子主従を交えて廊下を行く。

 階段で二年生と、玄関でゆりゆり先輩と合流した。

 そのままぞろぞろと外に出てひよこ堂へ。


 アダベルと孤児たちはどのタイミングで来るのかな。

 お昼済ましてからくるかな。

 あまり遅くなるならダルシーに探して貰わないと。


 みんなつつがなくパンを買い込んで自然公園へと向かう。

 何度もやってるから、流れるような動きだね。


 みんなで芝生に敷布を引いてその上でパンを食べる。

 私の今日のパンは聖女パンと卵ハムサンドであるよ。

 ソーダがしゅわしゅわで美味しいな。


「キンボールたちはこれからマーラー領なのか?」

「そうだよ。一緒にくる?」

「かまわないかい、キンボールさん」

「公務が暇だったら良いんじゃない」

「麻薬捜査があるから、暇では無いが、他領を見るのも勉強になるかと思うのだ」

「そうだね、飛空艇でちょっと行って見るのは楽しそうだしね」

「いいんじゃないかな、王子様は色々知らないといけないしね」

「うん、ロイドが晩餐の場で自慢するのでくやしくてね」

「あはは、そうだったんですか兄さん」

「平静を装っていたが、内心、いいなあいいなあと思っていたんだよ」


 王子さまなのに、率直だなあ。


「運賃はいくらか?」

「人が一人二人増えても関係ないから、只でいいよ、王家にチャーターされたわけじゃないし」

「それはありがたい」

「代わりに向こうでなんか買ってあげてね」

「ふむ、解った」


 旅行業者のお土産物屋商法だな。

 まあ、ハンカチでも買いなさい。


 皆が食べ終わったので、学園に戻る。


【蒼穹の覇者号を発着グラウンドに廻します】

「ありがとう、おねがいね、エイダさん」


 胸のブローチに返答する。

 勝手に出てきてくれるから蒼穹の覇者号は好きさ。


 校門をくぐると、空に蒼穹の覇者号が現れて第三グラウンドに着陸した。


「キンボールの飛空艇は便利すぎだろう」

「白銀の城号でも自動操縦はないよ」

「特別製だからしょうがないんだ」


 王家主従の突っ込みを軽やかにかわすのだ。


 グラウンドに近づくと、中庭方面から、アダベルと孤児を連れた学園長がやってきた。


「やあ、今日も頼むよ、キンボールくん」

「ガクエンチョも行くって」

「アダベルのドレスですものね」

「はっはっは、なんだか楽しみでね、年甲斐も無くワクワクしているのだよ」


 孤児の子も勢揃いだね。

 キルギスやナタリーちゃんもいるな。


「エイダさん、ハッチを開けてください」

【了解いたしました】


 みんながどやどやと飛空艇に乗り込みはじめた。

 ヒルダさんが、お針子さん三人を連れてきた。


「今日もお願いしますね、短い時間で悪いのですが」

「なんでもねえですよ」

「まかしといてください、聖女さま」

「明日の朝までにきっちりしあげますんで」


 三人はお土産なのか、背中に包みをしょっていた。


「王都のお土産ですわ」

「配んないと、怒られまっすんでねえ」

「田舎だからしょうがないのんですよ」

「良いですね。新入生歓迎ダンスパーティが終わったら、また飛空艇でお送りしますから」

「ちょっと、王都見物してから帰りたいですわ」

「そんですな。被服博物館を見物してえです」

「あと、最新モードも見るっす」

「帰る日時を教えてくださいね」

「「「はい」」」


 お針子さんたちも腕が良いし仕事が早いんだよね。

 日曜日に来たドレス礼服は完成してるし。

 今日納品されるやつもそんなに数が無いからすぐ完成されるでしょうね。

 本当に助かりますよ。


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[一言] >前世の素粒子理論みたいな物よ。 量子力学並みに構築した理論に現実との差は無いって程度の仮説かな
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