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第478話 晩餐のデザートにチョコボンボン

 晩餐の時間になったのでコリンナちゃんと部屋を出て施錠する。

 たすたすと階段を下りる。

 エレベーターホールに皆がいて食堂に入る。


 なんだか食堂の雰囲気が変である。

 なんとなく殺気だっているというか。

 なんだろう。


「どうしたのクララ」

「いやあ、晩餐にチョコボンボンをデザートに出したらさ、皆、殺気だった」


 それは殺気だつと思うな。


「下級貴族ブースも殺気立ってるけど」

「上級はチョコボンボン二個、下級は一個だよん」


 それは殺気だつであろう。

 下級貴族食には普段デザートなんか付かないからなあ。


「チョコレート高いのに、よく在ったね」

「なんだかメレーさんが安いお店を見つけたらしいよ」

「ほうほう、安いチョコは良いなあ」


 ひよこ堂のパンのバリエーションが増えるぞ。

 チョコミント聖女パンとか作りたい。


 トレイを取って、メリサさんからお料理のお皿を受け取る。

 今日は、鶏のモモのソテー、野菜サラダ、コンソメスープ、黒パン、チョコボンボンであった。

 うひい、晩餐に、ちょっとデザートがあるだけで嬉しいね。


「これはヒールじゃない方?」

「当たり前ですよ、ただのお菓子です」


 そりゃまあそうね。


「だから、お金は出すって言ってるでしょう!! チョコボンボンをもっとよこしなさい!!」


 あ、また命令さんがカウンター越しに怒鳴っておる。

 イルダさんが困っているなあ。


「ですので材料があまりありませんので、余分にお出しする事は……」

「下級貴族食のボンボンを止めれば良いでしょう!」

「そういう訳には……」


 なんというか、命令さんは意地汚いね。

 で、命令さんの怒鳴り声を聞いて下級貴族ブースの皆さんの空気が尖った。

 もろ殺気である。


「まあまあまあまあ、およしなさいよ淑女がお菓子の事で激高してはいけないよ」

「あら、エステルさま、お恥ずかしい……」


 舎監のエステル先輩が仕事をしているのを見るのは何時ぶりだろうかな。

 さすがの命令さんも宝塚フェロモンには弱いようで丸め込まれておった。


 さて、見物していないでテーブルまでお料理を持って行こう。

 お菓子のチョコボンボンは楽しみだな。


 席に着いて皆が揃うのを待つ。

 まわりの声を聞くとはなしに聞いている。


「ほわああああっ」

「のわわっ、なんですのなんですの、この甘味のパラダイスは!」

「あああっ、スースーして甘い、甘くてスースー、私の味覚が幻惑される!」

「お菓子の法則が乱れますわっ!」

「抜群の美味しさですわ! 十個二十個むさぼり食べたいですわっ」


 むさぼり食うと太りますよ。

 チョコに砂糖なんですから。


「凄いわね。確かにチョコミントボンボンは美味しいけど」

「うん、なんか抜群に美味い」


 カロルとコリンナちゃんが着席と同時につぶやいた。


「お二人はもう食べられたのですか、いいですわね~」

「メリッサさんも好きな味だと思うわよ」

「そ、そうでしょうか?」


 うしし、メリッサさんだったら絶対気に入るって。


 皆がテーブルに揃ったので、食事のご挨拶。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 ぱくり。

 うんうん、良い感じの鶏モモソテーだね。

 大きくて食べ応えがあるね。

 うまいうまい。

 皮はパリパリ、身はジューシーで美味しさがぎゅっと詰まった鶏モモだね。


 野菜サラダはレタスとキュウリ中心だね。

 フレンチドレッシング系のものが掛かっていた。

 スープはコンソメで鶏モモにベストマッチだね。

 うまうま。


 晩餐をパクパク食べているが、気持ちはチョコミントボンボンに釘付けであるよ。

 楽しみ楽しみ。


 酸っぱい黒パンも美味しいなあ。

 なんか、クララの腕がどんどん進化していくね。

 さすがは名月堂の娘である。

 パン作りエリートなんだなあ。


 はあ、美味しかった。

 さてさて、量産型お菓子タイプ、チョコミントボンボンを食べよう。


 パクリ。


 んおーーーー。

 んおーーーー。

 これは凄い、ヒールポーションじゃなくて、砂糖に生ミントなんで味が鮮烈だ。

 前世でも、この水準のチョコミントは味わった事が無い。

 やっぱりヒールポーションは薬品でお菓子のソースじゃないんだなあ。

 甘い、スースー。

 甘い、スースー、甘い!

 確かに味覚の法則が乱れる。


「あ、これ、凄いわ、美味しい」

「わ、凄いな、スースー」


 カロルとコリンナちゃんが口元を押さえて幸せそうなメスの顔になった。


「ほわっ、ほわああっ」


 メリッサさんが奇声を上げて頬を押さえてうっとりしておる。


「うふ、うふふふ、これは素晴らしい高原の疾風みたいなお菓子ですわね……」


 マリリンが何やら文学的表現をし始めた。


「甘スースーみょん」

「甘いな……」


 剣術組は目を閉じ甘みを反芻している模様である。


「これは美味しいですわね、初めて食べる味ですわ」


 エルザさんも頬を赤くしてうっとり食べてますな。

 というか、チョコレートは催淫剤の側面も無かったっけか?

 あれはプラーシボ効果だっけ。

 まあ、チョコボンボンのチョコの量なんてマーブルチョコ二つぐらいだから大丈夫だろうけど。


「ふふふ、ふふふふふふふっ」


 ヒルダさんはニコニコ笑いながら目を細めているな。

 意外に美味しい物が好きなのよね、ヒルダ先輩。


「これはおいしいわっ、おいしいですわっ、なんだか天国な味ですわねっ。これはどこで売ってるのでしょう、マコト様」

「まだ市販されてはいないのよジュリちゃん。新入生歓迎ダンスパーティに出るでしょうね」


 新入生歓迎ダンスパーティに出ると聞いた瞬間、あたりがシンとなった。


「ダンスパーティに……」

「た、食べ放題かしら……」

「立食式ですから、早い物勝ちですわね」

「ダ、ダンスはそっちのけで食事ブースに行くのははしたないかしら」

「私の想い人にも食べて頂きたいわ」


 私の不用意な一言であたりは殺気だった。

 新入生歓迎ダンスパーティではチョコミントボンボンが大量消費されそうね。

 千個とか作らないと駄目かも。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 聖女おじさんさぁ……
[良い点] 作者さん、最近の更新はお疲れ様です! お菓子の威力が凄まじいですね〜
[一言] フリーの男子勢諸君はミントチョコボンボンの魅力を上回らなければ、争奪戦に女子が大勢流れてろくにダンスにも誘えない(パートナーがいる人は話の種になるからある程度除外な)わけですかw サツバツ!…
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