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第473話 薬草が足りないので飛空艇で取りにいく

 学園の馬車溜まりで馬車を降りた。

 王子二人とジェラルドは、そのまま王宮へ乗っていくそうだ。

 私は馬車を見送った。


「今日もありがとうね、カロル、エルマー」

「何言ってるのよ、友達でしょ」

「気にするな……」


 校舎の時間を見ると、もう放課後だね。


「私たちはカロルとナタリーちゃんと錬金するけど、エルマーはどうする?」

「部活に……、いく……」

「そう、ありがとうね。そうだ、ダルシー」

「はい、マコトさま」

「入浴剤の小瓶をちょうだい」

「はい」


 ダルシーはエプロンから入浴剤の小瓶を三つだした。

 それを取って、エルマーに渡す。


「家族で使って」

「みんな……、喜ぶ……、ありがとう」


 そう言ってエルマーはにっこりと笑った。

 なんだねえ、氷の貴公子と呼ばれた面影は無くなったね。

 でも、私はそういうエルマーの方が好きさ。

 エルマーはじゃあと言って校舎に入っていった。


「さあ、行きましょう」

「今日は何を作るんですか、カロリーヌ先生」

「今日はマコトに協力してもらって、特殊な薬品を作ります。素材を刻むのを手伝ってね」

「はいっ、頑張ります、カロリーヌ先生、聖女さま」

「うんうん、偉いね」


 ナタリーちゃんは頑張り屋さんで偉いね。


 三人で中庭を歩いて女子寮に入った。

 エレベーターを使って五階へ。


 錬金室の即売所前では何人かの生徒が待っていた。


「あ、今開けます」

「ゆっくりで良いよ、使うのは日曜だしさ」

「あら、先輩がたは新入生歓迎ダンスパーティには出ないんですか?」

「あはは、エスコート役も居ないし、ドレスを作るお金も無いしさ、貧乏人は迷宮に行って小遣いを稼ぐのさ」


 二年生の戦士っぽいお姉さんと、魔術師っぽいお姉さんだね。

 冒険者ガチ勢の人だな。

 カロルが錬金室の中に入るとアンヌさんが即売所のシャッターを開けた。

 お姉さん方はポーションを三本とマジックポーションを一本買っていった。

 頑張って稼いでねー。


 私とナタリーちゃんは錬金室に入った。

 一歩入ると漢方薬みたいな匂いがして落ち着く。

 やっぱり錬金室は良いね。


「ちょっと、キュアオールポーションの文献を探すから、お茶を飲んでまっててね」


 カロルはそう言うと書架の方に行った。

 アンヌさんが私とナタリーちゃんにハーブティーを入れてくれた。

 いつものルーベラ風のクッキー付きである。

 私、これ好き。

 ポリポリ。


「おいしいね」

「はい、おいしーっ」


 カロルが大きい本を抱えて戻ってきた。


「あったあった、でも希少材料がいるわ、在庫あったかしら」


 そう言って、カロルは薬タンスの引き出しを引いた。


「必要量が無いわ、オルブライト領から取り寄せないといけないかしら」

「なんの材料?」

「夕焼け草の根ね」


 聞いた事も無いな。


「エイダさん、ビアンカさまは夕焼け草を取りに行った事がある?」

【……、あります、ですが現在も繁茂しているかは不明です】

「あるんだ!」


 カロルが驚愕した声を出した。


「そんなに希少なの?」

「わりと希少ぐらいかな、薬草ハンターの人がたまに錬金術ギルドに持ってくる感じかな」


 ふむ、どれくらい希少か解らん。

 友鳴花ほどは希少じゃないみたいね。


「場所はどこかな、エイダさん」

【突剣山脈の西麓です】

「意外と近いわね。馬車で半日だわ。取ってこようかしら」

「飛空艇なら一時間」

「あ」


 マーラーのいた辺りだね。

 高山植物なのかな。


「せっかくだから取りにいこう」

「そうね、夕焼け草があればキュアオールポーションは出来るみたい」

「釜一つ作っておけば大分麻薬治療が楽になるでしょう。行こう行こう」

「マコト、あのね、キュアオールポーションなんて、麻薬治療なんかに使う物じゃ無いのよ、重病も治るから、欲しがってる人は沢山いるのよ」

「重病が治るなら良いじゃん、オルブライトの流通で売りましょうよ」

「マコトがお気楽で困るわね。でも、あると王家にホイホイ呼ばれなくて済むわね」

「ひ、飛空艇に乗せてもらえるんですか?」

「もちろんよ、ナタリーちゃん」

「わあ、また乗れて嬉しいっ」


 私もクルーズ出来て嬉しい。

 さあ、フライトだ。


 三人で地下までエレベーターで降りて、洗濯場横のドアから地下道に入る。

 ナタリーちゃんは地下道を見て目を丸くしている。


 自動でドアが開くのは良いなあ。

 まだ、図書館地下秘蔵庫では、お養父様とうさまが書物整理をしてるのかな。

 一瞬呼ぼうかとも思ったが、また学者さんたちが一杯来るとうっとおしいのでやめた。


 格納庫の扉が開くと、ナタリーちゃんが歓声を上げた。


「私ばっかり悪いみたい」

「カロルのお弟子さんだから当然よ」

「そうよ、薬草採取も大事な錬金術士の仕事なのよ」


 私たちは蒼穹の覇者号に乗り込んで、メイン操縦室に入った。


「さて、久々に私が操縦するわよ」

「お願いね、マコト」


 カロルが副操縦席に、ナタリーちゃんは後ろのベンチに座った。


【四番、三番、二番、一番ゲート開きます】


 前方のゲートが一枚ずつ開いていく。

 いつもながらこの光景はワクワクするね。


「出力上昇」

【蒼穹の覇者号、離陸テイクオフ

着陸脚スキッド格納、微速前進」


 蒼穹の覇者号はゆっくりと前進を始めた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『(キュアオールポーションがあれば)王家にホイホイ呼ばれなくて済むわね』 それな。 [一言] 【ラ】ベラ風のクッキー→ル? あと麻薬検知のサーチ魔道具ですね。
[一言] 地下茎ではなく地上に出てる部分が必要な薬草や地上に露出してる鉱石ならレーダーで探せるだろうからサンプル集めしておかないと 地下部分が必要な類は不要とされるだろう地上部を確保だな
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