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第469話 王城の一階ホールで王子達と話しこむ

 階段を上がって王宮の一階ホールに出る。

 ああ、空気が綺麗だなあ。


「伯爵位の現当主とかを捕まえても地下牢に放り込むの?」

「いや、伯爵位以上の当主を捕まえて置く場所は、城の尖塔だな。一応二本ほど掃除させておいたが、まだ、当主の患者は捕まっていない。子息か家来ぐらいだ」


 ジェラルドがとつとつと答えた。

 まだ、伯爵当主で麻薬患者は出てないのか。

 というか、高位貴族は捕まっても特別扱いなんだな。


「カロル、薬液を入れる瓶で一番小さいのは?」

「二十号ね、希少薬剤を分ける時に使われるわね」


 聖女の湯の小瓶が十五号だから、もっと小さい瓶か。


「いや、もう麻薬の治療が面倒臭いので、ヒールポーションを小分けして売ろうかと思って」

「それは確かに良い考えだな、ある程度貯蔵しておけば夜間も対応できるか」

「そうだね、それは良い。や、お酒の酔い覚ましにもなるかも」

「そうですな、錬金薬は便利かもしれません」


 おお、そうか、酔い覚ましにもなるか。

 便利便利。


「だめよ」

「なんでよ!」

「ヒールポーションだと薬剤を飛ばすだけじゃない。治療にはキュアオールポーションにしないと」

「あ、そういやそうだね」


 ヒールだけだと患者から薬を飛ばして禁断症状を起こさせるだけか。

 キュアオールポーションを作らないといけないんだな。


「あと、キュアポーションのレシピは解るけど、キュアオールポーションのレシピを暗記してないわ、作った事が無いから」

「作らないの?」

「ヒールポーションと一緒で、聖女の光魔法前提のポーションになるからマリアさまの時代に少し作られたぐらいよ」

「キュアポーションは作れるの?」

「土魔法のアースキュアを薬剤に付与するから」


 キュアポーションに光魔法のキュアオールを付与するんじゃ駄目なのかな。

 光魔法の病気治療魔法はキュアオールが最低線なんだよね。

 この上はエクストラキュアオールになる。

 わりかしどんな病気でも治る。


「作れそうかい? オルブライトさん」

「たしか手持ちのレシピ集に載っていたと思いますので帰ったら調べてみますよ」

「キンボール、ヒールポーションの酔い覚ましも作ってくれるか?」

「ああ、新入生歓迎ダンスパーティでも使えそうね」

「そうだ、毎年深酒をして倒れる新入生が多いらしい。せっかくのダンスパーティで倒れた生徒の酔い覚ましに呼ばれるのはキンボールもつまらないだろう」

「そりゃ勘弁だな」


 ヒール酔い覚まし分包を作れば、いろいろ使えるな。

 聖女の湯の効能を見る限り、そんなに濃い必要はないので、一釜作れば薄めて沢山分包できそうだね。

 カーチス兄ちゃんが栗蒸留酒を買ってたから、アレを使って実験……。

 ああ、男子は女子寮に入れないか。

 メリッサさんがワインとか持ってないかな?

 後で聞いてみよう。


「キュアオールポーションだと、普通のポーションぐらいの量は要るかしら。ヒールポーションはどうも半分ぐらいの量で良いらしいのだけど」

「麻薬の中毒度次第で、何回もかけなきゃいけないし、最悪エクストラキュアオールをかけたりしてるね」

「エクストラ系は特殊素材が必要になるわね、きっと」

「あまり作っても、日持ちがしないと困るね」

「希少素材を使った薬剤は時間停止の魔法が掛かった瓶に入れられるわよ」

「そんな凄い物が!」

「ダンジョンからたまに出るのよ。自作はできないわね」


 後期魔導文明の産物か。

 でも、そりゃそうだな。

 そうでもないとエリクサーとか作られないか。


「今日はありがとう、キンボールさん、オルブライトさん、クレイトンくん。囚人の治療をしてくれて助かったよ」

「まだまだ増えそうね。キュアオールポーションができたら届けるから使いなさいね」

「助かるよ」


 ケビン王子は微笑んだ。


「一本金貨三枚ぐらいかしらね」

「そ、それは高いのではないか、オルブライト嬢」

「ジェラルド卿、マコトがやってる治療だって一人頭十金貨は取れる特殊な治療なんですよ」

「そ、それは、た、たしかに」


 そういやそうだな。

 あんまりお金の事は気にしてなかったが。


「キンボールさんへの治療報酬を財務局に計上したほうが良いね」

「いらないいらない。麻薬撲滅は教会の仕事でもあるし。気にすんなって」

「そうかい、すまないね、キンボールさん」

「せめてホルボス山の登記を急がせよう」

「そうだね、ジェラルド」


 おお、それは助かるね。

 というか、聖女は真面目にやると馬鹿みたいに儲かるなあ。

 ビアンカさまが巨万の富を築けるわけだな。


 ロイドちゃんの目が泳いでいる。


「なによ?」

「いや、聖女の治療報酬を考えたら、気楽に警備騎士団の囚人患者を頼めない感じで」

「聖女の力は女神さまから借りてる力だからね、お金は気にしなくていいよ」

「あんまり安売りしないのよ、マコト」

「わかってるわかってる」


 私の嫁は錬金企業の社長でもあるからなあ。

 厳しい意見が出るね。

 領は企業でも無いんだけど、産業にしてるのは一緒だからね。


「さあ、警備騎士団本部にいって仕事を終わらせようよ」

「そうだな、マコトっち」

「僕たちも行ってもいいかい?」

「いいけど、なんで?」

「余所の騎士団の動きも見て参考にしたい」

「王宮は、『タワー』と近衛騎士団を連携させねばならんからな」

「それは良いね、兄さん。僕も聖騎士団に行って動きを見たい」


 聖騎士団の動きは……。

 リンダさんがトップで暴れてるだけなので、参考にはならないと思うが。

 まあ、いいか。


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― 新着の感想 ―
[一言] マコトの力を安売りするっていうのは女神様を安売りするのと同義だからね。主従二人の態度を見るにマコトは相手を調子に乗らせるタイプのお人好しな気がしますねぇ。
[一言] マコトポーションにせよ各種治療にせよ代替品もないから価格は本来天井知らずなんだよねぇ あと時間停止瓶はビアンカアメニティに使われてなかったっけ?
[良い点] カロルちゃんが良い感じにマコトちゃんをフォロー。 [一言] ロイドちゃんはともかくケビン王子とジェラルドはリンダさんのバーサークは初体験ですね。 得るものがあるといいね。 ついでにハゲも。…
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