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第467話 ゴーゴリー豚の豚焼きランチを食べる

 栗の蒸留酒スピリッツをちびちび飲んでいたら、店主さんがお料理を持って来た。

 ちょっと目が赤い。

 ごめんよう。


 持って来たのはランチプレートで豚の焼いた物がこんもり乗っていた。

 付け合わせはジャガイモと人参でシンプルだな。

 パンはライ麦パンのトーストだ。

 香ばしくて良い匂い。

 これにカップスープが付く。

 良い匂い、青菜が入ったコンソメ系だね。


「美味しそう」

「たんと食べておくれよ聖女さま」

「豚の照り焼き?」

「豚の塊にシロップとソースを塗って何回も焼いたもんさ」


 ほほう、照り焼きっぽいね。

 ソースはデミグラス系かな?


 ランチプレートが皆に行き渡った。

 では。


「いただきます」

「「「「「日々の粮を女神に感謝します」」」」」


 ぱくり。

 お、おおおっ。

 甘しょっぱいな。

 美味しい。

 豚のボディの味がしっかりしていて、そこに甘じょっぱい感じが乗るのでとても美味しい。


「美味しいねっ!」

「そうだろうそうだろう」


 店主のおっちゃんがにこやかに笑った。


「これは、酒が進むな!」


 カーチス兄ちゃんが豚を食べながら栗蒸留酒のロックをかぱかぱ飲んでおかわりも頼んでやがる。

 酔っ払ってもしらんぞ。


 とはいえ、私も豚を食べて、栗蒸留酒の水割りを含んで見る。

 ふわああっ、これは合うなあ。

 甘じょっぱさがスピリッツの酒精で洗い流されてさっぱりするよ。


「あんまり飲まないのよ」

「わかってるわかってる、カロルも試してみなよ、すごく合うから」

「ほんとう?」


 カロルも豚焼きを一口食べて、それから栗蒸留酒を飲んだ。


「あ、ほんとね、凄く合うわ」

「んでしょー」


 ふわあ、美味しい美味しい。

 コンソメも美味しいし、ライ麦パンはパリパリしているなあ。


 おっと、水割りが無くなってしまった。


「聖女さま、おかわりはいかがですか?」

「あ、いえ、お茶をください」

「かしこまりました」


 コリンナちゃんがニヤリと笑った。


「おかわりするかと思った」

「そんなに飲まないよ、お昼だし」

「ロックをがぶがぶ飲んでる人がいるんだが」

「まあ、あれはしょうが無い」


 カーチス兄ちゃんはのんべだからな。

 エルザさんが彼の世話を焼いて、嬉しそうだな。

 なによりだ。


 お皿に豚肉がこんもりあるので結構ボリュームが多いな。

 美味しいからパクパクいけるが、結構お腹に来るね。


「ここは良いな、夜にまたこよう」

「いいですわね、ご一緒しますわ」


 まったく、王都で飲み歩いておるのだな、カーチス兄ちゃんは。

 辺境伯家はお金持ちで良いよな。

 若い内に酒を飲むと知能が下がるぞよ。


 剣術組は、コイシちゃんが塩を振りまくってるし、カトレアさんはガガッと食べている。

 君らは……。


「懐かしい味ですわ。領に居る頃はお祭りというとこの豚焼きでしたわね」


 ユリーシャ先輩がしみじみと言った。

 故郷の味なのか。

 いいねえ。


 コリンナちゃんがしかめっ面をしていた。


「頭痛い?」

「酒が回ったっぽい」


 私はヒールを唱えてコリンナちゃんの額に手を当てた。


「ふう、ありがとうマコト、助かった」

「なんのなんの」

「あれは本当に便利だね、ジェラルド」

「今度、外国相手の晩餐会に参加してもらいましょう」


 王家主従がこちらをみて噂をしておる。


「私は薬瓶じゃないぞ。キュアポーションでも持っていきなよ」

「ポーション系では酒はあまり抜けないのだな」

「そうなのよね。マコトのヒールポーションなら抜けるかしら」


 カロルが話を拾った。


「聖女の湯で麻薬が抜けたから、抜けるんじゃ無いのかな」


 覚醒剤でハイになってたトレマー嬢を漬け込んだ事があったな。


「ふむ、聖女の湯を入れたお風呂を用意するのも気が利いていますな」

「うん、あれは美容にも良いし、良いアイデアだね」

「近々誰かくるの?」

「ジーン皇国の皇太子と王女が一ヶ月後ぐらいに来るそうだ」

「敵国じゃん」

「今は戦争はしてないからな」

「馬車で来るの?」

「飛空艇だ、覇軍の直線号がくるぞ」


 覇軍の直線号はジーン皇国が持つ二つの飛空艇の一つだな。


「聖女の湯でジーン皇国の野蛮人どもの度肝を抜くのはいいかもしれない」

「そうだね、それは良いね。びっくりするだろうね」


 ジーン皇国の皇太子と妹か、次回作のメインボスだな。

 原作のゲームには特にイベントは無かったけど、一年生の時期だから関わらなかっただけかな。


「そんなに外交で悪酔いする人とかいるの?」

「毎回、一人か二人は出るな」

「外交での失敗になってしまうから可哀想ではあるんだよね」


 よその国の晩餐会で飲み過ぎる奴は外交官の資格が無いと思うんだが。


 ランチプレートを食べ終わった。

 美味しかったなあ。


「いろんな地方に色々な料理があって楽しいね」

「そうですわねっ、ロイドさまっ」

「ゴーゴリー豚はとても良いですな」

「名産ですからね、でもここの味付けはとても素晴らしいわ」


 ゆりゆり先輩が感心したように言った。


「ありがとうございます、アップルビーのお姫様」


 お皿を下げに来た店主さんが、感涙の涙目でお礼を言った。


「私は絹問屋のお嬢様ですわよ」


 まだ、それを続けるのかゆりゆり先輩。


 食後に濃いコーヒーが出てまったりする。


 で、店を出る前にべろべろになったカーチス兄ちゃんの頭をヒール付き平手で叩いて酔いを飛ばした。

 きゃつめは栗蒸留酒を一瓶買っていたが、寮にお酒を持ち込むのは御法度ではないのか?

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] ボスなんだ……!
[一言] カーチス君、君って奴は・・・。聖女キアリーってほんと便利よね。これだけでも量産化できれば神殿も財政力UPなんだけどね。
[一言] 昼休みから蒸留酒とは、流石異世界
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