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第454話 いきなりフランソワ団長に喧嘩を売られる

 フランソワ団長はのしのしと私たちの方へやってきた。


 なんというきらびやかなハゲなのだろうか。

 美しい顔、ルージュを塗ったような唇、涼しい眼差し。

 そしてハゲ。

 つるつるだね。


「マコト・キンボールはどこなのかっ!」

「ここだよ」


 私はグラタンポッドを食べながら手を上げた。


「貴様かあっ!! 貴様の元にある飛空艇を近衛騎士団に差し出せっ!!」

「なんでよ?」

「そんな事は決まっておろうが、国家が所有すべき飛空艇を個人で独り占めするなど言語道断!! かの華麗な飛空艇は近衛騎士団が持つにふさわしいのだ」

「あれは光魔力で動いているから、私以外に魔力を溜められないのだけれど」

「お前が毎日、近衛騎士団本部に溜めにこいっ!」


 なんだなあ、馬鹿?

 コロンブさんがハゲの後ろでペコペコと頭を下げていた。


 ロイドちゃんに怒って貰おうかな、と思ったら、居ないな。


「ダルシー、ロイド王子はどこ?」

「……、学園外へ馬車で出かけた模様です」


 ダルシーが現れて教えてくれた。

 ジュリエットさんも見えないから二人でレストランでも行ったかな。

 役に立たないロイドちゃんめ。


「無茶苦茶を言わないで下さいよ」


 私がパンを食べながら立ち上がると、フランソワ団長は悪鬼のような怒りの表情で見下ろしてきた。


「何が無茶苦茶かっ!! 男爵令嬢の分際で身分をわきまえろっ!!」


 そう言うとフランソワ団長は腕を振り上げた。

 は?

 こいつ、人前で女子を打つつもりなのか?


 フランソワ団長は腕を思い切り振り下ろした。


 バリン!


 障壁が砕けて、彼は悲鳴を上げた。


「ぐわあっ!! 何だ、それは貴様あっ!!」

「障壁ですよ」

「身分が卑しい者のくせになんという卑怯なっ!!」

「あんたこそ、いきなり女子を叩こうだなんて、馬鹿なんですか?」

「なんだとなんだと、貴様っ!! わ、私は侯爵だぞっ!! 貴様貴様っ!!」

「やめなさい、フランソワ団長」


 ゆりゆり先輩が私の前に立ってくれた。


「うちの派閥の領袖になんて事をするんですか、フランソワ団長」

「ユ、ユリーシャさま……、いや、しかし、身分という物がですね……」


 馬鹿のくせに身分には弱いらしい。

 侯爵よりも公爵の方が上だしね。


 ジャリジャリジャリーンとチェーン君が立ち上がった。

 あ、カロルが激怒して表情が無くなってる。

 カーチスも立ち上がってるし、エルマーも懐から棒を出してるな。

 ヒルダさんが空中で手を動かしてる、あれは糸を飛ばしているね。

 このままではフランソワ団長をみんなで袋にしそうな勢いであるな。


「なんだ、おまえ、マコトを殴ろうとした?」


 いかんアダベルも臨戦態勢だな。


 というか、派閥の全員が怒ってるな。


「な、なんだ、おまえら、こいつは男爵令嬢ではないか」

「ホウズ」

『そうだな、愛しい娘を守るのは戦士の役目だ』


 カーチス兄ちゃんがホウズを抜きおった。


「ば、な、なんだその魔剣はっ!」

『ハゲよ、我が一太刀をあびるのを今生のほまれとせよ、我が名は聖剣ホウズ』

「な、なにいいっ!! 聖剣ホウズだとおっ!!」


 フランソワ団長の顔が驚愕に歪んだ。


 さて、困ったな、このままだと派閥の子たちが納得しないね。


「おい、ハゲ、あやまれ」


 私はつとめて乱暴な下町なまりでフランソワ団長に話しかけた。


「な、なんだと、口の利き方をわきまえ……」

「こちとら天下御免の聖女さまだぞ、破門されたいのか?」

「ば、馬鹿な、教皇に操られた愚かなガキだろうお前はっ!」

「うるせえ、ボコボコにして学園から放りだすぞ、ハゲ、あやまれ」


 フランソワ団長はフウフウと荒い息をついた。


「ば、ばかな、ばかなばかな、き、貴様なぞがお婆さまと同じ訳が……」

「マリアさまを知ってるなら聖女を舐めたらどうなるか、わかってんだろ」

「そ、それは……」


 フランソワ団長は青くなりブルブルと震えた。

 コロンブさんが後ろから飛びつくようにして団長の頭を持ち下に下げた。


「だ、団長、ここは謝罪です、聖女さまにあまりに無礼ですっ」

「うぐぐ、やめろっ、コロンブ、こんな屈辱は!」


 コロンブさんは団長の抗議を聞かず、グイグイと団長の頭を下げさせた。

 そして自分もペコペコと頭を下げる。


 いやあ、コロンブさん大変だなあ。


「す、すまなかった……」

「まあよし、最初だから特別に許す。次をやったらボコるからな」

「うぐぐ」


 もの凄く不満そうだが、謝らせたから良いよね。

 と、回りをみたら、怒りは解けてないみたいだなあ。

 だが、近衛とも協力していかないとならないから、さすがに金的打ちはなあ。


「とりあえず、飛空艇行く? 地図でしょ、コロンブさん」

「は、はい、ありがとうございます、昨日の地点で麻薬が出ました。なので地図を写しに参りました。団長が失礼をして申し訳ございません」


 いまだにコロンブさんはフランソワ団長のはげ頭をぐいぐいと下に押している。


「この人、知能が劣るの?」


 私は小声でコロンブさんに聞いた。


「いえ、その、団長は王家愛が強いだけで、普段の仕事はちゃんとやるのですが、身分差を間違える事がありまして、聖女さまは貴族位としては男爵令嬢で、舐められたらいけないと高圧的に出たようなのですが、あなたは聖女候補でもあるので、地位が難しい所もあって、誤解をしたようです」

「平たく言うと馬鹿なのね」

「はい……」


 フランソワ団長はバリバリと音を立てて歯ぎしりをしていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、高圧的に成り過ぎたでしょう!?無実の女子供を虐待するでは普通にただの悪人貴族だと思います。。。
[良い点] ふぅ。面白かったです。てんこ盛り。 [気になる点] 登場人物一覧表くだひゃい!
[一言] 王族に仕えている近衛のトップが教会派の象徴にこの対応をとったことをナアナアにしたら誰のためにもならないと思うけど… いや、王族派が教会派と敵対するつもりなら別に構わないと言うか徹底抗戦で済む…
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