第447話 お洒落組と大浴場で湯浴みをする
カポーン。
という訳で女子寮地下の大浴場で入浴中だよ。
エルマーは待合室口で別れたのだ。
カロルも誘ったが、錬金部屋で入ると断られた。
つれない嫁だぜい。
お風呂にはメリッサさんとマリリンが居た。
「今日は二人は何をしてたの?」
「みなさまの試着を見ながら、コーデのアドバイスをしてましたわ」
「カーチスさま、コイシさま、カトレアさまの礼服とドレスが完成しましたわよ」
「それは凄い、お針子さん、作業が早いね」
「凄腕ですわね。作業が丁寧で早いですわよ」
ああ、完成したみんなの服を見たいなあ。
もう、麻薬捜査はあきあきだよ。
明日は『塔』の捜査をちゃっちゃと終わらせて、私のドレスを完成させてもらおう。
そうしよう。
ああでも午後に入るお風呂は良いね、お湯がさらさらしている。
さて、暖まったので、洗い場に出てダルシーに洗ってもらう。
「いつもすまないね」
「それは言わない約束です」
ダルシーに裏も表もシュワシュワ洗われる。
メリッサさんが隣に座ったので、カリーナさんの前に飛空艇アメニティのボディシャンプーを押しやる。
「ん、なんだい、マコト?」
「飛空艇のアメニティ。使って良いよ」
「ま、まあっ、あの凄い物を?」
「うん、一人で使ってるのは心苦しいし、マリリンもどうぞ」
「あら、ありがとうございます」
午後の大浴場には私たちだけだから、こっそり融通するのだ。
「すごく良い匂いだね、これ。おっ、手がすべすべになる」
「は、早くカリーナ、洗って洗って」
「はいはい、ちょっとお待ち下さいね」
カリーナさんがメリッサさんを洗い始めた。
マリリンはメイドさんが居ないから自分で洗っているね。
私はダルシーにシャンプーをかけられて髪をもしゃもしゃ洗われる。
飛空艇シャンプーを使われるとお花の匂いで包まれる感じでうっとりしちゃうね。
まったく、カロルも一緒に入れば良かったのに。
飛空艇リンスも掛けてもらって匂いがお花まみれである。
髪をバスタオルで包んで貰って、浴槽に戻る。
あー、あったかいなあ。
メリッサさんと、マリリンも浴槽に戻ってきた。
「マコトさま、あのアメニティはヤバイですわよ」
「パナイですわ」
「でしょー」
私はにへへと笑った。
「土曜日にこっそり派閥のみんなに使わせませんか?」
「あまり人前で使うとねえ」
うらやましがられても困るしね。
上位貴族の人は自室にお風呂があるから地下まで来ないから良いけど、命令さんとかに知られるとうるさそうだ。
「では、みんなで、飛空艇のシャワー室で」
「あ、それなら可能ね」
「時間を決めれば殿方もつかえますわね」
つやつやになったカーチスとエルマーは良いね。
土曜日に企画してみようかな。
みんなでツヤピカになったら楽しいしね。
あ、でも……。
「土曜日はマーラー領に服を取りに飛ばないといけないわよ。メリッサさんとマリリンも来る?」
二人はザバリ湯船で立ち上がった。
「「是非、行かせてもらいますわっ」」
そうかそうか。
でも直立不動はやめなさい。
はしたないから。
「日曜日の午前中ね。聖女の湯も朝から入れておきましょう」
「そうですね。ダンスパーティ、楽しみです」
「ああ、うっとりしますわ」
うん、私も楽しみだよ。
当日は楽しもうね、二人とも。
「では、また晩餐に」
「はい、アメニティありがとうございました」
「晩餐でお会いしましょう」
湯船からあがって、脱衣所でダルシーに髪をドライヤーで乾かして貰う。
暖かくて気持ちが良いね。
姿見に全身を写してみると、いやあ金髪がぬるぬるした光沢で凄いな。
お肌もぴっかぴかであるね。
うしし。
洗濯済の下着を履いて、制服を着るとさっぱりすっきりですよ。
やっぱりお風呂はいいね。
さて、自室に戻ろう。
階段を上がって廊下を行き、205号室に入る。
相変わらずコリンナちゃんが勉強をしておるな。
「おかえり、飛空艇を出して王都の上を飛んでたよね」
「飛んだ飛んだ、上空から魔導レーダーで麻薬捜査だよ」
「ああ、なるほど、遊覧飛行じゃなかったのか」
「そんなに暇じゃないよ」
「それもそうか」
コリンナちゃんは興味を失ったように勉強に戻った。
私はハシゴを登って自分のベットに倒れこんだ。
捜査当局に麻薬の走査地図が行ったから、市中の捕り物は彼らがやってくれるだろう。
……。
「ダルシー」
「はい、マコトさま」
「リックさんはどこに居るか解るかな」
ダルシーはちょっと黙った。
「王宮ですね。ロイド王子とご一緒です」
んー、もう夕方だからなあ。
王宮に行って、リックさんに会うと時間がかかるなあ。
「ケビン王子とジェラルドは?」
「……、王宮の執務室です」
なんだろう、あの一瞬の沈黙は。
王子どもは駄目かあ。
王宮に行くなら王様に直で言った方が早いしなあ。
だが、王宮に行くのがめんどくせえ。
なんか楽に連絡を付ける方法は無いだろうかなあ。
「コリンナちゃん、近衛騎士団に簡単に連絡付ける方法しらない?」
「おまえは何を言っているのだ、私は近衛騎士なんか見た事も無いぞ」
まあ、コリンナちゃんの家は下水道局だしなあ。
近衛の繋がりはないか。
ドアがコンコンと叩かれた。
「はあい」
コリンナちゃんが出ると、護衛女騎士の人だった。
「マコト・キンボール嬢はいらっしゃるか?」
「はい、なんでしょう」
私がベットから顔を出して聞くと護衛女騎士の人は深くうなずいた。
「面会だ。近衛騎士団の方だ」
「ぬおっ」
「おっ」
渡りに舟であるな。
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