表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

441/1527

第437話 大神殿に着陸して子供らを積み込む

着陸脚スキッド展開、高度三十、二十、十、蒼穹の覇者号タッチダウン】


 ずしんと軽いショックがあって、蒼穹の覇者号は聖騎士団の練兵場に着陸した。

 訓練していた聖騎士達は練兵場の端に避難している。


「子供達も乗るから、ダルシーとアンヌさんはテーブルを設置して」

「かしこまりました、マコト様」

「何脚ほど必要でしょうか」

「四脚ぐらいかな」

「かしこまりました」


 私は操縦室を出て、ハッチのタラップを下りる。

 カロルとアダベルも付いて来た。

 エルマーは操縦室で説明を聞くらしい。


 練兵場ではサイラスさんがかしこまって出迎えてくれた。


「これは聖女さま、あなたのサイラスです」

「こんにちわサイラスさん。飛空艇で王都の麻薬調査をするのだけれど、都内の地図を用意してくれませんか」

「かしこまりました」

「あと、孤児院の子供達を飛空艇に乗せてあげたいから呼んできて」

「おい、トマス、孤児院に行って呼んで……」

「必要無いみたいですよサイラス副隊長」


 おお、練兵所に通じる階段を全速力で子供達が駆け下りてくる。


「マコねえちゃーーんっ!!」

「わあっ!! 飛空艇だっ! 飛空艇だー!!」

「わあ、青い子供も居るっ!! だれだれっ!?」


 あっという間に孤児院の子供達がタラップの所まできて私たちを囲んだ。

 キルギスくんがやれやれという顔で付いて来ている。


「ねえねえ、なんで角があって尻尾があるの? 凄い髪が青いよっ」


 女の子たちがアダベルにたかった。


「それは私がドラゴンだからだよっ」

「ドラゴン? すごーい、竜人なのっ?」

「普通にドラゴン、人に化けてるんだー」

「嘘をつくなよ、自分を大きく見せたって本質は変わらないって師匠が言っていたぞ」


 キルギスくんがやれやれという顔でアダベルに言った。

 アダベルは後ろを振り返って練兵場の広さを目で測っている。


「アダベルは邪竜アダベルトよ、キルギス」

「え、本当の話か、聖女?」

「本当よ、アダベル、竜になっちゃだめだよ」

「え、駄目なのか、広さはあるけど」

「余所の人に見られると噂されるから」


 神殿練兵場と外周道路とは柵だけで区切られているので、道路に飛空艇目当ての野次馬が集まりつつある。

 こんな所でドラゴンになったら大変であるよ。


「そ、そうなのか、疑ってわるかった」

「まあ、良いよ、私は寛大な竜だからな。私はアダベル、お前は?」

「キルギスだ」

「私はソフィア」

「カーナよ、カーナ、アダベルちゃん」

「レミリアです、角が格好いいね」


 子供達が自己紹介を始めると、大神殿から地図を持ったリンダさんが階段を降りてきた。


「これはこれは聖女さま、おかえりなさい」

「リンダさんこんにちわ」

「麻薬捜査との事ですが、私も乗った方がよろしいでしょうか」

「おねがいできるかしら」

「かしこまりました」


 リンダさんゲットだぜー。

 サイラスさんが一歩前に出た。


「麻薬捜査に人手は要りませんでしょうか」

「上空から麻薬反応がある場所を地図に写していく作業だから今回は実行部隊は要りませんよ」

「そ、そうですか、残念です」


 船倉に聖騎士を沢山入れて降下して強襲は格好いいけど、今は要らないな。

 リンダさんに場所を覚えて貰って、地上から突撃した方が良いだろうね。


 アダベルは孤児たちと仲良くなったようで、わやわやとおしゃべりをしていた。


「じゃあ、みんな今日は飛空艇にのって王都を上空から見ようか」

「ほ、本当かいマコねえっ!!」

「わああっ!! 嬉しい嬉しいっ!!」

「飛空艇乗れるんだっ、やったーっ!!」


 孤児達はびょんびょん跳ねて喜びを表現している。

 なんでアダベルも一緒にびょんびょん跳ねているかは解らん。


「アダベル、みんなを甲板につれていってあげて」

「わかったー、みんな行くぞーっ」

「「「おっけーアダベル」」」


 だだだと船内に駆け上がる孤児達の後を、やれやれとキルギスくんが付いて上がって行く。

 君は子供なのにラノベ主人公感出してるね。


「それでは、行ってきます。みんなは鍛錬頑張ってね」

「「「「はいっ、聖女さまっ!!」」」」


 聖騎士のみんなに手を振って、私はリンダさんとカロルと一緒にタラップをあがった。


「マコト、警備騎士団の団長さんも呼んだらどうかな」

「ああ、そうだね、聖騎士団だけでは都内をカバーできないし」

「賛成です、ギヨーム団長も最近は聖女さまを敬うようになりましたしね」


 あのおっちゃんも手の平返しすごいけどね。

 私たちは操縦室に入った。


「リンダさんは航法士席に座って、モニターの光点を地図に写してください」

「解りました、色によって薬物が違うのですね」

【赤が覚醒剤、青が阿片、緑がコカインになっています、リンダ師】

「ありがとう、エイダさん」


 リンダさんが航法士席に座り込んだ。

 航路計算をする関係で大きい机が付いてるから丁度いいね。


 マップを見てみる。

 大神殿に二カ所、赤い点があるね。


「この位置は……、押収した薬物を保管している所ですね。もう一カ所は私室……、ふむ、薬物をやっていた聖騎士の部屋です。どこかに隠してあるのですかね。探さねば」


 そう言うとリンダさんは地図の大聖堂の所に色クレヨンで書き込んだ。

 

「エルマー、離陸して。次は警備騎士団の本部に行きましょう」

「解った……」


 エルマーはエンジンの出力を上げ、舵輪を引き上げた。

 ふわりと体が浮いた感じがして、飛空艇は地上を後にした。


 船内モニターを見ると、子供たちとアダベルが甲板で跳んだりはねたりして大暴れをしていた。

 


よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 幼い頃から人化したドラゴンと遊んできた子供たちは知らず知らずのうちに鍛えられてきたのだ、とかなったり?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ