第423話 みんなで一緒にひよこ堂昼食
制服に着替えて教室に戻る。
さて、お昼であるな。
「今日はひよこ堂か?」
カーチス兄ちゃんがドアを開けてそう言ってきた。
昨日はランチクルーズだったから、今日はひよこ堂か。
良く晴れてるしね。
「ふむ、良いですねケビン王子」
「そうだね、お天気もいい」
王家コンビがまた付いてくる気まんまんだな。
まあ、良いけどさ。
「では、今日はひよこ堂ランチです」
「おおっ」
「やったー」
「マヨコーン……」
いや、エルマー、それは感嘆詞じゃないからな。
みんなを引き連れて廊下に出る。
ぞろぞろと歩く。
いつものように階段でヒルダ先輩と、一階でライアン君とオスカーと合流である。
オスカー、当たり前のようにカロルの隣に立つなやー。
玄関近くでゆりゆり先輩も来たぞ。
玄関を出たら、アダベルが凄い勢いで中庭の方から走ってきた。
「マコト~~!! お昼か!! お昼に行くのか!!」
「アダベル、こんにちは。そうだよ、今日はひよこ堂だよ、一緒に行く?」
「いくいくっ!! パンは美味い!!」
「じゃ、行こう」
「わあいっ」
まったく、いつも無邪気で可愛い邪龍さんだよな。
「アダベルさま、一緒に行きましょう」
「ご一緒ですわ」
「メリッサ! マリリン! 一緒に行こうっ」
アダベルはメリッサさんとマリリンに両手を繋がれて、連行される宇宙人みたいになっているな。
幸せな光景だなあ。
うんうん。
学園を出て、ひよこ堂へ向かう。
石畳の道をみんなでぽこぽこと歩く。
「マコトさま、マダムエドワルダさまは大神殿に捕まっておられますの?」
「そうよ、メリッサさん、リンダさんたちが尋問中ね」
メリッサさんは目をキラキラさせている。
な、なんでよ?
「ああ、一度お話したいですわ。マダムエドワルダの夜会といえば社交界の最高峰でしたの。麻薬禍で潰れてしまうのは悲しいですわ」
「あ、夜会の方ね。びっくりしたわ」
「私も夜会で名を上げて、いつかはマダムエドワルダの夜会に出てみたかったのですの」
「そうだね、僕も夜会の方は一度お邪魔した事があったが、とても行き届いて良い夜会だったよ、メリッサ嬢」
「まあ、ケビン王子はいらっしゃった事があるのね、うらやましいわ」
「そんなに違うの? パターソンさんの夜会とかと比べて?」
メリッサさん、マリリン、ケビン王子が一斉に顔の前で手を横にブンブンとふった。
「あんな下品で派手派手しい夜会と比べものになりませんわよ」
「学生がやる夜会とはね、会費が十倍ぐらい違うけど、会の快適さは百倍ぐらい違うと言うね」
「マダムエドワルダの夜会は、お食事、音楽、雰囲気、お越しになるメンバーと、もう当代一流の夜会でしたのよ。本当に残念ですわ」
なんだよ、君らはデビュタントも済まして無いのに夜会が好きだな。
「メリッサ嬢は実家がワインの産地なのだから、夜会主として有利ではないかな」
「まあ、嫌ですわ、ケビン王子、私が夜会主だなんて……」
「いえ、メリッサさまならやれますわ。素晴らしい夜会を」
そういや、そうだね、メリッサさんは良いお酒を調達出来るし、お洒落好きだから、夜会主になれるかもね。
「そんなー」
メリッサさんも困りながらも、まんざらではない顔だなあ。
「今度、エドワルダ夫人に面会に行って、夜会のコツとか聞いてみたら?」
「え?」
「そそそ、そんな事が可能ですの?」
「彼女は山高帽に騙されてたから、今は改心して大人しいから大丈夫よ」
「あ、そうだったのかい? キンボールさん」
「エドワルダ夫人とダガン子爵は、なんだか夢の薬みたいに思わされていたみたいです。薬の影響を飛ばしたら正気に返りましたよ」
「それは、酷い話だね」
アップルトン王国としては極刑にするしか無いだろうけど、二人は被害者にして加害者なのよね。
「ダガン子爵も領地を実直に治めていて、悪い評判は無かったんだよ。麻薬は恐ろしいね」
「ええ、こればっかりは根絶しないと」
「そうだね、これからも協力してね、キンボールさん」
「はい、これは王国からの要請がなくても教会的にやらねばなりませんから」
などと話していたら、ひよこ堂に着いた。
私の隣の王子さまを見てクリフ兄ちゃんの目が死んだ。
身分差に耐えるんだ、兄ちゃん。
列に並んで入店を待つ。
お昼はパン屋の勝負の時間だから、ちゃっちゃとさばいて行くのよね。
「パン屋の匂いは大好きだなあ。おいしそうだなあ」
「アダベルは今日はどんなパンを食べるの?」
「そうだなあそうだなあ、お肉のと、甘いのを食べる。あとソーダだ」
「いいわね」
さて、私は何を食べるかなあ。
今日は口が甘口だから、甘々で行こう。
「僕は……、マヨコーン……」
うん、知ってるぞエルマー。
店内に入った。
さてー、何を買うかなあ。
「母さん、聖女パンとねじりドーナツをください、あとソーダ」
「はいよ。アダベルちゃんはどうしますか?」
「わ、私はね、聖女パンと、うーんうーん、厚切りベーコン! それとソーダ!」
「はい、ちょっとまっててくださいね」
母ちゃんは亜麻布袋にパンとソーダを入れて渡してきた。
二つの袋を取って、ベーコンパンが入った方をアダベルに渡した。
「まだあったかい! うまそうっ! ありがとう母ちゃん!」
「どういたしまして」
母ちゃんはふんわりと笑った。
やっぱり、ひよこ堂はほっこりして雰囲気がいいね。
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