第411話 食堂でコリンナちゃんのエスコート相手を聞く
女子寮に入り、エレベーターホールに行くと、いつもの面々が待っていた。
「マコトさまっ、試着はお済みになりましたの?」
「すんだすんだ、可愛かった」
「凄かったわよ、マコトのドレス姿」
「えっへっへ」
カロルに褒められたので、なんだか照れた。
「しまった見に行くんだったな」
「コリンナちゃんのドレスも見たいよ」
「いやあ、あたしのは」
「紺でシックで素敵ですのよ。お眼鏡を外せばよろしいのに」
「いやあ、メガネ外すと歩けないしさ。ビアンカさまに貰った見通し眼鏡だし」
そうなんだよね、すげえアーティファクトであるよ。
デザインが難だけどねえ。
「さあ、晩餐にしましょう」
聖女派閥の皆でぞろぞろと食堂に入った。
「こんにちはマコト、今日はちょっと遅いじゃない?」
「何かと忙しくてね」
「今日はなんか、すっごい髪の色ね、今日は火曜日なのにみんなつやつやだし」
「あれ……」
あれ、今日は火曜日か?
なんだか昼から出来事が盛りだくさんだから水曜日と間違えていた。
とすると、大浴場は二日連続聖女の湯だったのかあ。
それで激混みだったのね。
ミスったなあ。
聖女の湯解放戦線の子達にも迷惑を掛けたかな?
「まあいいや、晩餐を食べて忘れよう」
「それがいいよ」
トレイを貰って料理を乗せていく。
今日のメニューはと。
鱒のフライとトマトサラダ、コーンスープと黒パンだね。
フライが大きくてお皿からはみ出そうね。
良い匂いだなあ。
ケトルからお茶をカップについでテーブルに持って行く。
ああ、晩餐に来ると日常って感じがするね。
いや、ランチクルーズも良いんだけどさ。
女子寮食堂の下級貴族ブースの喧噪が私は好きだな。
みんなが席に付いたので、食事のご挨拶である。
「いただきます」
「「「「「女神様に日々の糧の感謝を」」」」」
あ、後ろのテーブルに聖女の湯解放戦線のエイミーさんがおるぞ。
「エイミーさん、今日はごめんなさいね、聖女の湯の日を勘違いしてたみたいで」
「何をおっしゃいますかマコトさま。聖女の湯は何度あっても良い物なのです」
なんだか、彼女は笑顔で許してくれた。
聖女の湯を楽しんでくれてるんだなあ。
「一日聖女の湯が前倒しされたから、金曜日か土曜日にもやりましょうか?」
「良いですね! 新入生歓迎ダンスパーティの前にみんなでつやつや、素敵ですっ」
土曜日はまたマーラー領に飛ぶから、金曜日に……。
だけど、前日の方が良いかなあ。
いや、いっそ日曜日の朝から入れるかな。
せっかくの新入生歓迎ダンスパーティだもんね。
うんうん。
「なんだかお祭りが近づいてきている感じがいいな」
「コリンナちゃんは誰にエスコートしてもらうの」
「え……、その……、ジェラルドさま……」
「え、なんであの陰険メガネが」
「やめろよう、文官女子の憧れの的なんだぞ」
「あ、ごめんごめん」
しかし、どこで接点があったというのだ。
私の可愛い親友のコリンナちゃんがジェラルドめの魔の手に落ちてしまう。
「なんか、あちこちの高位貴族の女子から猛烈アタックを掛けられて困ってたらしい。んで、まあ、君は地味だから女子避けに丁度良いだろうって」
「あんのやろーーっ!」
「良いんだ良いんだ、ジェラルドさまのお役に立てるなら私は嬉しいよ」
そう言って、コリンナちゃんははんなり笑った。
今から未来の上司に忖度せんでもとは思うが、これも文官魂なのだろうなあ。
コリンナちゃんが良いなら良いが。
だが、誘うにしても、女子避けに丁度良いはないだろうが。
奴め~~!!
「ジェラルドさまは意中の人が居るみたいだし、私なんかを誘ってくれるのは今回ぐらいでしょ。だから記念になって嬉しいよ」
まったく、コリンナちゃんはけなげなんだから。
まあ、侯爵家のボンボンと役人男爵家の娘では家格が釣り合わないからしょうが無いけどね。
恋愛が始まっても、将来的には側妃にしかなれないし。
結婚はだいたい同階層の男女でした方が幸せになれるってもんだよ。
ヒカソラのゲームの方で平民出のマコトが軒並み高階級な攻略対象者をゲットできてたのは聖女の光魔法を欲しがってたからなんだな。
でも、パン屋出の王妃なんか、たぶん外国に舐められたと思うのだが。
教会がバックだからそうでもないか?
マリアさまも別に舐められてないしね。
「マコト、考え込んでないで食べなさい」
「ああ、しまった」
せっかくのお料理がさめるね。
サンキューカロル。
パクリ。
んーー、さくさくほかほかで鱒のフライは美味しい~~。
白身魚のフライは大好きなんだよねえ。
ゆで卵が乱切りにされて入ってるタルタルソースも美味しい。
うまうま。
コーンスープも美味しい。
クリーミー。
はあ、おいしいおいしい、美味しい物を食べると充実するね。
夜の殴り込みに向けてエネルギーを溜めないとね。
私は気合いを入れて黒パンにかぶりついた。
うむ、酸っぱい美味い。
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