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第407話 蒼穹の覇者号のシャワー室を使う

 タラップを上がって船内に入る。

 いつも思うのだけど、絨毯の毛足が長いな。 

 ふっかふかやで。


 右に曲がって居住区の奥がシャワー室兼トイレだな。

 ドアを開けるとなんだか綺麗なエチケットルームがあった。

 なんだか金具が凝っていて上流って感じがする。

 シャワー室が三つ、おトイレが二つだな。

 対面には鏡と洗面台が並んでいる。


 せっかくだから私は真ん中のシャワーブースを選ぶぜ。

 船舶用のシャワーだからか、結構狭いね。

 ブースはガラスがはめられた高級そうな木枠で区切られている。

 下の方は少し開いている。

 床は綺麗なタイル張りだ。


 服は床に置いてある籠に入れれば良いようね。

 ちゃっちゃと脱いで籠に入れると、ダルシーが来てたたんでくれた。

 汚れた下着は袋に入れて、新しい物を籠の上に乗せてくれた。

 いつもすまないねえ。


 ドアを開けて、シャワーブースに入る。

 ……。


「なんで一緒に入ってくる、ダルシー」

「マコトさまをお洗いいたしますよ」

「無理だ、狭い、出て行きなさい」


 なんで、そんなに不満顔なのかなあ。

 シャワーに介添えはいらないぞ。

 貴人じゃあるまいし。


 だいたい狭いのだから二人で入ったら手足が壁にぶつかる。

 不満顔のまま、ダルシーはブースから出ていった。

 まったくもう、お構い好きなんだから。


 壁にある赤いコックを回すと暖かいお湯が降り注いだ。

 ああ、ちょっと熱いぐらいの良い温度ね。

 ふわあ、気持ちが良いなあ。


 シャワワワワー。


 いやあ、暖まるなあ。

 レトロ感がある金具も良い感じだね。

 浴槽が無いのが辛いけど、まあ、一時しのぎには良いね。


 シャワワワワー。


 体をくるくる回転させて頭の上から足の先までお湯を当てる。

 前世のシャワーと違ってヘッドを取れないけど、高い所からジャバジャバ落ちる系はこれはこれで良い感じ。


 シャワワワワー。


 さて、体を洗おう。

 シャワーブースの横に横開きの小さな戸があって、その中にボディシャンプーとスポンジが入っていた。

 スポンジは当然海綿だな、プラじゃないや。

 ボディシャンプーは高級そうな石で出来た瓶に入っていた。

 結構重いな。

 前世みたいなプッシュ式ではなくて、蓋を開けて出すタイプだね。


 スポンジにボディシャンプーを出して、体を洗う。

 ああ、なんだか良い匂い。

 高級な香水みたいな匂いがするぞ。

 金満家のビアンカさまのアメニティだから、さぞやお高い物なのだろうなあ。


 ショワショワ。


 うっは、肌もつやつやになった。

 まさかヒールポーションは入って無いだろうけど、結構近い効果がある感じだな。

 これは解析して作ったら売れるんじゃないかな。

 匂いも良いし。


 シャワワワワー。


 学園のアメニティも貴族が通う所だから相当良いんだけど、やっぱりそこそこなのよね。

 カロルもたまに凄く良い匂いの時がある。

 オルブライト家は錬金の商会持ってるからね、良いアメニティを持ってるのだろう。


 シャワワワワー。


 さてさて、髪を洗おう。


「マコトさま~~、御髪ならば洗えます~~」

「そう、じゃあ、お願いするわ」


 ダルシーがなんだ捨てられた猫みたいな悲しそうな声を出すので、ちょっと笑ってしまった。


「失礼いたします」


 ドアを開けて、ダルシーが私の後ろに立った。

 シャンプーの瓶とリンスの瓶は戸口の近くにあるね。

 ダルシーはシャンプーの瓶を取り、自分の手の平に出した後、私の頭に付けた。

 おお、ボディシャンプーと同系統の匂い。

 良い匂いだなあ、なんだろうなあ。

 お花の匂いだ。

 後でカロルに聞いてみよう。

 カロルは植物にも詳しいからね。


 シャカシャカ。


 ダルシーの細い指が私の頭をくすぐってこしょばい。

 でも良い気持ち。


「かゆいところなどはございませんか」

「大丈夫よダルシー」


 シャカシャカ。


「シャワーをあびてください」

「はい」


 私は体を前に倒してシャワーを頭に当てた。

 ふわわ、暖かい。

 ダルシーの指がシャワーと共に動いていく。


 シャワワワワー。


 肩に指で合図があったので、体を後ろにそらせる。

 少し冷たい液体が髪に広げられた。

 リンスだな。


「マコトさま、このシャンプーとリンス、並の物じゃありません。凄いです」

「良い匂いだし、良いよね。カロルに解析してもらって量産しよう」

「これは売れると思いますよ」


 私もそう思う。


「リンスを洗い流します」

「はい」


 体を前に倒すと頭が温かい。


 シャワワワワー。


 リンスが洗い流されていくな。


「はい、終わりました」

「ふう、ダルシーありがとう」

「どういたしまして」


 洗髪は大変だからダルシーが居てくれて良かったな。

 最近、髪がずいぶんつやつやなのであるよ。


 シャワーを止めて、ブースの外にでる。

 ダルシーが大判のバスタオルで私を拭いてくれる。

 彼女の絶妙な拭き加減は大好きだなあ。


 下着を履いて籐椅子に座った。

 鏡を見ながら、ダルシーがドライヤーをかけてくれる。

 ふわあ、暖かくて気持ちがいい。

 ああ、これで湯船があればいいんだけどねえ。

 改造して作るか、湯船。

 空の上から下界を見ながら入るお風呂は素敵だろうなあ。


「はい、終わりましたよ」


 ダルシーがブラシで私の髪をくしけずってシャワーの時間は終わった。


「ふわああ」


 鏡の自分を見て変な声が出た。

 なんだろう、この髪の色艶。

 すげえっ。

 金髪がクリームみたいな色合いになってる。

 ぴっかぴかやん。


「この、シャンプーとリンスは万難を排してでも作ろう」


 ボディソープもだが。


 私の声を聞いて、ダルシーも大きくうなずいた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 120年前のものなら、現代なら割と量産できそう!
[一言] 小型高速艇だから風呂まわりは弱いか 光魔導エンジンと魔導頭脳発掘して甲板にデカい展望風呂持つ船建造するしか オーシャンビューもマウンテンビューも自由自在 飛んでれば覗かれることもないし
[良い点] 蒼穹の覇者号のアメニティ…ビアンカ様の光魔法の御謹製の予感。 夜会に備えてバフ効果? 汚水排水処理にラストテクノロジーが使われてる? コリンナちゃん大興奮!? [一言] 何回か読み返し…
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