第404話 五階を調べた後、王宮の地下牢へと向かう
アップルトン王城の五階に上がった。
五階は王様の寝室とか、王子様なんかのお部屋とかだな。
お風呂とかもあるな。
では、サーチ。
カーーーン。
反応無し。
患者も麻薬も無いね。
そりゃまあ、そうよね。
「この上は?」
まだ上がる階段があるね。
「屋上だ、温室でお花などを王妃さまが育てていらっしゃる」
「それはそれは」
優雅な趣味だなあ。
綺麗なドレスを着た女性が通りかかった。
「あら、ロイド、ケビン王子も、学園の授業はどうしましたか?」
「お母様、王城の麻薬の捜査ですよ」
「ああ、そんな事を言ってましたね」
ロイド王子のお母さんの、側妃さんか。
「お初にお目にかかります、聖女候補のマコト・キンボールと申します」
「初めまして、カロリーヌ・オルブライトです」
「こんにちは……、エルマー・クレイトン……です……」
「あらあら、これはこれは、皆さんいらっしゃいませ。側妃のゼリーと申します。いつもロイドはあなたたちの話をしてくれるのよ」
このお方がゼリーさまですか。
たしか子爵令嬢から王宮侍女さんに入って王様のお手つきになったのよね。
とても意思が強そうなお顔で素敵な方だなあ。
「麻薬捜査おつかれさまですわね、どうでしょう、一休みなさってサンルームでお茶でもいかが?」
え、どうしよう。
断って良い物かな?
と横目でロイドちゃんを見ると彼はずいっと前に出た。
「まだ地下牢の麻薬患者への尋問がありますので、またの機会にさせてもらいますよ、お母様」
「まあ、残念だわ、あとで捜査のお話を聞かせてね」
「はい、お母様」
ゼリーさまはしゃなりしゃなりとサンルームの方に歩いていった。
「五階に患者も麻薬も出なくて一安心だ」
「四階もマリオンだけだったしね」
「学園に帰ってお風呂に入りたい」
「地下牢の治療が先だ。もう少し頑張ってくれ」
「狂乱して聴取出来ない患者とかがいるんだよ、悪いけどもうちょっとね」
「しょうが無いですね」
こちとら地下牢なんか薄暗い所は行きたくないぞ。
お風呂に入って、ドレスの試着をしたい。
そうもいかんので、王家組の後ろに付いて肩を落として階段を降りるのであった。
ちゃっちゃと終わらせよう。
一階まで降りて、フロアを横切って地階への階段に向かう。
地階への階段には金属ドアで塞がれていて、衛兵さんが二人立っていた。
物々しいね。
「お待ち下さい、ケビン王子、ロイド王子、ここは王族の方が入るような場所ではありません」
「何を言うか、王宮のどこに行こうと、僕を咎める者は居ないぞ。これはまた王位を継ぐ時の予行演習でもある、扉を開けよ」
衛兵さん達は目配せをした後引き下がった。
「特に問題は無いか?」
「一部の虜囚が騒いでおります。発狂したような有様でして」
「解った、鍵をくれ」
衛兵さんが壁に掛けた鍵束を取ってケビン王子に渡した。
「重々ご注意をねがいます」
「わかった」
ケビン王子は重々しくうなずいた。
ギイと重い音を立てて扉が開いた。
もわっと重い空気と遠くからの悲鳴が聞こえてくる。
麻薬捜査チームはカンカンと音を立てて石階段を降りていった。
暗い、そして臭いな。
だんだんと悲鳴の声が大きくなってくる。
「た、頼みます、王子! 彼奴を黙らせてください、気が狂いそうです」
鉄格子の向こうで、さっき捕まえた執事くんが顔をしかめてそう言った。
ケビン王子は小さくうなずいた。
私は黙って、ケビン王子、ロビン王子に障壁を張った。
二人は一番前だからね。
叫んでいる奴は一番奥の牢に居た。
「あがががっ、助けてっ! 助けてーーっ!! 化け物が来るっ!! あああっ!! ぎゃあああっ!!」
中年の親父が叫びながら牢の中を転げ回っていた。
相当酷いな。
「誰ですか?」
「私がとっ捕まえた小役人だよ。捕まえた時からこの調子で、三日になるかな?」
マルゴットさんがそう言った。
うっは、叫び続けて三日かあ。
道理で声が潰れているはずだ。
塩から声になってるぞ。
『アナス』
小役人に麻酔魔法を掛けた。
彼はくたくたとぬいぐるみが倒れるように床に倒れた。
ケビン王子が牢の鍵を外した。
小役人の額に手を当てる。
脂ぎっていて気持ちが悪いなあ。
『キュアオール』
あ、これはキュアオールじゃ駄目だな。
『エクストラキュア』
よし、通った。
どんだけ麻薬をやると脳腫瘍並の症状になるのだ?
「ダルシー、拭くものちょうだい」
「はい、マコトさま」
ダルシーがハンドタオルを懐から出した。
「エルマーさまおねがいできますか?」
「よかろう……」
エルマーが魔法の三節棍の先から水をしとととと出した。
ダルシーはハンドタオルを湿らせた。
私はエルマーの水で手を洗い、ハンドタオルでぬぐった。
「最初から……、僕に……頼め……」
「ごめん、思いつかなかった」
小役人は頭を振って立ち上がり、いきなり走り出して牢から逃げようとした。
リックさんが立ち塞がり、襟首を掴んで牢に戻した。
「ちがうんだっ!! 誤解だっ!! 俺は何も悪い事はしていないっ!! 女神さまに誓うっ!!」
「そうかそうか、私は神殿の司祭で聖女候補のマコト・キンボールなんだが、私の前でも女神さまに誓えるか?」
「ふっ、ふうううううっ!! き、近所のゴディ神父に誓うっ!」
ゴディ神父は役人街の教区担当の司祭さまだ。
キンボール家も役人街にあるので、とても良く知ってる。
「ゴディ神父じゃだめだな、誰から麻薬を買ったか、幾らで買ったのか、いつからやってたのか、全部喋りなさい、正直に告白すれば、ここから出られるよ」
小役人はぐったりと床に伏せ、しくしくと泣いた。
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