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第402話 王家の居住区を捜査してメイドさんを治療する

 さてさて、カロルとエルマーを伴ってまた王宮入りであるよ。

 王宮のメインは二階と三階なので、四階五階の王族居住区はオマケみたいなもんだ。

 お城に付いている塔は反抗的な王族なんかを監禁したりする施設らしいが、今は物置にしているそうだ。

 一本だけは空中牢として使えるようにはしているらしい。

 コワイコワイ。


 王宮門の門番さんに挨拶をして通過する。

 なんかもう顔パスだね。

 はっはっは。


 王宮の裏口から入った。

 王子どもはどこかな。


 と思ったら、侍従長がにこやかに笑いながら現れた。


「マコトさま、王子一行は四階でお待ちです、どうぞこちらへ」

「ありがとうございます」


 侍従長が先導して階段を上がって行く。

 王宮も広いからね。

 案内が無いと迷っちゃうよ。


 というか、王宮に魔導エレベーターは付いてないのか。

 治安の為かな。


 四階までふかふか絨毯を踏みしめながら上がっていった。

 階段を上がりきると、王家コンビとロイドちゃんが待っていた。


「お待たせー、なんか進展はあった?」

「特にないな、患者はみな地下牢に入れたぞ」


 王城地下牢はそんなに沢山入るのかな。

 地下は広そうだなあ。


「では、キンボールさん、お願いする」

「わかりました、ケビン王子」


 人差し指と親指の間に単分子の光の輪を作る。


 カーーーン!


 うむ、一人メイドさんに反応があるな。

 あと……。

 白骨死体がなんかの通路にあるぞ?

 なんだこれ?

 隠し通路に死体があるなあ。

 使われてないのか、知る人が少ない通路なのか。

 どうしよう。


「どうした、キンボール?」

「患者さんはメイドさんが一人」

「一人か、王宮メイドに一人でも居るのは問題だね」

「あと、えーと、隠し通路っぽい場所に白骨死体……」

「「「「はっ?」」」」


「あっちの西側の壁沿いの通路だね」

「隠し通路の噂はあったが、本当にあったのか」

「白骨死体だから、もう何年も誰も通ってないね」

「うぬぬ、気になるが白骨は後だ、メイドを逮捕しようではないか」

「そ、そうだね」


 白骨は後にしようか、動かないんだし。


 サーチを頼りに四階の居住区を歩く。

 王様の部屋とか王妃様の部屋とか、前に入ったダイニングとかがあるのだぜ。

 書斎に、サンルームに、お茶の部屋。

 どんだけ部屋を使うのか、王家の人は!

 とか思うが、まあ、一国の主だからなあ、しかたがないか。


 南の廊下で薬物反応があるメイドを捕まえた。


「なななな、なんでしょうかケビン王子? ロイド王子?」

「なんという事だ、マリオン、まさか君が」

「残念だ、マリオン」

「な、何がですかあ? なにかまた私は粗相しましたかあ?」


 わりと頭が軽そうなマリオンは、王子付きのメイドさんらしい。


「マリオンさん、あなた麻薬をやってますね」

「はい? やってませんけど?」


 王子二人にギロリと睨まれたので、慌ててサーチを再び掛ける。

 エプロンのポケットに反応があるなあ。


「ダルシー、マリオンさんのエプロンのポケットを探りなさい」

「かしこまりました、マコトさま」

「あ、あ、な、なにをするんですかあっ」


 ダルシーは首尾良く錠剤の入った瓶を取り上げた。


「これはなんですか?」

「麻薬じゃないですよ、頭痛薬です」

「へ?」

「私、偏頭痛の持病があって、知り合いのサトリンに相談したら、この薬が良いって」

「マリオン、飲んだのかい?」

「え、ええ、でも、なんだか気持ちが高揚するんですが、頭痛は治るどころかもっと悪くなってきて、合わないのかなあって、あんまり飲んで無いんです」


 ジェラルドが羊皮紙のリストをたぐった。


「サトリン、食堂関係のメイドですね。今回捕まってます」

「これ、頭痛薬じゃなくて麻薬ですよ」

「え、ええっ!! じゃあ私は逮捕されて解雇されるんですかあっ!! そ、そんなあっ!!」

「ああ、ああ、大丈夫だ、マリオン、知らなかったのだから僕が何とかしてあげるよ、いいだろ兄さん」

「そうだな、処罰するには可哀想かもしれないね」

「ありがとうございますっ!! ロイド王子! ケビン王子!!」


 私はマリオンさんの近くに立った。


「とりあえず、治療だけしておきますね、頭を下げてください」

「あ、はいー」


 マリオンさんは素直に頭を下げた。


『キュアオール』


 ……。

 あれ?


『オプチカルアナライズ』


 ピッ。


 むう、レントゲンか、音波スキャナ系の魔法が欲しいな。


「どうしたね、キンボール」

「なんか、マリオンさんの頭に病気が。脳腫瘍かな?」

「な、なんだって!」


『エクストラヒール』


 頭全体にエクストラヒールを掛けると、脳の右側に突っかかる感じがあった。

 エクストラヒールでは駄目か。


『エクストラキュア』


 あまり使われない、キュア系の中級で最上の魔法を掛けてみた。

 うん、通った。

 つっかかりが解消された感じがする。


「わあっ! 頭痛が治りましたっ! 凄いですよ、お嬢さんっ!」

「マリオン、この方は、聖女候補のマコト・キンボールさんだ」

「ま、まあっ!! 申し訳ございません、聖女さまっ!!」

「ああ、気にしないで、頭痛が治ったら何よりよ」

「ありがとうございます、すっきりして頑張れる気がしますっ」


 うんうん、元気なメイドさんは大事だからね。

 治って良かった。


「ありがとう、マコトっち、マリオンはずっと前から僕らに付いてるメイドなんだ」

「病んだりしたら悲しくなる所だった。感謝するよ、キンボールさん」


 そうかそうか、って、これって王子付きのメイドを薬で籠絡しようとした案件だよね。

 ヤバイヤバイ。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 何をするにもリスキーな脳外の範疇がリスク無しか まあ心臓外科とかも同様だけど 聖女は一家に1人レベルの便利アイテムだなぁ 実際には100年に一人だけど
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