第401話 みんなのドレス試着を見て時間を忘れる
ドアを開けると、そこはドレスパラダイスであった。
「ふえええっ、立体になると凄いね~~」
「あ、マコトさま!」
「見て下さいませ、私のドレス」
ドレスを着込んだメリッサさんとマリリンが寄って来た。
うーわー、可愛いなあ、格好いいなあ。
メリッサさんはテーマカラーの緑色のドレスで、なんだかもえる新緑みたいで目にやさしい。
ふわふわのフリルを大量に使ったデザインは私製なんだが、3Dになるとすごくゴージャスにロリ可愛く見えるね。
ビアンカさまからの授かり物の防御ブローチも胸の中心で存在感をアピールしている。
いいねえいいねえ。
打って変わって、マリリンはテーマカラーと逆の深いブルーだった。
マーメードタイプのすっきりしたデザインが鍛え上げられたマリリンの体型を女性らしく包んで、えもいわれぬ不思議な雰囲気を醸し出しているなあ。
普通のドレスでは邪魔にしかならない筋肉の盛り上がりも、ファンタジーなイメージの中ではたまらない魅力に変化している。
そして中央にまとめられたビアンカさまの防御ブローチが赤々と燃え上がり、マリリンの心に秘めた情熱を表現しているようだ。
「メリッサさんも、マリリンも素晴らしいよっ!」
「そんなあ、嬉しいです~」
「褒められて嬉しいですわ。マコト様のデザインがとても素晴らしくてまとうのが嬉しゅうございます」
アダベルがとととと走り寄ってきた。
「すげえよなあ、メリッサもマリリンも、すんげえ綺麗だな、マコト!」
「本当だね、アダベル」
「私のは私のは?」
「土曜日に出来るそうだから一緒に取りに行こうね」
「うんっ! ガクエンチョに見せたいよっ!」
「私たちもコーデしますわよ」
「綺麗にしましょうね、アダベルさま」
「うんうん、頼んだぞ、メリッサ、マリリン」
すっかりアダベルは派閥に溶け込んだなあ。
よきかなよきかな。
お針子さんがくるくる動きながら、カトレアさんとコイシちゃんのドレスにまち針を打っていた。
「あ、マコト、その、あんまり見るな」
「マコトしゃんっ!! こんなの出来てきたみょんっ!!」
二人のドレスも良く似合っていて良いね。
カトレアさんは深い緑色の襟ぐりが深いドレスで女の子らしさをアピールしている。
スカートは更紗の半透明な黒に近い緑色で美しい。
美しいのだが、なんでエッケザックスを背負っておるのだ。
「な、なんだ、私とエッケは一心同体、ダンパだからといって置いてはおけんぞっ!」
「いや、エッケはでっかく無い?」
「それが良いんだ、解って無いなマコトは!!」
ドレスに聖剣背負いなさんなよ。
コイシちゃんのドレスは清潔感が溢れる白色。
漆黒の髪の毛によく栄えるねえ。
彼女は小柄なので少し腰回りにフリルを足して少女感を出してみたんだよ。
コケシっぽいかわいらしさが引き立つなあ。
腰には短めの脇差しを差しているね。
「二人とも可愛いねえ」
「う、うるさいっ」
「嬉しいみょんっ」
やっぱり布地の質が良いから近寄ると素晴らしさが増すね。
いかん、みんなのドレス姿を鑑賞していたら時間を忘れるな。
カロルはどこだろうか。
部屋の奥でヒルダさんの髪をゆっているカロルを発見した。
ふおー、ヒルダさんは真っ黒なドレスで凄いな。
胸ぐりと背中ががばっと空いていてセクシーであるな。
一見喪服と見まごう黒のドレスだが、絹の光沢がしっとり感を伝えてきて綺麗。
胸にワンポイントの真っ赤な薔薇が全体を引き締めていた。
「凄いですねヒルダさん。絹ですか」
「はい、マーラー絹で作ってみましたわ」
もの凄くお高そうねえ。
「領袖のデザインで、シュッとしてとても良い出来になりましたわ」
ヒルダさんは美人だから、真っ黒ドレスに髪をアップだと、夜会の蜘蛛みたいな怪しい雰囲気になるなあ。
ほれぼれ。
「あ、カロル、王宮に戻ろう」
「そうね、ちょっとだけ待ってね、ヒルダさまの髪をまとめちゃうから」
カロルはくるくるとヒルダさんの髪をまとめるとピンで留めた。
「すばらしいわ、カロリーヌさま、お上手ね」
ヒルダさんは鏡を見ながら、ほうっとため息をついた。
「手先は器用なんですよ、ヒルダさま」
カロルはドレス姿ではなく制服であった。
「カロルは試着してないの?」
「うん、麻薬捜査が終わったら、マコトと一緒に試着しようと思って」
ふおおおっ、嬉しい事を言ってくれるな、我が嫁よ。
カロルと連れだってドアの方へ向かった。
「マコトさま、本日の聖女の湯はどうしましょうか」
「あ、忘れてた」
やべえ、王宮に行ってたら、湯の元を入れる時間が無いぞ。
「ダルシー」
「はい、マコトさま」
ダルシーは心得ているのか、聖女の湯の元の大瓶を持って現れた。
私はそれを受け取る。
「メリッサさん、マリリン、代わりに湯の元を入れてきてくれない?」
「わかりましたっ!」
「がんばりますわっ!」
いや、ちゃっちゃと入れれば良いだけなので、頑張らなくてもいいのだよマリリン。
二人は押し頂くように聖女の湯の元、大瓶を受け取った。
さあ、王宮に戻ろう。
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