第389話 二年生テーブルに挨拶をして操縦室に帰る
アダベルを剣術部のテーブルに座らせた。
「アダベルをお願いね」
「任せるみょーん、アダベルちゃん、お姉ちゃんと一緒にランチを食べるみょんよ」
「わかった、コイシとカトレアと一緒に食べる」
「うむうむ、食べよう」
コイシちゃんとカトレアさんに挟まれてアダベルは嬉しそうだ。
「そいじゃ、またね、カーチス」
「わかった、試着は集会室でか?」
「そう、放課後に、お針子さんが不具合があったら直してくれるよ」
「新しいドレス、楽しみですわね」
エルザさんがふんわりと上品に笑った。
彼女は上品な感じだなあ、剣豪なのに。
ラウンジに戻ろうとしたら、影に隠れていた二年生テーブルを発見した。
ヒルダさん、ライアンくん、オスカーのテーブルであった。
「こんにちは、本日はご搭乗ありがとうございました。艇長のマコト・キンボールです」
「これはこれはご丁寧に痛み入ります」
ライアン君が返礼すると、オスカーも静かに頭を下げた。
ヒルダさんはきょとんとしている。
「というか、何をしていますの? 領袖」
「今後の時の挨拶の予行演習」
「派閥員に挨拶は無用と思われますけれど」
「まあまあ、気分だから」
「船長帽がお似合いですわ」
そう言ってヒルダさんは華のように笑った。
綺麗だねえ。
「そちらは黄金の暁号の船長さまのアーヴィング船長ですわね。何時もガドラガ大迷宮への空路でお世話になっております。マーラー家のヒルダともうします」
「ああ、あの高名な。これからもガドラガ航路でがんばりますよ」
うちの暗闘担当は如才ないな。
さすがさすが。
「そういえば、アーヴィング船長。次のガドラガ行きに参加したいのだけれど、飛空艇の席って空いてるの?」
「空いてはいるが、料金がかかるよ」
う、一回の往復だとどれくらいかかるのかな。
「領袖、蒼穹の覇者号で行けばよろしいのでは?」
「え、他の都市に行けるかな」
「飛行計画を手紙でガドラガ市に出せば可能だよ。飛空艇の駐機場も空いてるからね」
そうか、黄金の暁号で行こうかと思ってたが、蒼穹の覇者号で自分で操縦していくという手があるな。
「黄金の暁号には二年生になれば乗れますし」
「そうだね。学園長と相談してみよう」
「領袖が次の迷宮実習に参加されるのですか?」
ライアン君が聞いて来た。
「遭難したベロナパーティが助っ人にきてくれって、レアキマイラを退治したいらしい」
「ああ、彼らですか」
「そうですか、俺もベロナパーティに入れて貰えないでしょうかね」
オスカーが目を伏せながら言った。
「オスカーは前衛だよね、今度聞いて見るよ。自分のパーティはいいの?」
「……俺のパーティは……」
やべえ、自パーティにオスカーをはめた友人がいるのかな。
そこら辺の決着はどうなったのだろう。
友人は自首してきた麻薬中毒生徒の中にいるのかな?
「友達とは決着がついたの?」
「まだ会えてません……」
ヒルダさんがオスカーをちらりと見た。
「私も参加しましょうか?」
「ヒルダさんもかー。でも斥候系は諜報メイドが二人居るしなあ」
「マイレィデイも参加なさるのですかっ!」
「うん、カロルも付いてくるって」
「放課後、ベロナと話をしなければ」
オスカー、お前、カロルの事が好きだな。
まったくよう。
「ライアン君は自パーティ大丈夫なの?」
「ははは、僕は麻薬でガドラガデビューできなかったので、置いていかれましたよ」
「そうだったねえ」
「リーダーがポッティンジャー派でしたし、ミルカとアーモスもメンバーだったので、もう僕とは組んでくれないでしょうね」
「あらま」
「もしも、ベロナパーティに入れなかったら、ライアンもオスカーも私のパーティにお入りなさい」
「良いのですか、ヒルダさま」
「同じ派閥員ですからね、助け合いですわ」
「ありがたい」
「感謝いたします」
二年生の次のガドラガ迷宮の編成はなんとかなりそうね。
カロルと一緒に蒼穹の覇者号で一週間生活かー。
うぇひひひ~~。
夢がひろがりんぐ。
特等室のダブルベットでカロルと一緒に寝て、いちゃいちゃしよー。
「領袖がなんだか悪い事を考えているわ」
「なんというか……」
「締まりがない顔ですよ」
うるさいわい。
メイドのシャーリーさんがランチプレートを運んできて、二年生テーブルに置いた。
良い匂い。
メニューは、ローストチキンレッグとコンソメスープ、ポテトサラダだね。
パンは白パンだ。
ワインのボトルも持って来ている。
「これは美味しそうですわね」
「空の上でランチとは凄いです」
「日々の粮を女神に感謝します」
オスカーがお食事のお祈りをして食べ始めた。
つられるようにヒルダさんも、ライアン君もお祈りをして食べ始める。
「美味そうだな。俺たちも操縦室に帰ろう」
「そうだね、アーヴィング船長」
ラウンジに入ると、ミーシャさんとカリーナさんが新聞部に給仕を始めていた。
ミニキッチンは大忙しだろうね。
階段を降りて中央通路を抜ける。
特等室ではゆりゆり先輩とお洒落部が食事を取っているのだろう。
メイン操縦室に入ると、みんなランチを食べていた。
「先やってたぞ」
コリンナちゃんが鶏の足にかぶりつきながら、そう言った。
「問題無いよ」
「今日の鳥のロースト凄く美味しいわよ、マコトも早く食べなさいよ」
「うんうん」
私のランチは操縦席の袖机に設置してあった。
「マコトは飲まないからお茶にしてもらったわ」
「ありがとう、私は飛行中は飲まないんだ」
エルヴェ船長がふふふと笑った。
「だ、そうですよアーヴィング船長」
「まあ、ワインなんか酒の内には入らないってな」
アーヴィング船長のランチはベンチ前のミニテーブルにあった。
さて、ランチを食べよう。
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