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第381話 飛空艇は学園に向けて離陸する

 アンヌさんが、地獄の猟犬団のメンバーを紐でぎっちりと縛り上げた。

 リックさんと、オスカーが紐を引っ張って連行していく。


「マコトさん、こいつらはどこに押し込めておきますか?」

「四等室に閉じ込めておいて。オスカー」

「わかりました」


 地獄の猟犬団は一つなぎになって飛空艇に向かって連行されていった。


「マコトさま大丈夫でしたか?」

「特に怪我はないですよ、エルザさん、ちょっと魔力を使いすぎでだるいぐらいかな」


 エルザさんにリジンを返した。

 この剣は対人向けだと超チートだなあ。

 卑怯すぎて申し訳ないぐらいね。


 カロルがマジックポーションの赤い瓶を私に差し出した。


「ありがとう」

「もう、無茶ばっかりするんだから」

「あいつがダルシーにスキルとか使うから」

「ありがとうございます、マコトさま」


 ダルシーが目をうるうるさせながら頭を下げた。

 その頭に手を置いてぐりぐり撫でながらマジックポーションを飲む。

 うわ、すっぺえ。


 それでもマジックポーションをお腹に収めると少しぽかぽかしてだるさが楽になってきた。


「本気のリジンはすげえなあ、エルザに発動させて何回か戦ったけど、あんな速度じゃなかったな」

「聖剣はやはり、勇者か聖女が持ちませんと、カーチスさま」

「だな、だが、腕が立つエルザの速度が上がると、練習としてはいいな」

「ありがとうございます」


 カーチス兄ちゃんが微笑んで言うと、エルザさんは頬を赤く染めた。

 いちゃいちゃしてんじゃあねえですよ。

 まったく。


「糊」

「どこに貼るの、コリンナちゃん」

「とりあえず壁に貼っておこう。どうも地下階は祭壇の前で迷宮が切れてるっぽい」


 ああ、女神像の前あたりは安全地帯だったのか。

 アタックドックが湧かないし、近づかない場所だったのね。

 だからあいつらがキャンプしてやがったのか。


 羊皮紙の裏に糊をぺっとり塗ると、コリンナちゃんは壊された扉の横の壁に貼った。

 ん、まあ、大丈夫かな?

 格納庫にはもう一枚扉があるしね。

 アダベルのお宝は飛空艇に積んで行っちゃうし。

 カロルに糊の瓶を返した。


 カロルとコリンナちゃんと一緒にぶらぶらとエントランスまで歩いた。


 でっかいアダベルと、船の魔導ハンドがコンテナを甲板に引き上げていた。

 財宝はもう何も無く、寝石がごろごろとしているだけだった。


「終わった? アダベル」


 アダベルは見る間にシュルシュルと小さくなった。


「いま、終わったーっ」

「ああ、アダベルさま」

「ちっちゃいあなたが好きですわ」

「わ、わっ、なんだよ、メリッサ、マリリン」


 小さくなったアダベルにお洒落組が飛びついてもみくちゃにしておる。

 私も小さいアダベルが好きだよ。

 学園長はそれを目を細めて見ていた。


「じゃあ、出発しよう、大分遅くなっちゃったよ」

「うんうん、ありがとうねマコト、あの悪い奴らに盗られる所だったよ。マコトは頭がいいな」

「いやいや、気にすんな」


 私としても、あんな強いパーティが来てるとは想定外だったし。

 念のため回収に来て良かった。


 アダベルたちを先に船に上げて、私たちも搭乗した。


 搭乗室に入り、それぞれの席につく。

 時計を見ると、九時である。

 結局一時間近くホルボス山基地に居たか。

 早く帰ろう。

 帰ってお風呂に入って寝よう。


【メインハッチを閉めます。緑のボタンを押して下さい】


 横に並んでいる緑のボタンを押した。

 斜め後ろでハッチが閉まる音がした。

 船内映像で乗客をチェック。

 だいたいみんな居るね。


 悪漢どもは四人部屋に押し込んで扉をリックさんが守っている。

 反対側の四人部屋はお針子さんたちが使っているね。

 二等船室には、盗賊の人と僧侶の人が入っている。

 悪漢どもと一緒にすると喧嘩になるからね。


 一等船室ではお洒落組とゆりゆり先輩が優雅にくつろいでいるな。

 アダベルと学園長はラウンジに。

 他の生徒も大体はラウンジにいる模様。


 鍛冶部はエンジンルームだ。

 君ら、エンジン好きだなあ。


 甲板の上のアダベルのお宝コンテナは紐を掛けられてがっちり固定されているね。

 他にもごちゃごちゃと船のオプションパーツを甲板に乗せて固定している。


 さて、離陸して学園に戻ろう。


「エイダさん、離陸シークエンスに入ります」

【了解しました】


 出力レバーを押し上げ光エンジンの出力を上げる。

 ファンファンファンとプロペラ音が聞こえる。

 ふわりとした浮遊感を感じる。

 着陸脚スキッドボタンを押す。


着陸脚スキッドの格納を確認】


「魔導カタパルトは使える?」

【可能です、微速前進で格納庫内部に入り射出位置で待機ねがいます】

「了解」


 私は舵輪を回して蒼穹の覇者号を回頭させて扉をくぐった。

 微速で前にでて、カタパルト前の四角い枠に船を持って行く。

 後ろで大扉が閉まる音がした。


【四番扉、三番扉、二番扉、一番扉、開放します】


 目の前でゲートがカシャンカシャンと開くのは気持ちが良い。

 補助レールが延びて虚空に突き出すのが見えた。


【魔導カタパルト、起動、射出まであと、五、四、三、二、射出】


 ぐいと、体を引かれるように船は加速しはじめる。

 どんどん速度はあがり、飛空艇は弾丸のようにホルボス山基地から満天の星空に飛び出した。

 舵輪を引き上げる。

 角度がついて、蒼穹の覇者号は星空に向けて上昇していく。


 ああ、やっぱり離陸は気持ちがいいなあ。


 千クレイドまで駆け上がってから舵輪を戻して水平飛行に移る。

 マップを見るとカタパルトは王都の方向を向いてるのね。

 遠く王都の光りが見えた。


 さあ、学園に帰ろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] みんな無事に帰れて良かったです。 はらはらし過ぎて本日更新のタイトルまで先が読めませんでした。
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