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第367話 追加でドレスや礼服を作る奴らを集める

 モニター画面に激怒の表情を浮かべながらこちらに駈け寄ってくるお爺さんが見えた。


「ぷっ、セバスチャンったら。領袖、ハッチを開けて下さい、先に降りて説明しておきますわ」

「わかりました、おねがいね、ヒルダさん」

【メインハッチ開放いたします】


 機器をいじくる前にエイダさんがメインハッチを開けてくれた。

 さて、私はアナウンスだ、船内伝声管の蓋を開けた。


「お知らせします。こちらは艇長のマコト・キンボールです。目的地マーラー領領主の舘に到着いたしました。船内の皆様はお並びの上、下船して下さい」

【鍛冶部の皆様がエンジンルームから出ようとしませんが】

「エイダさん、エンジンルームにつなげられる?」

【エンジンルームへと伝声管を接続します】


 ガチャンガチャンと音がして、サブモニターにバルドロ部長と鍛冶部の面々がうつしだされた。


「バルドロ部長? あんた何言ってんの?」

『おお、マコトか、俺らはここに住むことにしたからよ』

「何言ってんだーっ!」

『エンジンがすげえんだ、もう何時間見ても飽きないからよ、このままエンジンを鑑賞させてくれよ』

「黙れ馬鹿っ! 紡績都市マーラータウンだよ。早く降りて観光とかショッピングとかしなさいっ! 動いてないエンジンを見ても面白くないでしょうにっ」

『いいじゃんかよう』

「だめよっ、アイーシャさんにドレスでも買ってあげなさいよっ! あとの男子は礼服っ!」

『えーっ』

「えーじゃないわよ、早く降りなさい。二度と飛空艇に乗せないわよっ!!」

『わかったよう、ちえー』


 なんという技術好きな種族なのだ、ドワーフというのは。

 エンジンだけ見て飽きないとは思わなかったよ。


「エイダさん、伝声管を繋ぎ直すには、ここでコード?」

【はい、テンキーでナンバーを押していただいて実行キーを押すと伝声管は切り替わります。番号表をモニターに表示いたします】


 インターホンやね。

 00が船内全体、01がメイン操縦室、02がサブ操縦室、03がラウンジと、それぞれ各所に番号が割り振られていた。


 私は00を押して船内全体に伝声管を切り替えた。


「お知らせします。ジュリエットさま、ライアンさま、オスカーさま、は、ドレスや礼服を作るために採寸しますので、メイン操縦室にお集まりください。他の方はマーラータウンの観光や、ショッピングを自由にお楽しみ下さい。本船は一時間後、五時半に学園に向けて帰投いたします。遅れないようお集まりください」


 とととと、軽い足音がして、ジュリエットさんがメイン操縦室に入ってきた。

 ロイドちゃんも一緒だ。


「きゃー、マコトさまっ、私もマーラー領でドレスが作れるのね~~! みんなと一緒~~っ」

「マコトくん、僕の礼服も作りたいのだが、可能かね」

「ロイド王子は王家御用達のテーラーがいるでしょう」

「いやだが、僕も仲間だし」

「違います」

「マコトくんは厳しい」

「というよりもロイド王子、王家の方の衣服を作るほどの生地がありませんので、もうしわけないのですが、お諦めください」

「しょうがないな~~」


 さすがに、王族用の礼服とかは、紡績地では作れないねえ。

 ああいう物は厳選された生地を各地から送って貰って、超一流のテーラーが作るものだ。

 下手な礼服を作って、上流階級の笑いものになっても困るしね。

 服には格という物があるのだよ、ロイドちゃん。


 ライアン君とオスカーが入ってきた。


「俺たちにも礼服を作ってもらえるのかい?」

「何から何まで痛みいる」

「気にしない気にしない、普段の半額だから良かったら作りなさいな」

「そうだね、派閥に入ったのだから心機一転で作ろうか。ね、オスカー」

「そうだな、ライアン、ちょうどくたびれていた所だ」


 まあ、貧乏男爵家なんかでは、三年を一張羅で過ごす豪傑も少なくないのだけれど、普通は一年に一回ぐらい礼服は仕立て直す感じだ。

 富裕層の貴族などは、夜会のたびに新しいドレスを作ったりしてるね。

 贅沢だなあ、とは思うのだけれど、貴族が浪費する事で王都の経済が回ってる所もあるからね。

 軽率に節約を叫ぶ事はできないな。


 開け放したドアから、鍛冶部の面々が歩いているのが見えた。


「アイーシャさん、ドレス買う?」

「え、買おうかなと思ってるけど。ドライヤーが凄く売れたし」

「じゃ、こっち、採寸が必要な組だよ」

「あれ、ひょっとして新入生歓迎ダンスパーティに間に合ったりする?」

「するする、土曜日に飛空艇で取りにくるよ」

「あ、それはうれしいわ、いいよね、部長」

「好きにしろ」

「うん、嬉しい、ありがとう、部長」


 アイーシャさんが微笑むと、バルドロ部長はしかめっ面をしてそっぽを向いた。

 頬がちょっと赤い。


「お二人は、お付き合いしてるの?」

「ああ、嫁候補だぜ、なんせ俺は王子さまだからなっ」

「部長は手がかかるんだわさ」

「なにおうっ」


 あはは、なんだかお似合いで良いなあ。

 アイーシャさんはメイドじゃなかったのか。


「アダベルのドレスも一緒に採寸かね」

「そうですね、デザインを選んで、採寸します」

「ふむ、ドレスがあるなら、アダベルの情操教育として、新入生歓迎ダンスパーティに参加させても良いかもしれないな。もちろん情操教育としてだが」

「ほんと、ガクエンチョ、なんかに出してもらえるのっ? マコトたちも居る?」

「そうよ、みんなで着飾ってダンスをするのよ、アダベル」

「お、おおっ、なんか面白そうっ」


 アダベルのエスコートは学園長がするのかな。

 なんだか親子みたいで微笑ましいな。



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