表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

362/1532

第359話 ビアンカ邸基地でランチクルーズの打ち合わせ

 自然公園から学園にみんなで戻る。

 今日も良い天気だね。


 校門について、みんなそれぞれの場所に散っていく。

 わたしたちは女子寮だね。


「おう、マコト、飛空艇見せてくれよ」


 女子寮に行く途中で、バルトロ部長たち鍛冶部の面々に行き会った。


「そういえば、昨日は来なかったね?」

「みんなで夜遅くまで居酒屋で酒盛りをして見逃したんだ」


 もう、高等生のくせにドワーフはオヤジくさいね。


「今日の放課後、マーラー領に行くから乗る?」

「おおっ! いくいくっ!!」

「礼服とかドレスとか安く作れるから考えてみてね」

「どれくらい安く作れますか?」


 お、アイーシャさんが食いついてきた。


「大体半額だよ」

「それはすごいですね」

「じゃあ、放課後に集会室に来てね。私たちは聖女の湯の元を入れるからちょっと遅くなるかもだけど」

「そうか、解った、楽しみだな、飛空艇は」

「蒼穹の覇者号は変わったエンジンだから興味深いよな」

「百年前の完動する飛空艇だなんてなあ」


 筋肉一号と筋肉二号が興奮したように語り合っていた。

 私たちは鍛冶部の人達に手をふって、女子寮へと向かった。


 ラウンジを抜けて、食堂に向かう。

 奥のスタッフ入り口をノックすると、エドラさんが出迎えてくれた。


「あら、マコトさん、まってたよ」

「みんなで来るの?」

「いや、昼間にもお茶を飲みに来る客がいるからね、イルダさんと、メレーと、クララだね」

「そうなんだ」

「残ったスタッフはまた乗せてもらうよ。たのしみだ」


 奥からイルダさんと、クララと、メレーさんがやってきた。


「これはマコト様、このたびは素晴らしい仕事をご依頼ありがとうございます」

「いえ、こちらこそ、イルダさん、急のお話でごめんなさい」


 お互いぺこぺこと頭を下げる。


「早く行こうよ、マコト、お昼休みが終わっちゃうよ」

「そうだね、クララ、歩きながら話そうか」

「飛空艇はどこらへんに置いてあるのですか?」

「わりと近所だよ、五分ぐらいかな」


 私はメレーさんに答えた。


「五分?」

「まあ、行けば解るよ」


 そのまま、食堂の三人を連れて、階段を降りて、洗濯所の横の通路に入った。


「こんな地下に?」

「まあまあ」


 鍵を開け、ドアを開けた。

 地下道に下りる階段を降りていく。


【照明を点けます】

「あ、ありがとうエイダさん」


 ぽぽぽぽぽと通路の左右に照明が灯っていく。


「わあ、女子寮の地下に、こんな通路が……」

「すごいですね」


 私たちは地下道を歩き始める。

 足音がカツンカツン響く。


【通路閉鎖ゲート001を開きます】


 突き当たりの通路をエイダさんが開けてくれた。

 いやあ、いちいち魔力を流し込まないですんで便利だな。


 きっちり五分ほど歩くと格納庫に着いた。


「うわ、あれが飛空艇」

「い、意外に大きいね」

「すっごいな」


【中央ハッチを開きます】


 中央のドアが開き、ステップになったので船内に上がる。


「うわ、広いね」

「絨毯高級ね」

「立派だねえ」


 中央通路を通って船尾階段へ。

 そこから階段を上がって、ラウンジに出た。


「ここで、会食してもらうつもりよ」

「ラウンジだね、定員は十名ぐらいかな」

「うっは、高そうなソファー」

「新聞部の人達が十二人ほど、あと、王子とか飛空艇操縦士さんたちと派閥員で全部で三十人ぐらいかな」

「席が足りないわよ、マコト」

「甲板に折りたたみテーブルと椅子があるわ」

「なるほど。でも、甲板で食事は風が凄くないかしら」

【飛行中はバリアが張られますので大丈夫です】


 エイダさんが会話に割り込んできた。


「だ、だれ? どこから?」

「エイダさん、この船の魔導頭脳よ」

「……、なんともまあ」

「魔導頭脳船って……、今は残って無いのでは」

「最後の魔導頭脳船みたい」


 食堂スタッフの三人が、ドン引きした感じに黙った。

 しょうがないでしょう、魔導頭脳が付いてたんだから。


 甲板に出て、机と椅子をあらためると、十五席、三十脚ほど仕舞ってあった。

 パラソルも付いていて良い感じね。


「それぞれにテーブルクロスがいるわね」


 イルダさんの発言を、コリンナちゃんがメモしている。


「ダルシー、クロス類は?」

「はい、リネン室のタンスにございます」

「それは買わなくていいわね」


 至れり尽くせりだなあ。

 さすがビアンカさま。


 食堂スタッフをラウンジ横のキッチンに案内した。


「伝統的な客船用調理器具ね。とても質が良いわね」

「パン焼き釜が無いなあ」

「さすがに、パンは積み込みだろうね」

「オーブンはあるけど、中型だわ」


 簡易キッチンではないけれど、大型の本格キッチンではないようだね。

 三人ぐらいで中は一杯だな。


「調味料は無し、酒類も無いわね」

「意外にしっかりしたコンロとオーブンがあるね。おお、これは凄い食器とシルバー」

「贅をこらした使いやすそうなキッチンだわ。シェフの腕前が解るわね。すばらしいわ」


 食堂スタッフはテキパキとプロっぽくチェックしていくなあ。


「なんとかなりそうですか?」

「問題ないわね。晩餐会でもなんとか回せそうよ」

「給仕の方が足りないぐらいね」

「一応、派閥の人のメイドさんたちにお願いしようと思うのだけど」

「食堂からは、メリサとクララを出しますよ」

「やった、乗り込み確定よ」

「ランチだからお菓子は要らないわよねえ。惜しいわ」


 メレーさんが悔しそうだ。

 彼女のお菓子の、放課後おやつクルーズも良いね。


「調理は、エドラとソレーヌと私ね。パンは持ち込みで、マコトさま、何か食べたい物はありますか?」

「今回はランチクルーズがちゃんと回るかの実験だから、簡単な物で良いですよ」

「了解しました。プレートランチが良いかしらね。料理とサラダ、あとスープが欲しいわね」


 お茶とワインも必要だな。

 飛空艇操縦士さんも来るしね。


「時間はどれくらいを想定してますか?」

「三十分ぐらいで王都上空を一周しようかと思ってます」

「ちょっと短いですね。四十五分に伸ばせますか」

「そうですね、ゆっくりと回りますか」


 飛空艇はヘリコプターみたいな物だから、のんびり遊覧もできるのだ。

 明日のランチクルーズも楽しみだなあ。

 うしし。


よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 鍛冶部の技術ヲタまで百年前と言ってるって事は実はマリア様が生まれる前後まで誰かが乗り回してた? >いちいち魔力を流し込まないですんで便利だな その分の補給は後に必要だけどたかが知れてるだろ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ