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第356話 ホームルームでアンソニー先生に褒められる

 さて、アンソニー先生がやってきてホームルームだね。

 

「うちのクラスのキンボールさんが、ホルボス山のダンジョンで飛空艇を見つけてきました。これは五十年ぶりぐらいの快挙です。みなさん拍手でお祝いしましょう」


 うへえ、私の話題からですか?

 照れちゃうなあ。

 と、いいつつ立ち上がって皆さんの拍手で祝福を受けた。

 ありがとうありがとう。


「初心者ダンジョンと思われる場所でも、時に大発見が眠っている事もあります。でも、皆さんは焦ってダンジョンアタックを始めないでくださいね。色々な準備もありますし、まだまだ知識が足りないと思います。一年生のうちは王都周辺の初心者ダンジョンに潜るようにしてくださいね」


 初心者ダンジョンに行くにも、ランタンとか武器とか必要だからね。

 ちゃんと準備しておかないと危ないのだ。


「ダンジョンに入る前は、ちゃんと、ギルドか、管轄の役所に冒険計画書を出しましょう。毎年、ダンジョン計画書を出さないで潜り、行方不明になる生徒がでます。気を付けてください」


 なんか前世の登山のようであるな。

 ホルボスダンジョンは位置的にも高尾山風味であるよ。



 月曜日の午前中は国語、数学、魔術理論、武術だね。

 午後は錬金の授業がある。


 アンソニー先生の国語からだ。

 今日は小説の朗読と解説だね。

 アップルトンは文化の国だから小説は沢山書かれている。

 本として買えるのは上流階級だけで、市民は文字が読めない人も多いけどね。

 植物紙が安価になれば、中流階級の人にも本が出回ると思うのだが、もうちょっと後っぽい。

 古典の物語は文が格調高くて韻を踏んで美しい。

 私は日本語を愛しているが、アップルトン語も好きだな。

 お養父様とうさまの影響だね。

 男爵家には古典名著が一杯あったのだよ。


 一時限目が終わって、休み時間になると、ダルシーがやってきてイルダさんのお返事の手紙を持って来てくれた。


 うん、イルダさんはランチクルーズの仕事を快諾してくれたようだ。

 なにより。

 飛空艇のキッチンを見て、足りない物を調達するので、一度中を見せて欲しいそうだ。


 今日のお昼はひよこ堂だから、ご飯を食べたら案内するかな。

 女子寮の地下道を行けばすぐだし。


 さて、数学、魔術理論と片付けて、武術の時間である。

 更衣室で着換えて、武術場に行く。


 今日はカトレアさんと組むかな。


「やるか、マコト、勝負だ」

「勝負はしないぞー」

「まったく、才能があるのに怠惰な奴め」

「やることが一杯あるので、剣の修行は後回しになるねえ」

「うむ、それは理解している。お前は、変則的な双剣術だから難易度も高い、授業でみっちりやるのだ」

「そうだね」


 コイシちゃんはカロルと練習を始めた。

 私もカトレアさんと打ち合いを始める。

 彼女の武器はエストックだから突きが中心で受けにくいね。

 難しいから勉強になるのだ。


 カンカカン。


「エストックの動きは慣れた?」

「うむ、おじいちゃまにも見て貰った。振りが無い分単純だから私に向いているようだ」


 エストックの動きは、フェンシングのエペと言うよりも、槍の動きに近い感じ。

 腰からの突きが重たくて強い。

 聖剣エッケザックスは両刃で斬りもできるんだけど、前の勇者は突いた後に跳ね上げたり、落としたりで斬撃を入れていたようだ。

 ビーム以外にも色々と使えそうね。


 終業の鐘がなった。

 夢中になってやってたから汗が凄いな。

 ふう。


 さて、更衣室で着換えて、教室に戻る。


 A組に戻ると、すぐカーチス兄ちゃんたち、B組の子たちがやってきた。


「おう、マコト、今日はひよこ堂か?」

「そうだよ」


 ケビン王子とジェラルドが当然の顔をして寄ってくるな。


「今日はひよこ堂か」

「今日もオニオンベーコンを食べますぞ」

「あっ!」

「な、なんだ、キンボール?」

「どうかしたかい?」

「明日、ランチクルーズに混ざるって言ってたが、おまいらはビビアンさまと会食だろ」

「「あっ」」


 ナチュラルに忘れておったな。


「どういたしますか、王子」

「困ったね~」

「簡単な手があるよ。今日、ビビアンさまと会食してご機嫌を取っておくんだ」

「え~」

「え~」


 えー、じゃないよ、王家主従め。


「たしかにそれなら明日は行けますが」

「みんなとお昼を食べるのは楽しいが、しかたがないかな」

「では、直接、ポッティンジャー派閥に連絡を付けてきます」

「たのむよ、ジェラルド」

「わかりました」


 ジェラルドは教室を出て行った。

 本当にこいつらは、聖女派閥に混ざりたがっていかんね。


「マコト~~、今日はひよこ堂かい~」


 ロイドちゃんが脳天気にやってきたのを見てケビン王子がむっとしおった。


「まったくロイドは良いな」

「え、だって、俺、聖女派閥だし~」


 ちげーよ!


「マコトさま~~、飛空艇の噂を聞きました~~、乗りたいです~~」

「放課後、マーラー領に飛んで、ドレスを取りにいくよ、ジュリちゃんも来る?」

「行きます行きます、わああいっ!」


 ジュリちゃんも明るくなったなあ。

 格好が厨二病なのは変わらないけど。


「僕も行って良いかな?」

「まあ、公務が無きゃいいんじゃないかな?」

「やったよ、ジュリエット!」

「ロイドさま、飛空艇デートですわね~~!」


「くそう、いいなあ」

「ケビン王子は放課後は?」

「外国から賓客が来るから予定が組まれてるよ」

「明日を楽しみにしてるのね」

「しかたがないね」


 しょんぼりすると、ケビン王子も年齢なりの若者に見えるね。

 元気出せ、第一王子。


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