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第353話 待合室でお茶をふるまって帰ってもらう

 ダルシーにボコボコにされてストライト隊の三人は地べたで土下座した。


「「「ごめんなさい」」」

「よしっ、ダルシーステイ!」

「はいっ」


 いやあ、ダルシーはとても楽しそうに暴力を振るうなあ。

 なんというか。


「いててて、骨が折れた、ユーグ治療しろ」

「はい、待って下さいね『治癒の水源』」


 ユーグさんの手がピカーっと青に光って、骨折が、骨折が、骨折が……。

 ずいぶん時間がかかるな。


「はあはあはあ」

「ごくろう、少し楽になった、いたたたた」


 骨折がひびぐらいに治った感じか。

 時間もずいぶんかかるなあ。


「い、いえ、まだ慣れないので」


 私の視線に気がついたユーグさんがはにかみながら言い訳をした。

 だよね、大神殿の治療師はもっと効き目が強いよ。


「い、いいんだよ、これまで幾多の危機をユーグに助けて貰ったんだ、これから上手くなるし」


 意外と親分ぽい事もいうのだな、ジェルマンのくせに。

 ユーグさんは、セザールに治癒の水源をかけていた。


「魔力の溜めがいらないかな、魔力が少ない時の癖がついてるんだろうと思うよ」

「え、こ、こうかな?」


 肩の辺りの魔力の溜めを無くしたら、手の光が大きくなった。


「おおっ! ユーグすげえっ、本職みたいだ」

「助言ありがとうございます、聖女さま」


 まあ、癒やし手がいないパーティは危ないからね。


「こんど、大神殿で教えてもらいなさいよ」

「え、その、大丈夫でしょうか?」

「教会は癒やし手に優しいよ。なにせ人手が足りないから。やる気があるなら教えてもらえるよ。というか、どこで治癒魔法覚えたの?」

「ど、独学です。市販の本で」


 私はポケットから羊皮紙のメモを出して書き付けた。


『ユーグ・アルナンディ氏に治癒魔法の教育を授けてください。マコト・キンボール』


「ん、これを持ってけば良い治療師さんの元で覚えられるよ」

「あ、ありがとうごうざいます、聖女さま」


 メモ帳を胸に押し抱いてユーグさんは頭を下げた。


「やったなあ、ユーグ! 僧侶がレベルアップすると助かるよ!」

「いやあ、悪いね、聖女さん」

「うるせえ、おまえらの為じゃないよ。僧侶職は貴重だしさ」

「それもそうか、あはは、いててて」


 ジェルマンの痛んだ腕に裏拳を入れた。


『ヒール』


 パッと光って腕の赤黒いアザが消えた。


「え、おおっ! 痛くないっ!」

「すごい、早いっ!」


 そりゃ、治癒とは系統が違うからね。

 ついでに、セザールとユーグさんも軽く叩いてダルシーが与えた損傷を消した。


「あ、ありがとうございます。こんなに早いんだ」

「いやあ、あんた良い人だな」

「うるせえ、早く出て行け」

「わ、わかったよう」


 ストライト隊は立ち上がった。

 ユーグさんの顔が青い。

 他の二人も胴震いを起こしてるな。

 寒い中、外にいたからか。


「ちょっとお茶を飲んで暖まってから出て行け」

「わりーなあ」

「助かります」

「船の中か?」

「べらぼうめ、待合室だ」


 私たちは格納庫から出て、待合室に入った。


【魔導空調を入れます】

「ありがとうエイダさん」


 というか、ビアンカ基地の機器はエイダさんが遠隔操作できるのかな。

 応接室のソファーに座っていると、空調が効いてだんだんと暖かくなってきた。

 コリンナちゃんも、ちょっと寒かったみたいで、表情がやわらかくなった。


「おろ?」


 コリンナちゃんが立ち上がり、部屋の隅の壁を撫でた。


「マコト、魔力板」

「あ、隠し通路?」

「ここ、ここ」


 コリンナちゃんが私の手を取って、魔力板の上に誘導してくれた。

 あんた、手冷たいね。


 魔力を流し込むと、ドアが向こうに開いた。

 奥は階段になってるな。


「どこに通じてるんだろ」

【学園の武道場のあるあたりに上がってますね】

「お茶を飲んだら上がってみよう」

「んだな」


 ダルシーがお茶をカップに入れてくれた。

 私も収納袋からひよこ堂のクッキーを出して、馬鹿どもにも配った。


「す、すまない」

「ありがたく」

「助かるぜ」


 みな、無言でお茶をすすり、クッキーをかじった。


「で、誰に頼まれたの?」

「え、あー、そのー、俺の愛するケリーが泣きついてきてなあ。飛空艇が無ければ私の勝ちだから、壊してきてってよお」


 ケリー?

 ああ、命令さんかあ。


「ジェルマン、あんた、命令さんの婚約者なの?」

「いや、違うよ、俺にも、ケリーにも婚約者は別にいるぜ。俺たちは愛人関係ラバーなのさっ」


 げえっ、なんだよ、不倫同士かよ。


 愛人関係ラバーは、結構アップルトン貴族に昔から流行ってる関係で、親から決められた結婚相手以外に恋人を作るってやつだ。

 親が決めた婚姻は、どちらかというと家同士の契約なので、奥さんも旦那もそれぞれに愛人関係ラバーを持つという貴族は多いんだよね。


 しかし、ジェルマンと命令さんとは……。

 デブの子が生まれるぞ、絶対。

 ちゃんと避妊しろよな。


「こんなすさまじい装備とは思わなかったぜ、想定外だ」

「ちょっと俺らの手にあまるよなあ。黄金の暁号を壊す方がなんぼか楽だ」

「僕は聖女さんに迷惑をかけたくは無かったのですが」

「馬鹿め、ユーグ、俺たち三人は一蓮托生だ、良い事も、悪い事も一緒にするのさ」

「そーだそーだ」


 なんつうか、こいつらは底抜けの馬鹿だな。


「ふう、お茶を飲んで人心地がついたぜ、これには礼を言っておく。だが、ケリーを虐めるお前らは敵だ、次はこうはいかないからなっ」

「ん、まあ、そうだ」

「聖女さんに逆らうのはやめようよう」

「うるせえ、俺の愛人ラバーが困ってるんだっ! しかたがないぜ」

「ホルスト嬢も、ホルスト嬢だと思うけど、まあなあ」

「漢の友情は辛いなあ」

「うるせえ、おまえら帰れっ!」


 ストライト隊を隠しドアの向こうに追いやって、みんなで階段を上がっていく。

 結構長い階段を上ると、ドアがあった。

 セザールが鍵をあらためると、こちらからなら普通に開くようだ。


 ドアの向こうは武術道具なんかを仕舞っておく倉庫のようだね。


「この後は大丈夫ね」

「ああ、俺は斥候だから、鍵開けできるよ。助かった、聖女さん」

「本当にありがとうございました。大神殿で一生懸命ボランティアして勉強します」

「今日の所は引き下がるが、次はかならず、お前をぎゃふんと言わせてやるからな。おぼえとけっ」

「うるせえ、二度とくんなっ!」


 ストライト隊を追い出して、階段を降りていった。


「だが、ここ」

「そうだね、コリンナちゃん。男子を飛空艇格納庫に呼ぶのに良いかもね」


 図書館口は、くぐるドアが多いからなあ。

 こっちのルートならドアが二カ所で済むね。


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― 新着の感想 ―
[一言] 一人くらい見せしめに殺してもいいと思うの
[良い点] えっ、ボコボコしたらそこまで悪くない馬鹿でしたw まぁ、でも性懲りも無い馬鹿も有りますね。 それにしても、命令さんも意外な人間関係をしていますね!?(笑)
[一言] ああ、リンダさんが危惧してた殺されないとわかるとつけあがるを象徴するような連中だな 敵だ、と言っておきながら次を口にするとか
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