第352話 駆けつけたらあいつらだった件
扉に光魔力を流し込むと、勝手に開く。
最大限開いたら、ゆっくりと閉まっていく。
なので、結構するする通れる。
格納庫まで、そんなにドア無いんだけどね。
三人で足早に通路をいけば、格納庫まですぐそこであるね。
格納庫のドアを開けると、蒼穹の覇者号が鎮座していた。
うーん、やっぱり格好いいね。
【一番ゲートを開けます】
「そうね、一ゲートごとに開け閉めして進みましょう」
「それが無難だね」
一番ゲートがすっと開いた。
私たちは歩いて進む。
二番、三番と歩いて行く。
ゲートとゲートの間はちょうど飛空艇が一隻余裕で入るぐらいの長さね。
さて、問題の四番ゲートまで来た。
三番ゲートは閉まった。
どんどんとゲートを叩いている音が聞こえる。
小さく、助けてくれ、開けてくれと声がするな。
「エイダさん、ゲートを細めにちょと開けて」
【了解しました】
十センチほどゲートが開いた。
「うおおお、開いた、開いた、助けてくれ、助けてっ!」
青いネクタイの小太りの男子生徒が隙間から大声を出してきた。
「なによあんたたち、ロープで登って帰りなさいよ」
「ロープが、ロープがよう、木の枝に引っかけて下りてきたら、手を離した拍子に上にあがって取れねえんだっ、助けてくれよう。寒くなってきてよう」
本当に馬鹿じゃ無いのか、こいつら。
木の枝にロープを結んで下りてきたら、うっかり手を離してびょーんとロープがはね上がったらしい。
「なんで、こんな所に入ってきたの?」
「そ、そりゃあ、その……」
後ろの狐顔で目が細い男子生徒がしゃしゃりでてきた。
「う、噂の飛空艇を見ようと思ってさ、な、ジェルマン」
「そ、そうそう、見たかっただけだ、壊そうとかしてないよ、うん」
「バカッ!」
馬鹿三人組だな。
「武器を全部よこしなさい、そうしたら学園まで通してあげるわ」
「な、ふざけんなよ、なんでそんな」
「そ、そうだそうだ、このジェルマンは伯爵令息だぞ、男爵令嬢が生意気な」
「エイダさん、ゲートを閉めて」
【了解いたしました】
「いやだーっ!! 入れてくれーっ!! 武器は渡すからっ!!」
「エイダ、武器が通るぐらいに開いて」
【了解いたしました】
馬鹿三人は慌てて、腰の剣を隙間に投げ入れてきた。
三本の剣をダルシーが拾った。
そこそこ良い剣みたいね。
「エイダさん、ゲートを開けてあげて」
【了解いたしました】
ゲートが一人入れるぐらいに開いた。
そこへ三人がなだれ落ちるように入り込んできた。
「うおおお、明るいっ」
「暖かいっ」
「生き返る!」
馬鹿どもは、小太りの奴と、狐細目、痩せのっぽな奴の三人組だった。
「エイダさん、ゲートを格納庫まで開けて」
【了解しました】
ゲートの二番から四番までが開き、奥に蒼穹の覇者号が見えた。
「あれが飛空艇……」
「馬鹿、今は……」
面倒くさいので足早に飛空艇まで歩いた。
図書館方面に叩き出すかな。
ちょうど蒼穹の覇者号の前まで来たときだった。
「おい、チビ、待て」
「なんだ?」
ふりかえると小太りがナイフを持っていた。
「この飛空艇は俺たちがいただく。俺たちには正当な権利があるんだ」
「……」
なんだろう馬鹿の毒が脳に回ったのかな?
「俺たちの名はストライト隊! お前たちの前にホルボス山迷宮に入っていた者だ! したがって、この飛空艇は俺たちの物だっ!」
「そ、そうだ、その、権利はあるかもしれないっ!」
「ちょ、ちょっとだけ、あるかもね」
「あー、あんたら一層に釘で名前を書いてたでしょ、やめなさいよね、学園の名折れになるから」
「う、うるさいっ!」
「あ、あれは、その隊の中でも賛否があったのだ」
「僕は反対したよ」
うん、小太りは馬鹿、狐目は阿呆、のっぽはそこそこ普通だが、馬鹿に反対できないかな?
「のっぽさんは僧侶?」
「え、あ、そうですよ聖女さま、ユーグと申します。アルナンディ准男爵家です。女神の御心に幸いを。」
いや、拝まれてもな。
「狐目さんは斥候?」
「そ、そうだよ、セザール。ランボー子爵家だ」
「で、小デブは、ジェルマン・ストライト伯爵家だね」
「小デブとはなんだ、小デブとはっ!! 俺は伯爵令息だぞっ!! かしこまれっ!!」
「あんたは戦士……、バランス悪くない?」
「うるさいうるさいっ!! 現地で魔法使いを雇えば良いんだっ!! 斥候と僧侶がいるパーティは希少なんだぞっ!! 俺たちは遭難したベロナパーティを追い越して、学園二年の最高パーティなんだっ!!」
「えー、そうかあ?」
「黙れ黙れっ!! 痛い目を見ないうちにこの飛空艇を俺たちに渡すんだっ!! そうすれば痛い目を見ないですむぞ」
「ヤダと言ったら?」
「ぶっ殺す!」
ジェルマンはナイフを振りかざした。
【対処いたしますか?】
「エイダさんが対処するとこいつらどうなります?」
【焼死となりますね。蒼穹の覇者号には飛行魔獣向きに大型の武器しかありませんので】
グインと音がして蒼穹の覇者号の船首が割れて、なんだか凄そうな砲身が見えた。
「光魔法ビーム砲?」
【いえ、前部光魔力機関砲です。光魔法ビーム砲をここで発射しますと格納庫が破損いたしますので】
「なっ、馬鹿な、誰と喋っているんだっ!! あ、あの、怖い物はなんだっ!!」
「飛空艇の魔導頭脳と喋ってるよ。アレで撃ち殺して対処するって」
「ばばば、馬鹿な、は、はったりだっ」
ジェルマンを脅すように、グイイイイインと音を立てて八本まとめられた砲身が回った。
エイダさんも茶目っ気あるな。
「それには及びません」
ダルシーが前に出た。
「あいつらをとっちめたいの?」
「はい、とても」
ああ、ダルシーがニコニコ笑っておる。
まあ、魔導機関砲よりはましだろう。
重拳は拳骨だしね。
「ヨシ! ダルシー! ゴー!!」
「はいっ!!」
あわれストライト隊はとても生き生きとした顔のダルシーにぼこぼこにされた。
まあなんだ、ダルシーがとても楽しそうでなにより。
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