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第330話 ホルボス山迷宮、第一層②

 ぴちゃんぴちゃんと水滴が落ちる音がする。

 わりと湿度が高い洞窟の中を隊列を組んで私たちは進む。

 足下は水が流れているね。


 普通はこういう洞窟探検は陰気になる所なんだが、ちっとも不気味な雰囲気にならない。

 なんでかというと私の頭上の光球の輝度が高くて明るいからだな。

 しかもみんなもランタンを点けてるから足下も明るい。


「雰囲気がでない」

「贅沢は言わないみょんよ」


 コイシちゃんにたしなめられた。

 ぐぬぬ。


 洞窟を抜けると広めの部屋に出た。

 スライムがあちこちをうぞうぞと這っている。

 大きさはだいたい肉まんぐらいの奴が多い。

 色は青っぽい。

 奴らは無害である。

 ゲジゲジとかムカデの方が見た目がキモイので脅威だ。

 その手の地虫はスライムさんが食べてしまうので、一階層は脅威というものが無いね。


 宝箱もないしなあ、この迷宮。


 宝箱はもうちょっと格上の迷宮に出てくる物で、中には薬草とか、硬貨とか色々と入っている。

 なんで宝箱に物が入ってるかは謎らしい。

 一説によると、迷宮が飲み込んだ物を、宝箱に吐き出しているらしいが、本当かどうかは解らないね。

 とりあえず、冒険者が中身を取り出すと、二日ほどでまた中に何か入るらしい。

 まったく同じ物ではなくて、だいたい似たような価値の物らしい。


 迷宮は不思議がいっぱいである。


 例えば、迷宮に置いておいた物は食われる。

 死体とか、剣とか、鎧とかを一昼夜ほど置いていくと、だんだんと床に沈み込んでいき消える。

 一説には分解して魔素にして循環させているとも、コアの部分に運ぶとも言われる。


 なんともうさんくさい場所であるよ。


 とりあえず、現在の魔導文明は迷宮から吐き出される魔石で動いておるので、無くなると困るのだな。

 冒険者なんか炭鉱夫みたいな物であるのだよ。

 ガドラガあたりだと、深い階層に月一ぐらいで潜って魔石や宝を持ち出して優雅にくらしている冒険者もいるようだ。


 もちろん、ホルボス山迷宮みたいなしょぼい迷宮は常駐の冒険者が居着くほどの稼ぎは無いので、村には冒険者ギルドも無いのだよ。

 初心者がたまに腕試しにくるぐらいの迷宮だ。

 冒険者としては王都近郊で薬草取りをしたほうが儲かるのであるよ。


「なんにもないね、コリンナちゃん何か見える?」

「特になんの偽装もないよ、普通の部屋」


 うーむ、一階層から深くへ潜る扉とかがあるかと思ったのだが、別になさそうね。

 さっさと通り過ぎよう。


 この階層は自然洞窟系のようで、部屋と部屋の間にドアは無い。

 サクサク進もう。


 最前列でアンヌさんが壁を確認したり、ダルシーが床を確認していたりする。


「アンヌさんは迷宮の経験あるのかな?」

「私と時々迷宮に入ってたから」

「なるほど、二人で入ってたの?」

「そうね、だいたい二人だったわ」


 まあ、アンヌさんが強いし、カロルは薬品があるし、チェーン君がいるから、中級迷宮ぐらいまでは危なげがなさそうね。


 通路を進むと次の部屋である。

 さっきの部屋よりも広い。

 床にちょろちょろ水が流れていて、スライムがあちこちに居る。


 壁に何かでひっかいた文字がある。


『アップルトン魔法学園二年B組 ストライト隊参上!』


「……」

「……」

「なにしてんだ、ストライト隊……」

「学園の恥だわ」


 粘土壁の上に釘で彫った物っぽい。

 普通のダンジョンなら三日ほどしたら消えるのだが、ここのダンジョンは自動修復力が弱いのかな。

 ストライト隊め。


 壁文字は無視して先に進もう。


「しかし湿っぽいみょんねえ」

「この前行った迷宮は乾いていたの?」

「カラカラみょんよ。もっと魔物も出たみょんね」

「あそこは初心者用の上だからな。あの上は中級になるんだ」


 カーチスが振り返ってコイシちゃんに答えた。

 ここは本当に初心者用なんだなあ。

 まあ、四人とかで来たら緊張するかもしれないが、うちは十人だしね。


 洞窟を更に進むとまた広い部屋だ。

 奥に階段がある。

 入り口あたりは土段なのだが、途中から岩階段に変わっている。

 不思議な事だよなあ。


 ここにもスライムがいて、水が床をちょろちょろ流れている。


「そういえば、この迷宮、水場はあるの?」


 カロルが聞いて来たのでガイドブックを出す。

 ちなみに、図書館のを借りっぱであるが、まだ期限が来てないから良いのだ。


「水場は無いみたい。安全地帯も無いけど、まあ、一泊するほどの広さじゃ無いからね。標準的な冒険者の速度で三時間ほどだって」

「そう、一時間ぐらいしたら休憩しましょうか」

「そうね、二層目の後半あたりで休もうね」


 二層目は石造りの迷宮になり、込み入ってくるが……。

 家の二階? みたいな部屋割りだな。

 ビアンカ邸が地面に飲み込まれているのだろうか。


 私たちは階段を降りる。


「なんにせよ、石の床は良いな」

「湿気もそんなではないね」

「魔物は何がでるみょんよう?」

「ええと、角兎だね」

「あまりぱっとしないな」


 まあ、角兎をしとめれば村で売れるでしょう。

 迷宮の魔物は倒すと死体になって持って帰れる。

 絶滅してしまわないかな、とも思うのだけど、迷宮の生物は昔ここに迷い込んだ生物のクローンみたいな物らしい。

 魔素によって復元されるらしいのな。

 取り尽くしても絶滅はしないらしい。


 ストライト隊が乱獲とかしてなきゃ良いけどねえ。

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[良い点] ストライト隊、おい!(笑)
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