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第329話 ホルボス山迷宮、第一層①

 まずはダルシーが穴に飛び降りた。

 うわっ、と思ったがゆっくりと落下しておる。

 自分に重拳をかけて、ふわっと降りている模様。

 ダルシーは便利だなあ。


 次はアンヌさんがするするとハシゴを下りていく。


「エントランス広場クリア、敵性存在はいません」

「りょうかいー」


 下からダルシーが声を掛けてきた。

 アンヌさんは弓を持っているな。


 次は、カーチス兄ちゃんとカトレアさんがハシゴに取り付く。

 ちゃんと針金で固定されているみたいで、ぐらぐらはしないね。

 二人が底についた。


 次はエルマーだ。

 私は彼に近づいて長い棒を背中から抜いた。


「なにを……する……」

「棒は私が持っててあげるから、杖と棒もってたら邪魔でしょ」

「……棒の……杖を……今度作ろう……」


 やめておけ。

 こんどカーチスを叱っておくから。

 魔法使いは斥候しちゃだめだよ。

 パーティの切り札なんだからさ。


 私はエルマーの棒を収納袋にしまった。

 長いからどっかに引っかかりそうだしね。

 エルマーも底に着いた。


「私が先に、次にコリンナちゃん、それからカロルね」

「わかった」

「いいわよ」


 さて、ハシゴに取り付く。

 ハシゴなんか登ったのは前世の山登りの時ぐらいだなあ。

 焼岳登山の途中に掛かってた。

 よっせよっせよっせ。


 よし、着地である。


 大穴の底はジメジメした感じで生臭い。

 特にモンスターはいないね。

 ハシゴから離れると、コリンナちゃんが降りてきた。


「ふう、ハシゴなんか初めてだよ。お父さんは良く上り下りしてるらしいけど」

「下水道局だとねえ、使うでしょ」


 カロルがするすると降りてきた。

 うむ、下から見るとドロワース丸見えだ。

 うっしっし。


「もう、なんでエロい目で見るのっ」

「み、みてないよ、誤解だっ」

「いや、見てただろう」


 コ、コリンナちゃんの裏切り者っ!


 カロルが腰を軽く叩くと大量の鎖が落ちてきて、じゃりじゃりと人の形に立ち上がる。

 おー、チェーン君ひさしぶり。

 かるく握手とかしてみる。


「マコトはこの子好きね」

「うん、格好いいし」


 なんとなく、チェーン君が後ろ頭に手をやって照れたような仕草をした。


「あれ?」

「ん、どうしたの?」

「自我あるの?」


 カロルがチェーン君に聞くと、彼はぎくっとしたような動きをした。


「……」

「自我有るの? チェーン君は」

「いえ、有るわけ無いんだけど……。ま、まあ、ほっとこう」


 良いのか、カロルよ。

 なんか進化して意思が芽生えているのかもしれないよ。


 コイシちゃんとエルザさんが降りてきて、全員穴の底に立った。

 東西に二本の横穴が開いているな。


 私はガイドブックを開いて地図を見た。

 一階層は回廊状になって、三つの部屋をたどって、ここに戻ってくるようだ。

 特に宝とかは無いらしい。

 生息魔物はスライム。

 ここに居るのはブルースライムなので、水の微細魔石がでるらしい。

 まあ、別に好んで倒すような魔物でも無いね。

 動きも遅いし。


 皆がランタンを付け始めた。

 コイシちゃんと、カトレアさんの特製ランタンが明るいね。


「そのランタン良いな」

「鍛冶部の特製みょん、回路はカロリーヌしゃまの特製みょん」

「私のランタンの回路はエルマーさまのやつです。安い水魔石が使えますよ」

「そうか、それはいいな」


 そういうカーチスのランタンは油式だった。

 頑丈で間違いがないので油式を愛用する冒険者も多い。


 ダルシーとアンヌさんは小型ランタンを腰に吊していた。

 同じデザインだから、メイドの里の品かな。


 コリンナちゃんは油式ランタンにマッチで火を入れた。

 この世界は摩擦式のマッチがあるのだ。

 エルザさんも油式だね。

 エルマーは魔石式ランタン。

 ちょっと暗いのは魔石をケチっているからかな。


 カロルは魔石ランタンだ。

 超ピカーッと光る。


「光魔石式?」

「そうよ、オルブライト領には光魔石を出す魔物が住んでるダンジョンがあるの」


 そりゃいいねえ。

 光魔石は主に灯りに使われるので高値で売買されている。


「マコトは?」

『ライト』


 大きめの光球を出して頭上に固定した。

 凄く明るい。


 みんなが苦虫をかみつぶしたような顔で光球を見る。

 いいじゃんかよう、明るいにこしたことはないし、それぞれもランタンはいるんだぞ。

 はぐれたりしたら危ないじゃんかよう。


「どっちの入り口から入るか?」

「南にしよう、部屋が二つある」


 北から入ると部屋が一つで、もう階段部屋だ。


「そうするか」

「では、南の横道へ出発~!」


 私たちは隊列を保って前進した。

 光球は私の頭上にあって追随ついずいしてくれる。

 一つ出しておけば五時間ぐらい持つね。


 ヌメヌメした洞窟は光に照らされてヌルヌル光る。

 湿度が高いのか土の壁が濡れているね。


 たまにスライムがいるがアンヌさんが弓を使って地面にはたき落としている。

 まあ、この程度のスライムはのしかかられてもそんなに危なくない。


 ガドラガとかだと、超コワイ、アシッドスライムとかが居るのだが、ここのスライムは消化能力が低いのだ。

 主に虫とかを食べているらしい。

 他のゲーム作品みたいに、目があったり喋ったりはしない。

 ただのでかいアメーバ的な軟体だ。

 スライムのコア部分に攻撃を当てると、死亡して形が崩れ、小さい魔石が出る。

 ただ、ギルドに持っていっても1ドランクにもならん。

 倒すだけ無駄な魔物であるよ。


 洞窟の広さも、そんなに狭くはなく、二人並んで歩けるぐらいの幅はある。

 私たちはゆっくりと進んで、第一室に入った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ダンジョン探索開始ですね。 マコトさん、エロいですw そしてチェーン君が自我持ちとは驚きです!
[一言] やはりスライムにヌルヌルされる系の同人描いてた人はいるんだろうなぁ
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