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第325話 馬車は西門からヒューム大橋を目指す

 馬車は早朝の王都をガラガラと走っていくよ。

 そろそろ日の出なのであたりが明るくなってきたね。


 ああ、なんだかコミケに行く朝を思い出すよ。

 地方から腐女子仲間が泊まりに来たりして、始発電車でビックサイトへ向かうのさ。

 在庫を入れたキャリーバッグをガラガラ引きずりながらね。

 懐かしいなあ。


 ダンジョンもコミケも一緒だね。

 どちらもお祭りな感じがする。

 うんうん。


 ずっとパンを持ってるのもなんなので食べ始める。

 ほかほかであるよ。


「あれ、ダルシーの分がないや、半分食べる?」

「い、いえ、恐れ多い、レモンスカッシュの栓を抜きましょう」


 体を伸ばしてコリンナちゃんの腰からナイフを盗み取る。

 なにすんだという顔をされるが気にしない。

 馬車の窓の桟にハンカチを引いて、すぱりとホットドッグを半分にしてダルシーの方へ出した。


「いえその」

「食べなさい」

「はい、ありがとうございます」


 余ったレモンスカッシュの瓶も渡そう。

 その代わりに栓があいた瓶を手渡される。


 ハンカチでコリンナちゃんのナイフを綺麗に拭いて返す。


「私のもあげよう」


 コリンナちゃんが器用に膝の上で卵サンドを三分の一ほど切ってダルシーに差し出した。


「私にもナイフを貸してコリンナ」

「ほいよ」


 コリンナちゃんが隣のカロルにナイフを手渡した。

 彼女もサクリとクリームコロネを三分の一ほど切ってダルシーの膝に乗せた。


「お、おかまいなく」

「いっしょに食べましょう、ねっ」

「はい……」


 ダルシーは小さくなってパンを食べ始めた。

 うんうん。

 同じ車内で一人だけたべてないのに、その前では食べれないしね。


「アンヌはどうしてるかしら」

「エルマーのパンを貰ってるのでは無いかな」

「貴族の人はメイドに気を遣ったりはしないのよ」

「そういうもん?」

「そうよ、マコトは変わってるから」

「まあ、そうだな」


 コリンナちゃんまでっ。

 ダルシーも小さくうなずくんじゃありません。


「まあ、馬車駅に着いたら何か買ってあげればいいね」

「そうね」


 カロルはふんわりと笑った。

 もぐもぐ。

 私の嫁は可愛いのう。


 パンを食べレモンスカッシュを飲んでいると、馬車は王都の西門に着いた。

 馬車の扉を開けて、門番さんが人数を確認していく。


「こっちの門はギルド証とかあらためないの?」

「西門は商用門だからね。スラムが近い東門とはちがうんだよ。帰りも学園の記章確認ですむよ」


 さいですか。

 西門はすぐヒューム川で人が住めるスペースが無いからね。

 ちなみに、王都の南門が正門と言われていて、大きな街道が走っている。

 東門はスラムが近い事もあって警備が厳重なのだ。

 北門は不浄門と言われて、葬儀の時に開いて王都北の墓場に繋がっている。


「ダンジョンアタックかい? がんばってね」

「ありがとう、行ってきます」


 ニコニコした門番さんは書類に記入して馬車を後にした。


「商用門は楽だねえ」

「商売に使う門ですしね」


 馬車が西門をくぐると、目の前には船着き場が広がっていた。

 川船だね。

 大きな船を沢山の人がロープで引っ張って上流に動かしている。

 川船はこうやって下流から上流へ人の力で引っ張っていき、ヒルムガルドまで持ち上げ、帰りは荷物を満載して川の流れを使って帰ってくるのだ。

 なんだか、楽しげな舟歌を歌いながら、えいおうえいおうと労働者の皆さんが引っ張っていくよ。

 ロープは結構長くて、対岸にも人がいて引っ張ってる。

 川船には帆もあるんだけど、補助的な物で、上流からの船が来たらロープの下をくぐるらしい。


「すごいねえ」

「ああやって上流から物資が運ばれてくる。王都はヒューム川のおかげで成り立っていると言ってもいいぐらいだ」

「下流は港街から物資がくるよね」

「下流からは帆走で、運河港に着くね。外国の物資なんかもそうやってくる」

「さすがはコリンナ、物知りね」

「た、たいしたことじゃないよ」


 あはは、コリンナちゃんが照れおった。


 馬車は川沿いの街道を走っていく。

 結構良い状態の石畳で震動が少ない。

 この道もヒルムガルドに続く道だ。

 やっぱあの街は王都に送る物資の拠点なんだよなあ。

 命令さんちは、それで栄えているのだな。


 いやあ、馬車の旅は楽しいね。

 前世の車よりは遅いけど、それでも車窓から見るアップルトン王国は綺麗だな。

 春まっさかりな感じで新緑が目に優しい。


 川の土手道にあがり、川と一緒に蛇行しながら馬車は進む。

 お日様が昇って真っ青な空になってきた。

 今日は良い天気だね。


「お、見えた、ヒューム大橋だ」

「おお?」


 遠くに大きな木造の橋が見えた。

 ここで街道は北へ向かう道と、西にゆく道に分かれるのだ。

 やあ、でっかいねえ。


 洪水とかが起こるとヒューム大橋はすぐ流れてしまうのだな。

 あんまり頑丈に作ると、川がせき止められて水が王都側に流れるかららしい。

 ちなみに後方を見ると王都が小さく見える。


 御者さんが、橋守さんに通行料を払い、馬車はガタゴトと橋に入って行く。

 通行は有料なのだな。

 あとでカーチス兄ちゃんに料金を渡しておこう。

 公共施設なのでそんなには高く無い、千ドランクぐらいだな。


 橋の向こうに小さな村が見えてきた。

 あそこで一回休憩だね。


 馬車駅のアチソン村だ。

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[良い点] 美少女達が仲良しの光景は治癒的です〜
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