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第288話 午後はまたクレイトン親子に実験される

 ああ、お腹がいっぱい。

 サラダも量があって美味しかったな。

 お肉を食べると満足できるね。


 食後にはコーヒーが出た。

 あっさりめの淹れ方で美味しい。


「美味しかったね」

「ブロウライトのお肉はやっぱり凄いわ」

「そうだろう、そうだろうっ」


 カーチス兄ちゃんが大いばりであるな。

 いばりに足る美味しさであるからしかたがないね。


「さあ、早めに帰らないと、午後の授業までに校舎に入れないわよ」


 カロルが立ち上がる。


「ダルシー」

「はい、マコトさま」

「お金を払っておいてください」

「かしこまりました」

「ああ、いいって、俺の領の店だしさ」


 カーチスが顔の前で手を振った。

 だが、断る!


「聖女派閥は借りを作らないのだ」

「きっちりしてんなあ」

「お金はきっちりしないと、後々色々困るからね」

「わかった、ゴチになるぜ」


 うんうん、それがいい。

 稼ぎがあると色々捗るな。

 ドライヤーさまさまであるよ。


 うんっと伸びをしてお店の外に出る。

 安くて美味しいお店の情報は財産だね。

 色んなお店を開発して楽しい。


 みんなでお話しながら王都大通りを行く。


 ああ、春めいた暖かさで良いねえ。

 王都の人達も心なしか嬉しそうである。


 リアルの中世近代の街の道なんかは、汚物まみれ泥まみれですごい事になっていたのだが、ここの世界はさすが乙女ゲー世界だ、衛生管理も完璧なんだぜ。

 石畳は綺麗だし、馬車の通る車道と歩行者の歩道には段差が付いている。

 夢の衛生的ファンタジー都市なのだ。

 道でウンコする子供も居ないし、馬のウンコもちゃんと袋で回収するのな。

 すばらしい。


 ぶらぶらと散歩を楽しんで学園についた。


「それじゃ、マコト、また後でね」

「行ってらっしゃい」


 みなは午後の魔法の授業に別れていく。

 私はエルマーに連れられて、また実験であるよ。

 とほほ。


 二人で連れ立って魔術実験室へと向かう。


「やあやあ、来たね、マコトくん」


 ジョンおじさんはにこやかに笑う。


「こんにちは、ジョンおじさん」

「まったく心のオアシスのこの時間が終わってしまうのはとても悲しいね」


 そんな事を言われてもなあ。


「そういや、麻薬の治療薬は魔法塔の錬金部で開発してないんですか?」

「麻薬は……、ポーションでは治らないのかね?」

「魔法作用の薬品ではないので」

「そうなのか……。だが酒と同じぐらいの危険性と聞いたが」

「もっと作用が強いですよ、ポッティンジャー派閥が流していた薬品は純度が高そうなので、廃人が増えますよ」

「廃人! そんなに酷い薬なのかね?」


 魔法長官がこの調子だと、サーヴィス先生も同じぐらいか。


「サーヴィス先生に調査するように言ってください。光ヒールポーションと、聖女の湯は効果があるみたいですが、どちらも私しか作れないので患者が増えたら対応できませんよ」

「そ、そうか、教えてくれてありがとう、マコトくん」

「脳や幻覚に効く薬なら症状を和らげられると思います」


 光系の治療は多分に時間巻き戻し効果があるので、麻薬治療に本当は何が効くのかわからないんだよね。

 サーヴィス先生なら心当たりがあるだろう。

 錬金部の長だしね。


 さてさて、実験であるよ。

 いつも通りだよ。

 つまんないよ。


 いつも通り二時限実験をして、終業の鐘がなった。

 ふう、やれやれ。


「うむ、今日も良いデーターが取れた、ありがとうマコトくん。麻薬治療薬に関してはサーヴィス先生にあげておこう、提案ありがとう」

「いえいえ、こういう事は先に手回ししておくのが良いですから」

「明日……、拠点を……攻めるのだろう、……一緒に行こうか?」

「ありがとうエルマーでも大丈夫、神殿騎士団と一緒に行くから」

「ああ……、リンダ導師……、それは……安心だ」


 誰が出てこようと、リンダさんがいれば大分安心であるよ。


 エルマーと連れだってA組へと戻る。


 アンソニー先生がやってきて、起立礼。

 ホームルームのお話は、麻薬で二年生が一人、三年生が二人放校になったとの伝達であった。

 麻薬中毒の生徒はどんな爵位でもうむを言わさず放校だそうな。

 中毒の自覚がある生徒は自分から申し出れば放校にはしないとアンソニー先生は確約した。

 誰も立たない。

 A組には居ないのか、と思った瞬間、斜め後ろの女生徒が立ち上がった。

 たしか、メアリ・ソーザントン男爵令嬢だ。

 茶髪で遊び好きな感じがする娘だな。


「ソザートンさん、では後で職員室に」

「わ、わかりました」

「先生、治療手はいりませんか?」


 私が手を上げると、アンソニー先生は顎に手を当てた。


「おねがいしてもいいですか? キンボールさん」

「大丈夫です」

「ではおねがいします」


 A組の一年にも一人いたか。

 B組とC組にも中毒患者はいそうだ。


 彼女をサクッと治療してから、『タワー』との面会に行こうか。


 学園中だとどれくらい中毒患者がいるのだろう。

 売人はパターソンさんだけだと思うけど、禁断症状でスラムに駆け込む奴もでるかもしれない。


 索敵魔法で特定して中毒患者を治して回るかな。

 しっかし、後始末がめんどくせえ、まったくグレイブめっ。



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