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第283話 大浴場の水質検査にいくぜ

 205号室でしばらくだらだらと本を読んでいた。

 まったく魔法陣は難しいぜ。

 眠くなる~~。


「おい、お風呂の水質検査にいくぞ」

「はいはーい」

「さすがに起きていたか」

「いや、魔法陣の本読んでたから半分寝てた、ありがとうコリンナちゃん」


 ハシゴを下りて制服を伸ばす。

 寝転んでたからシワになったのだな。


「さて、行こう」

「行こう」

「行ってらっしゃ~い」


 マルゴットさんがベットの中から手を振って送りだしてくれた。

 カリーナさんはもう寝てしまったらしいな。


 さあ、行こう。


 夜の女子寮をコリンナちゃんと二人で歩く。

 コーンコーンと足音が響く。


 うへえ、これから五階に上がらないと駄目なのか。

 がんばろう。


 よっせ、よっせ、よっせ。

 コリンナちゃんと一緒に階段を上がって上がって上がりまくったら、五階だった。


 ふうふう。

 コリンナちゃんも息を荒くしている。


 カロルの部屋の前に来て、ドアノッカーをコンコンと鳴らした。

 がちゃりとドアが開いて、カロルが出てきた。


「来たわね、行こうか」

「いこういこう」

「いこういこう」


 三人でエレベーターまで歩いた。


「今日は寝なかったのね」

「危ないところだった」

「私が起こした」

「そうなんだ」


 カロルがボタンを押してエレベーターを呼び出した。

 扉の上の矢印が左から右へ移動してくる。


 チーン。


 荷室がやってきてドアが開いた。

 三人で入るといつの間にかアンヌさんが制御盤の前にいて、レバーを地階にガチャリと倒した。


 ヴイイイン。


 懐かしい感じのふわっとした感じがしてエレベーターは下降を始める。


「ああ、エレベーターは楽だなあ」

「楽だなあ。いつも使えればいいのに」

「上級貴族特権だからね」


 エレベーターは地階に着いて扉が開いた。

 降りて少し廊下を行けば大浴場の入り口だ。

 隣の洗濯場は灯りを落とし、静まりかえっている。


「まだ誰か入ってるかな?」

「入ってみればわかる」


 ドアを開けて脱衣所に入ると、女生徒が服を着ている所だった。

 目礼して浴場に入る。

 もわっと湯気が体を包んでちょっと暑い。


「ちょうどさっきの子が最後だったみたいね、水質を見ましょう」


 湯船のお湯は特に汚れた感じはしない。

 このお湯は後ろの機械室で循環されて追い炊きし、不純物を漉してまた湯船に戻ってくる。


 おっと、どやどやと誰かが入ってきた。

 だれだ、こんな遅くに。


「あれー、マコト」

「クララかー、あとみんな」


 食堂スタッフがお風呂に入りにきたらしい。


「やあ、マコトさま、コリンナさま、カロルさま」

「なんだか久しぶりな気がするよ」

「エドラさん、食堂には毎日来てるけど、厨房には入らないからねえ」

「イルダさんが帰って来て厨房は上手に回ってるけどさ、あんたとコリンナさまがいたら楽しいだろうなって、何時も考えてしまうのさ」

「忙しくなったら呼んでよ、手伝うよ」

「手は足りてるし、新入生歓迎ダンスパーティまではイベントは無いわね」


 メリサさんが微笑んで言った。


「ダンスパーティのお料理は女子寮食堂で作るの?」


 イルダさんの料理だったら美味しいから良いなあ。


「男子寮の食堂と共同で作るんだよ」

「展望レストランの厨房は手伝わないの?」

「あいつらは偉いから夜には働かないのさ」


 そうかそうか、楽しみだな、イルダさんのパーティ料理は。


「あんたらは何してるの?」


 パティシエのメレーさんが聞いて来た。


「お風呂の水質チェックよ。聖女の湯の日はみんな入るからどれくらい効能が残ってるか調べるの」

「そうなの、おつかれさま」

「さ、みんな入って入って、風邪引いちゃうわよ」

「お言葉に甘えて」


 女子寮食堂のスタッフが湯船に入った。

 私が話している間もカロルはお湯を取って色々調べている。


「どう?」

「月曜日とほぼ同じね。ちょっとお湯がつかれてる感じがあるけど、効能はそんなに落ちてないわ」

「八割方残ってる?」

「七割ぐらいかしら」

「やっぱり湯の元を入れたてが効果が高いのか」

「それはそうよコリンナ。でも七割残っていれば問題ないわね。効能としては十分よ」


「あーやっぱり効能は落ちてるんだねえ」


 横耳で私たちの話を聞いていたのかエドラさんがつぶやいた。


「学生さんの施設だから、私たちが入る頃には落ちててもしょうがないさ」

「そうだね、お肌がつるつるになるし、持病の腰の痛みも大分薄れたわ」


 ソレーヌさんがつぶやいた。

 厨房は立ち仕事だから腰を痛めるんだろうなあ。

 聖女の湯が役に立ってよかったな。


「マコトさん、大神殿でも聖女の湯やってるんですって?」


 ジョイアさんがくるっとお湯のなかで向き直ってこちらに声をかけてきた。


「やってるよー、信者さんたちにも好評だよ」

「何曜日にやってるのかしら?」

「金曜日かな」

「金曜日かあ、ちょと無理だわねえ」

「平日だと無理そうだね」


 さすがに大神殿の沐浴場も夜には閉まるなあ。


「今の配合で問題は無いみたいね」

「そうだね、コリンナちゃんは何か意見ある?」

「そうだなあ、今はお肌と、疾病予防か?」

「あと、安眠とリラックス効果かな。なにか足したい?」

「これからの季節には関係ないけど、冷え性改善とか秋冬には欲しいね」

「それはいいね、秋になったら生薬を変えてみようか」

「冷え性なら、カモミールとかイチジクね。カモミールはもう入ってるわよ」

「そうかそれでポカポカするんだな」


 良いアイデアだから、秋冬の薬草とか考えておこう。

 これから夏だから、あせも対策とか、すっとする効果とか良いかもね。


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[気になる点] >信者が泊まる事が多い,土曜日に聖女の湯を行う感じで話はまとまりました とリンダさんは言っていますがマコトは勘違い中?
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