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第268話 ロイドちゃんに話をつなぎ、学園へと帰る

 ご飯を食べ終わったので、お茶を飲んでいる。

 久々のコーヒーで苦くて美味しい。

 うまうま。


「ロイド王子、今度学園内の麻薬ルートを潰すんですが、王家として協力をお願いできますか?」

「あ、潰すの、いいよー」


 えらく軽いなロイドちゃん。


「では、私の方で情報を集めますね」

「お願いね、ヒルダさん」

「飛空艇探しはご協力できませんでしたけど、人間相手ならマーラー家にお任せください」

「心強い」


 というか、ヒルダさんだと、売人を拉致監禁の上で始末までしちゃいそうで怖いな。


「ロイド、『タワー』に話をつないでおけ」

「『タワー』かあ、苦手なんだよなあ」

「追跡の時に鉢合わせしてもつまりませんですからね、連絡と情報交換は大事ですぞ」

「わかったよ~」


 頼りないなあ、大丈夫か、ロイドちゃん。


 カロルが顔をしかめてコーヒーを飲んでいた。


「コーヒー苦手なの?」


 カロルはこくりとうなずいた。


「苦いわ、ミルクと砂糖を入れても苦いわ」


 カロルの意外な弱点を発見。

 いつもハーブティーだからかな。


 さて、学園に帰って、クレイトン親子の実験台になるか。


「ダルシー、お金を払っておいて」

「かしこまりました、マコト様」


 私の言葉に、ケビン王子とジェラルドが慌てた。

 ロイドちゃんはニコニコしておる。


「いや、僕たちは」

「王家がおごられるわけにはいかない」

「いーんだよっ! この前王宮食堂に入れて貰ったしさ、他の子が気後れするからおごられていろよ」

「すまないね」

「おごられるのは初めてだな。ごちそうさまだ、キンボール」


 ジェラルドはおごられても偉そうだなあ。


「マコトっち、ごちそうさま」


 ロイドちゃんが右腕にジュリエットさんをひっつかせたまま笑顔で答えた。


「気にしない気にしない」


 ダルシーがみんなの分のお金を払った。



 お店を出て、みんなで王都大通りを学園に向かって歩く。

 良いお店だったなあ。

 ランチは何時も子牛のワイン煮かな。

 また来たいねえ。


 やっぱ、お金があるって良いねえ。

 うっしっし。


 ドライヤーも、聖女の湯も、まだまだ稼げそうだしね。

 夏にはみんなで、南の島でも旅行に行くかな。

 うんうん。


 なんだか、カーチス兄ちゃんの顔が赤くてふらついているな。


「カーチス飲み過ぎ」

「これくらいのワインでは酔わんっ、俺は正常だ」


 黙って、カーチスの後ろ頭をぶっ叩いた。


『キュアオール』


「……。治った、酔っていたようだ、すまん」


 私は肩をすくめてカーチスの隣から離れた。


「すごいな、どんなに深酒しても大丈夫か」

「夜会外交に欲しい人材ですな」


 ケビン王子とジェラルドがつぶやいた。


 いやだよ、酔ったオヤジたちの介抱役なんてさ。


 春めいた風のなか、私たちはぶらぶらと歩いていく。

 時々ふわりと花の匂いがする。

 王都は花の都というぐらいに、あちこちに花が植えてあるのだな。

 偽パリだからなあ。

 エッフェル塔は無いが、魔法塔がある。

 位置は違うけどね。


 ひよこ堂の前を過ぎれば、学園はもうすぐだ。

 今日は特にパンに用事が無いからよらないのだ。


 にっこり笑って手を振るクリフ兄ちゃんに、私も手を振りかえして店の前を通りすぎる。


 さて学園に着いた、校舎前で解散である。


「それじゃ、また放課後ね~~」

「お買い物楽しみですわ」

「それではまた後ほど」


 みんなと別れて、エルマーと一緒に階段を上がる。

 魔術実験室に向かうのだ。


「お酒……、美味しかった……」

「エルマーはあまり飲まないの?」

「初めて……。マコトと……、一緒だと……、色んな……、初めてを……、経験できて……いい。ありがとう」


 そう言ってエルマーは微笑んだ。

 笑顔に釣られてなんだか私も嬉しくなった。


「どういたしまして、エルマー」


 エルマーはコミュ障だからなあ、ほっとくと一人で魔術実験ばかりしてるのだろう。

 聖女派閥がエルマーにとって新鮮な体験ができる場所で良かったな。

 うんうん。


 魔術実験室では、ジョンおじさんが待ち構えていた。


「こんにちわ、マコト君。錬金部に面白い提案をしてくれたようだね」


 そう言って、ジョンおじさんは錬金キットの箱を見せた。


「世間に魔法道具技術を放出すると、内職とか増えると思いまして」

「そうだな、高い魔導具を買わずに自作で済ませられればと、流行るだろうね。私は思いつかなかったよ、ありがとうマコト君」

「いえいえ、そんな事はありませんよ。魔法塔の技術が無ければ只の空論でしたから」

「まったく、マコト君は奥ゆかしいね」

「偉い……」


 ジョンおじさんはドサリと簡易ドライヤーの束を机に置いた。


「簡易ドライヤーも好評でね、安いので飛ぶように売れて、錬金部がほくほくしているよ。これはお礼だよ、三十枚ある」


 おー、錬金印刷機の奴か。

 私は簡易ドライヤーの束を触って収納袋に入れた。


 良いね、欲しい人に売ってもいいし、知り合いに分けてもいい。

 鍛冶部のちゃんとしたドライヤーを手に入れるまでに代わりに使いたい人は沢山いるしね。


「さあ、今日も実験を始めよう」

「魔法の……、深淵を……、研究しよう……」


 まったく、魔術マニアは困るな。

 このあと二人に無茶苦茶実験された。

 やれやれであるよ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、最近の更新はお疲れ様です! 麻薬か、確かに無くしたいですね。 そういえばチャラ王子様は警備担当でしたw カロルさん意外の弱点発見ですw 引き続きも楽しみにしています!
[一言] 酔っぱらいほど酔ってないと主張する、を地で行くカーチスの図 王子たちの反応を見ると一般的なキュアポーションとかじゃ酔いには効かないのか
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