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第264話 晩餐の席で日曜日のダンジョン行の話を聞く

 さて、晩餐である。


 いつものように、クララに挨拶をして、トレイにお料理を取り、ケトルから冷めたお茶をカップについで席に付く。


 今日の下級貴族食は豚肉のカツレツ、コンソメスープ、キノコサラダ、黒パンだった。

 とんかつは珍しいね。

 久々に食べる感じ。

 油が前世よりも貴重品なので、世間では揚げ物はあまり作られないのよね。

 学園は貴族だらけだから、わりと良く出るけどね。


 みんな料理を持って来て席に着く。

 カロルがぼんやりしてるな。


「カロル?」

「あ、ごめんなさい、簡易ドライヤーの回路を考えていたわ」

「そうなんだ」


 いつも食事時に考え事をしてカロルに怒られるのは私だから、なんだか珍しい。

 そんなに魔法陣制作が好きかね。

 この子は。


 みんなが席に着いたので、食前のお祈りである。


「いただきます」

「「「「「女神に今日の糧を感謝します」」」」」


 もう、天丼については諦めよう。

 うん、そうしよう。



 トンカツをナイフで切って口に運ぶ。

 ほわあああっ。

 あー、お肉がジューシーで美味しい。

 上に掛かってるソースがホワイトソース系で、なかなか面白い取り合わせだね。

 サクサク、おいしいおいしい。


「ダンジョンに行くための準備も始めないといけないわね」

「明日の放課後にでもギルドに買い物に行こうか」

「そうね、コリンナも行く?」

「行くよ、買い込まないと。こういうのは二年になる前に揃えれば良いと思ってたんだけどなあ」


 ちなみに冒険者ギルドの隣には、冒険グッズ屋さんがある。

 ギルド御用達のロープとか背負子とか売ってるんだな。


「カーチスも誘って行こうか」

「そうね」

「私も行くみょん」

「うむ、私も」


 剣術部が反応した。

 エルザさんの方を見ると、うんうんとうなずいていた。


「みんなでダンジョンは楽しみですわ」

「そういや、日曜日のダンジョンはどうだったの? なにか良い物出た?」

「たいした物は出なかったみょん」

「というか、宝箱が空いたままだった。タイミングが悪かったらしい」


 なんでかは謎なんだが、ダンジョンにある宝箱は時間がたつと補充されるのだ。

 ゲームっぽい話であるよ。


「初心者ダンジョンだから、あってもたいしたものは出ませんでしたでしょうけどね」

「宝箱がロマンだみょんっ」

「魔石はいくつか出た。換金したが、三百五十六ドランクにしかならなかったよ」

「それはがっかりだね、カトレアさん」

「だが、ダンジョンでの動き方とか、フォーメーションの練習にはなったぞ」

「カトレアしゃんは突っ込みすぎだみょん、何回か斬りそうになったみょんよ」

「い、いやそれは誤解だ」


 うはあ、なんだか前途多難っぽいなあ。

 何回か一緒に潜らないとチームにならないっぽいが。


「聖剣ホウズは大丈夫だった?」

「あれは……、ウザイ……」

「のべつまくなしに喋るみょんよ、最後の方はカーチスさまも、納剣して黙らしたみょんよ」

「やっぱり」


 それはそれはうるさかろうなあ。


「あんまり大物の魔物は出なかったんだ」

「アタックドックが一番大物だみょん、スライムは多いし、主に角兎を狩ってたみょん」

「スライムを斬ると酸で剣が痛むから、エルマーさまに任せたな」


 この世界のスライムはドラクエタイプのつるんとした奴では無くて、ただのどろどろの粘液タイプなのだ。

 移動速度が遅くて、あまり脅威でもないし、斬ると、その体液で剣が錆びるので、基本は無視か、魔法使いに任せる事が多い。


 しかし、剣士が多いパーティだな。


「斥候いなくて大丈夫だったの?」

「ギルドで地図を買ったみょん」

「斥候が必要なダンジョンではなかった」


 東ホルボスダンジョンも似たような物だから、あまり血湧き肉躍る冒険は期待できないか。

 十人がかりなら、あっさり走破出来そうだね。


 黒パンの欠片を口に放り込んで、今日の晩餐は完食。

 はあ、美味しかった。


 ダルシーが現れて、お茶を入れてくれた。

 ありがとう、ダルシー。


「諜報報告です」


 ヒルダさんが声をあげた。

 お、今日はなんかあったかな。


「デボラがタウンハウスに引っ込み、ケリーの方も動きはありませんでした」


 デボラさんは、ランディ爺ちゃんに特訓されてるかな。

 ちゃんと学習して欲しいところだな。


「ポッティンジャー派閥にも動きはありません。国王派の『タワー』が動き出しました。麻薬の線を追っている模様です」

「あら、麻薬はまだ流入が途絶えてないの?」

「はい、一時的に取引が少なくなりましたが、薬の値段が上がり取引量が増えてます」


 麻薬かあ、撲滅はしたいけど聖女派閥の仕事じゃあ無いよね。

 『タワー』がやってくれるなら、任せておくか。


「学園内に流入は?」

「ほそぼそと動いてます、たぶん売人が一人残っている感じですね。潰しますか?」

「学園内に『タワー』は入ってきにくいでしょう、うちで潰しましょう」


 光の聖女候補さまがいる学園に麻薬は必要無いのじゃ。

 明日にでもケビン王子に話を通してつぶすかな。


 しかし、売人かあ。

 販売ルートをたぐって処理しようかな。

 麻薬ダメ、絶対。


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― 新着の感想 ―
[一言] 冒険に必要なグッズと言えば10フィートの棒
[良い点] 日常日常たまに事件、もWEBならではの楽しさがありますね。 [一言] 月曜の終わりに麻薬が出てきたということは週の半ばはソレですね。楽しみです。
[気になる点] 253話にて あーもう、天丼は飽きたので突っ込まん。 まったくもう。 今回 もう、天丼については諦めよう。 うん、そうしよう。 はい。 天丼、調べたらお笑い用語なんだとか。 正直…
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