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第260話 謎の地下道を発見し、ダルシーと探検に行く

 ダルシーがどこからかテーブルを出してきて拭き、椅子を並べた。

 研究者たちが三々五々やってきて黙って座り、本を広げる。

 お養父様とうさまはお誕生日席に座って、本を広げる。

 みんな無言である。


 まったく研究者ってやつは。


 ダルシーがお茶を入れ、皆に配る。


「僕にもくださいよ~」


 ルカっちがソファーに寝転びながら声を上げた。

 ダルシーが歩いて行って、ポンポンとソファーとルカっちを叩き、ずりずりとソファーをルカっちごとテーブルの近くに移動させた。

 そして小テーブルにお茶を置く。


「ありがとう、ダルシーくん」


 ダルシーは黙って小さく頭を下げ、姿を消した。

 ルカっちは、なんという無精者か。


 照明のスイッチ板にはたっぷり光魔力を入れたから夕方までは持つだろう。

 研究員が本を読んでる所を見てもあまり面白い物では無いのでよそに行こうっと。


「マコト行ってしまうのかね?」

「ええ、もう照明は必要無さそうなので」

「わかったありがとう」


 そう言って、お養父様とうさまは、また本読みに戻った。

 まったくもうっ。


 明るくなったら、ミニキッチンの横の壁にドアが一つあるのに気がついた。

 おろ?


 近づくとドアには接触板があった。

 せっかくだから光の魔力を流し込んでみる。


 キイイイイッ。


 ぬお、開いた。


 奥は通路になっているな。

 照明具にライトボールを飛ばして灯りを点ける。

 怪しい通路。


「マコトさま、私が先に」

「あ、ダルシーおねがいね」


 収納袋から、魔法学園の建設ドキュメントの本を出して、ビアンカ邸の見取り図と比較してみる。


 あー、秘蔵書庫の上は図面だとプールがあったのだな……。

 やっぱロボの格納庫か?

 大空魔竜みたいに、飛空艇と合体して空を飛ぶのではあるまいなっ。

 

 通路は本邸のあった方へ延びている、今は本邸のあった所は本校舎だな。

 どこかで飛空艇格納庫の通路と合流するのかね。


 ダルシーは通路に踏み出した。

 私はその後を追う。


 カツカツと足音だけが通路に響く。

 そんなに広い通路じゃ無いな。

 大人三人が並んで歩ける程度だ。

 女子寮からの通路の方が広かった。


 ここも例の保持魔法が掛かっているのか、何十年と誰も入ってないのに、埃一つ無い。

 まっすぐの通路は、しばらく行くとゆるいカーブを描いている。

 特に通路にはドアなどは無い。

 のっぺりと壁だけが続いていた。


 しばらく歩くと行き止まりになっていた。


「行き止まりですね」

「なんだろう、この通路は?」


 工事途中で放棄された通路かな。

 でもそれにしては外装が綺麗すぎる。


 私はピンときて、突き当たりの壁を手で探った。

 思った通り、見えないドアノブがある。

 魔法で欺瞞されているね。

 ドアノブの上の接触板に光の魔法を流し込むと、欺瞞魔法が解け、ドアがキイイと音を立てて開いた。

 微風がこちらに流れ込んでくる。

 奥は真っ暗であった。


『ライト』


 光球を打ち出すと、そこに広がった景色は。


「これは女子寮から続く通路だ」

「そうですね」


 これは連絡用通路みたいだ。

 奥にロボが置いてあったらどうしよう、とか思ったが、そんな物は無かった。


 なんで繋がっているのかは解らないけれども、私にはあまり需要が無いのは確かだな。

 女子寮から図書館へ雨に濡れずに行けるぐらいの価値しかないね。


「図書館に帰ろう」

「はい」


 元来た通路をとぼとぼと戻る。

 なんだかがっかりだなあ。


 いつの間にかダルシーもいなくなっていた。

 しょんぼり。


 秘蔵書庫に戻ると、相変わらす学者どもが本を読みふけっておる。


「館長、やはり、ここは全ての本を網羅した目録をまず制作するべきでは?」

「いや、それは反対だ、どこの所蔵の本であったかを、まずリスト化しなくては、何年にどこにあったという情報は重要だ」

「だがしかしっ」

「両方やれば良いのだ、まずは小リストを作り、本の所蔵場所を確定する。それを組み合わせて大リストを作れば俯瞰的ふかんてきな視点で、この所蔵本群を把握はあくできるだろう」

「そうですね、これは大事になりそうだ」


 学者は楽しそうでいいですね。

 もうっ。


 学者にムカついたので、ソファーに寝転んでいるルカっちの足をポカポカと殴った。


「何をするんだー」

「ムカついたので八つ当たり」

「僕に八つ当たりしないでくれたまえ」


 ルカっちはそう言って足を引いた。

 私はソファーに座り込む。


「あっちの通路には何も無かったのかい」

「大通路に繋がっていただけだよ」

「大通路とは?」

「女子寮の地下から、飛空艇格納庫に繋がる地下道」

「ほう、そんな物が……。では不用心ではないか? ここから女子寮に忍び込める」

「何重にも鍵が掛かってる。私以外開けられないんだよ」

「それは安心だね」


 ルカっちは微笑んで、また本を読み始める。

 今度は別の貴族領の帳簿だな。


「帳簿読んで面白い?」

「面白いよ、ほら、ここ、なんだか全体的に不安のある色の数字の次の年に、筆跡が変わり、安定した色の数字になってる。前任者が横領して処刑されて、ちゃんとした文官が入ったんだろうね。この数字の色の文官は自信があって良い」


 うむ、わからん。

 ルカっちは変人だな。



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― 新着の感想 ―
[一言] ルカにビアンカ様時代の史書や個人の日記とか読ませたらバレバレになっちゃうな
[一言] 直上がプールとかロボ格納庫説がますます有力に あとは近距離用の小型飛空艇置き場置き場とかかなぁ
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