表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

260/1514

第257話 お養父様のお昼代をおごってあげる

 昼食が終わり、お養母様かあさまと派閥のみんなとで学園に戻る。


「楽しかったわ、マコトちゃん、女学生の頃に戻ったみたいだったわよ」

「お養母様かあさまも魔法学園のOGなんですよね、その頃の学園はどうでした?」

「今と、そう変わらないはずよ、女子寮の食堂は美味しくて、毎日楽しいけど、上流貴族さんたちの派閥争いがあって、つまらない事で喧嘩して、また仲直りして、笑ったり泣いたりしてたら、もう卒業だったわ」

「クラーク博士とは、学園でお知り合いに?」


 ヒルダさんが聞いた。


「あの人とは世代がちょっとずれていてね、歴史資料館の職場で知り合ったのよ。もう、本の虫で、いつもむっつりしていてね、本当にしょうがないひとで」


 お養母様かあさまはころころと笑った。

 釣られて私たちも微笑む。


 校門まで戻るとお養父様とうさまが待っていて、私たちを見ると手をふった。

 後ろには学芸員の部下だろうか、若い人が五六人立っている。


「どこに行っていたのだ、ハンナ、心配したぞ」

「あら、あなた、マコトちゃんとひよこ堂でお昼にしていたのよ。自然公園でとっても気分が良かったわ」

「そうか、昼ご飯か……」

「あら、まだでしたの、では部下の皆さんを連れて上級貴族レストランへ行ってらっしゃいな」

「いや、それがな……」

「学校の仕事をなさるのですから、学園長からの紹介状でももらってらっしゃいな」

「あ、そういう手があるか、だが……」


 なんだ、お養父様とうさまはお金が無いのか。


「ダルシー」

「はい、マコトさま」


 お、ダルシーが大金財布をもう出している、解ってるね。


「お養父様とうさま、はい。みんなで行ってらっしゃい」


 私はお養父様とうさまに大金貨を渡した。

 十万ドランクだな。


「派閥のお金ですからご心配なく」

「いや、しかし、娘にお金を貰うとは、なんだかその」

「あと三十年もすれば普通になりますので、先払いという事で」

「うむむ、ありがとうマコト」

「マコトちゃん、稼いでるのねえ、すごいわ」

「入浴剤と、ドライヤーの儲けです。あ、お養母様かあさま放課後にドライヤーをお渡ししますよ」

「ドライヤー? 何をする物なの?」

「髪を乾かす物です、あとで実演しますよ」

「なにか、とても良い物のような気配のする名前ね、ドライヤー」


 うしし、少々稼げてて良かった。

 お養父様とうさまにいい顔見せられたぞ。


「お養母様かあさまは午後の授業中どうしますか?」

「聖女派閥の集会室が見たいわ、いいかしら」

「ダルシー」

「はい、マコトさま」

「お養母様かあさまを集会室にご案内して」

「かしこまりました」


 ダルシーはお養母様かあさまとキンボール家のメイドさんを連れて集会室の方へ去って行った。


「では、私もレストランで昼食を取るよ、放課後は図書館の秘蔵書庫にいると思う。なにかあったら来てくれ」

「はい、お養父様とうさま、図書館にはルカって名物図書委員がいるので相談してみると良いですよ」

「ルカ? サミルトン家のルーカス君かな」

「たぶん、だいたいそんな名前だったような」


 ルカッちとしか覚えてないや。


「サミルトン家は王宮公文書院の筆頭貴族だよ。なるほど図書委員をやっているのか」

「意外と偉かったんですね、子爵なのに」

「文官の家はなかなか出世はしないからね、だが歴史がある家で格は高いんだ」


 あれだ、忠臣蔵の吉良さんちみたいなもんか。

 石高は低いが家の格は高いみたいな。


 魔法学園にいると色んな貴族の事を覚えるな。

 こうやって貴族の暗黙のルールみたいな物を教える為の場所でもあるんだろうね。


「挨拶をせねばなるまいな。では、マコト、行ってくる」

「はい、行ってらっしゃい」


 だからなんで、エルマーは、親が来ると困るだろうってドヤ顔なんだよっ。

 まったくもう。


 みんなで校舎に入って解散である。


 さて。


 月曜日は楽しい楽しい錬金の授業だ。

 はー楽しい。


 カロルとエルマーと一緒に錬金実習室に向かう。


「嬉しそうね、マコト」

「月曜日の午後だけが楽しみだよ」

「そ……、そんなに……、実験が……、嫌いかい?」

「嫌いじゃ無いけど、あきた」

「実験は……、継続……しないと、価値が……ないよ」


 まあ、解るけどねえ、さすがに同じ事ばかりで飽きる。

 ジョンおじさんも、ちょっと考えて欲しいけど、まあ無理だなあ。

 魔術オタクとはそういうものです。


 錬金実習室に着くとサーヴィス先生はもう来ていてニコニコしていた。

 きっと、簡易ドライヤーの売れ行きが良いのだろうな。


「今日は少し変わった教材を持って来た、簡易ドライヤー制作キットだ。これを三回に分けて作ろうと思う」


 おお、もうキットを組んだのか。

 学園で実証実験するつもりだな。

 でもまあ、下級貴族の人に簡易ドライヤーが広まるから良いか。


「なんですのドライヤーって?」


 ガスコインさんが不思議そうにキットを見ている。


「ほら、金的令嬢さまが脱衣室でブーブーやってらっしゃる魔導具ですわ」

「髪がつやつやになると聞きましたわね」


 ドライヤーについて、いろいろデマが飛び交っているな。


「ふふふ……、魔改造……」

「負けないわよっ」


 おいっ、エルマー、カロル、プロが本気だすなよ。

 なんか凄いの作りそうだなあ。


よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 養父母は職場結婚か お養母様は受付嬢だったのだろうか、それとも学芸員だったのだろうか
[一言] >転生聖女は友情エンドを目指す! >第257話 お養父様のお昼代をおごってあげる >「ふふふ……、魔改造……」 意図して火炎放射器に改造する人が絶対出ますね。(汗) 意図せず火炎放射器に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ