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第251話 集会室で光るリボンとハンカチを切り分ける

 お茶を飲み干したのでお金を払って、喫茶店、子猫のゆりかごを出る。

 もう、西の空は赤くなり始めているな。


 夕暮れ迫る川縁をカロルと一緒に歩く。

 日が傾くとちょっと肌寒い。

 ああ、川縁は空が広くてせいせいするね。


 ホルボス山のダンジョンアタックだが、やっぱり来週の日曜日かな。

 ここらへんはカーチス兄ちゃんに聞いてみないとね。

 あと東ホルボス山ダンジョンのガイドブックを図書館で探そう。

 たしか王都周辺のダンジョンガイドがあったはず。

 あまり深い階層の迷宮でなければ良いんだけどね。


 などと考えながら風の強い川縁をぷらぷらと歩く。


 裏道を抜け、ひよこ堂の前に出て、学園をめざす。

 クリフ兄ちゃんがいたので手をふると、手をふりかえしてくれた。


 学園に到着である。


「じゃあ、私は錬金作業があるから、また晩餐でね」

「よく働くなあ、安息日に働くとお坊さんに怒られるよ」

「錬金作業をさぼって品切れになると生徒が怒るわ」


 そりゃまあ、お客様優先か。

 いってらっしゃい。


 私はぶらぶらと歩いて集会棟へ向かう。

 おリボンを切らないとね。

 あと、飛空艇のある場所のめどが付いたと報告せねば。


 集会棟まで来た。

 155号室のドアの前に立つと中で人の声がする、だれかいるようだね。

 ドアを開けると、お洒落部の二人とコリンナちゃんがいた。


「こんにちわ」

「マコトさま、こんばんわ、ご機嫌はいかが」

「まあまあよ」

「クッキーをおだししますわね」

「さっきケーキ食べて来たからいいよ、お茶だけ」

「はい、ただいま」


 ダルシーが現れてケトルを片手に部屋を出ていった。

 まったく便利だなあ。


「魔法塔からの戦利品は?」

「あるよー、コリンナちゃん」


 私はテーブルに近づいて、光る布を収納袋から取り出した。


「わっ、いきなり出た」

「なんですの? 手品ですか」

「サーヴィス先生から収納袋をいただいたんだ」

「うわ、そんな貴重品を良くくれたなあ。サーヴィス先生は気前がいい」

「そんな高いの?」

「めったに作れる奴が居ないからな。簡単な物でも十万ドランクはするよ」


 それはそれは。

 サーヴィス先生ありがとう。


「この布は?」


 メリッサさんが聞いて来たので、魔力を流して発光させてみた。


「わああああっ」

「これは、すごいですわーっ」

「ほえええっ」

「魔法陣を印刷してくれたんだ、これでリボンやらハンカチやらを作るよ、手伝って」

「「わかりましたわっ」」

「うむ」


 みんなで手分けをしてハサミで布を切っていく。

 リボンが四十本、ハンカチが二十枚できたぞ。


「マコトさま、付けてあげますよ」

「おねがいね、メリッサさん」


 メリッサさんにリボンを二つ左右に付けてもらう。

 魔力を込めてスイッチ回路をつけ、鏡を見る。

 おーこれは派手だなあ。


「可愛いです~」

「ステキですわ」

「にあうじゃん」


 みんなに褒められて、なんだかくすぐったい。


 メリッサさんにも、マリリンにも、コリンナちゃんにも付けて上げる。

 みんな似合うなあ。

 可愛い。


「いいですわね、光るリボンに合わせた髪型とか考えませんと」

「いいね、マリリン、いろいろ開発しましょうっ」


 お洒落組は元気だなあ。

 というか、マリリンはカーチス兄ちゃんに武力として派閥にスカウトされた気がするのだが、武術やってる気配がないのだが。

 まあ、本人がやりたくないならしょうがないけどね。

 お洒落でも、十分みんなのお役に立っているし。


 ダルシーが帰って来て、みんなにお茶をいれてくれた。

 おいしい。


「みんな、ドライヤーは貰った?」

「貰った貰った、みんなに配ったよ。すごく喜んでた」

「髪がすっごく早く乾きますわ」

「脱衣所で注目の的ですわよ。みんなどこで売ってるのか聞きたがりますわ」


 そうかそうか、明日でも鍛冶部に行ってドライヤーの売れ行きをきかないとね。


「あ、あと、飛空艇がありそうな場所が判明したよ」

「「なんですってっ」」

「本当かっ」

「ホルボス山の東のダンジョンに埋まってるっぽい」

「まあ、ダンジョンですの?」

「怖いわ」

「あなたたちも来年はダンジョン行かねばならないのだけど」

「い、今ではないですわ」

「魔法をちゃんとおぼえませんと」

「まあ、剣術組を連れていくから大丈夫だよ」

「よかったですわ~」

「ほっといたしました」


 いや、マリリン、それで良いのか?


「そっか、がんばれよ、マコト」


 私はコリンナちゃんの肩をがっしりとつかんだ。


「ま、まさか、おまえ、私を連れて行こうだなんて考えて無いよな、何の役にもたたないぞ」

「たぶん、どこかで魔法的偽装をされていると思う」

「あっ!!」

「守るからっ」

「まじかーいっ!」


 コリンナちゃんの何でも見破るメガネが必要なんじゃいっ。


「がんばってくださいませ、コリンナさま」

「ガッツですわー」

「うえー、やだなあ」


 ドターンとドアが開いて剣術部が入ってきた。


「話は聞かせてもらったぞ、マコト」


 と、カーチス兄ちゃんが宣言した。

 いつもながら、どこで聞いているのか、こいつは。


「東ホルボス山ダンジョンだな、今度行こうと思っていた初心者ダンジョンだ、剣術部に任せておけっ」

「私も行きたいみょん、行きたいみょん」

「私はお前が来るなと行っても勝手についていく」


 おい、カトレアさん。


 メリッサさんと、マリリンが、コイシちゃんとカトレアさんにリボンを付け始めた。

 エルザさんは超然と黙っている。


「おー、綺麗だみょん」

「な、なかなかいいな、これ」

「素敵ですわね」


 エルザさんも髪にリボンを付けてもらって満面の笑みを浮かべた。


「へー、それが光るリボンか、凄いな、男用は?」

「はい、これ、ハンカチにしておいたからポケットから半分だして」


 カーチス兄ちゃんがポケットからハンカチを半分出して光らせた。

 お、なかなか。


「おー、綺麗だな」

「良くお似合いですよカーチスさま」

「カーチスしゃま格好いい」

「とても素敵だ」


 剣術組もリボンで盛り上がっているなあ。




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[一言] 魔法剣士に魔法拳士に魔法錬金術師に魔法文官に魔法聖女 皆魔法使いだぜ
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