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第249話 勇者の時代の中世から現代までの絵を見る

 第二展示室の後半に、勇者イヴォンとホウズの絵があった。


「勇者の時代初期の最後に現れたのが、勇者イヴォンとホウズです。彼は二人の魔王を倒した英雄です。沢山の伝説伝承が作られました」


 イヴォン先輩は魔王を二人も倒したのか。

 偉いなあ。


 ちなみに、魔王も百年に一度生まれてくる存在で、闇の勇者とか闇の聖女みたいな存在だと言われてるね。

 勇者とぶつかるのは必然なのだ。


 現在の魔王さんも、魔国で生まれていると言われていて、大きくなったら攻めてくるかもしれないなあ。

 私が存命の内には来てくれるなよ。


 勇者イヴォンは聖剣ホウズを振り上げて魔王と戦っていた。

 光の刃が出てるから、絵描きさんはホウズの実物を見たことがあるな。


 イヴォン先輩は人気のある勇者なので、絵が何枚もあるね。

 かならずホウズが絵に描かれている。


 きっとこの頃も奴はうるさかったのだろうなあ。


 第三展示室へ移動する。

 この部屋の名前は「中期、勇者の豊穣」とある。


「中世前期になると、光属性の百年の間隔が知られるようになり、勇者を探すために女神教会によって属性判定式が始まりました。これにより確実に光属性の勇者さまや聖女さまを探し出せるにようになりました」


 だんだん絵の技法も進歩してきたね。

 絵の具の発色も良くなった。


 壁には生き生きとした勇者さまたちの激闘と聖女さまの数々の奇跡の絵が飾られている。


 聖剣エッケザックスを持った勇者ステファンが竜と戦ってる絵があるね。

 あの剣は別名竜殺しといって、竜特効があるっぽい。

 絵では、刃先を広げて竜にビーム撃ってますよ。

 ステファンさんは結構ゴツい。

 ロイド王子の護衛のリックさんタイプだな。


 絵の中の聖女さまたちは、水源を探したり、病人を治療したりしてるね。

 やはり中世だと、男女の役割がかっちり別れている感じ。

 聖女の時代でも、魔王も、邪竜も出ただろうに、どうしてたのかな。


 エッケザックスの絵の隣に、知らない聖剣を持った鎧を着た聖女さまがいた。

 なるほど、やっぱり事があると聖女さまも剣を取って戦うのね。


 聖剣は教会に託されて、次の世代の勇者や聖女が使う慣習が出来たのもこの頃らしい。


 結構色んな勇者さま、聖女さまがいるね。

 ここの所、三代、アップルトンに聖女が続いているけど、中世ではあちこちの国に現れたらしい。

 国に利用されて、他国の侵略をしてしまった勇者や、政権に疎まれて殺された勇者もいるみたいだね。

 まあ、光魔法を持ってるだけの人間だからねえ。

 増長もするだろうし、間違いもするよ。

 悩みも多かっただろうね。

 普通の人間から、チート持ちで最強勇者だもんね。


 私なんか、中級治癒と障壁だけで鼻高々で、増長してないかいつも心配してる。

 贅沢な悩みかもしれないけど、やっぱ怖いよね。


 シャルロットさんは、絵の前に立って、その勇者の逸話や、絵の場面の説明をしてくれる。

 とても要点がまとまっていて説明が上手いね。

 カロルも真剣に絵を見ていて、真面目可愛い。

 さすがは私の嫁だ。


 勇者ラーシュの絵は展示室の最後の方にまとめて沢山あった。

 美男子だから人気なんだよね、勇者ラーシュは。

 いろいろと浮名も流しているし。

 勇者チャラ男であるな。


 うん、絵で見ると確かにイケメンだなあ。

 細身の聖剣リジンが良く似合う。

 彼は読み本の主人公としてとても人気で、ラーシュの冒険譚というシリーズは、どこの本屋でも置いてある。

 勇者の中でもイヴォンと共に双璧をなす人気者だね。

 彼は仲間三人と四人で魔王城に乗り込み、魔王を倒した。

 異伝では、女性だった魔王と恋に落ち、連れて帰って夫婦になったという伝説もある。

 私はそっちの方がロマンがあっていいな。


 第四展示室は「勇者の今」であった。


 マリアさまとかの近代の勇者さま聖女さまの絵だね。

 近代になると、そんなに人は多く無いね。


 眺めていたら、ビアンカさまの絵が一枚あった。

 背景が屋外で、立ち上がったビアンカさまが、台状の山を指さしている。


『あれが、ホルボス山よ。がんばりなさい』


「「「!」」」


 自画像に光文字仕込むんじゃあありませんよ、ビアンカさまっ!


 光文字はふわっと光って消えた。


「え、えっ、あの、なんですかあれ?」

「あー、えー、そのー、過去から未来視して悪戯するのが好きな聖女さまなんです」

「本物? 本物のビアンカ様の筆跡ですかっ!?」

「あー、たぶんインク跡とかは無いと思いますよ。あの人そういうところ異常にこだわりますから」


 シャルロットさんが動揺なさっておる。

 そりゃそうだよなあ。


「あれがホルボス山なのね、来て良かったじゃない、マコト」

「そうね、確約が出来た感じ」


 まったく、ビアンカ様は~~。


 なんかもの凄く説明を聞きたそうなシャルロットさんを無視して絵を見て回る。

 あなたは説明する方で、説明される方ではないのだ。


 マリアさまは二十年前に死んだ現代の聖女さまなので、絵が沢山あるな。

 綺麗で魅力的な人だ。

 わりと快活な姿の絵が多いな。

 うわ、マリアさまが魔王にビーム撃っておるぞ。


 展示室の最後に、現代の聖女と書いてあって、私の絵が飾られていた。


「!!」

「ふふふ、クラーク博士に無理を言ってお借りしたのよ」

「て、照れくさいですーっ!」


 これは宵越しの祭りの時の絵だなあ。

 モデルになった覚えが無いので、誰か絵師さんがスケッチして、それを絵にしたのだろう。

 お養父様とうさま所蔵なのか、知らなかった。


 絵の中の私は聖女服を着てにこやかに民衆に微笑んでいる。


 げー、私はこんなに綺麗じゃないぞー。


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― 新着の感想 ―
[良い点] マコトさんよ、こんなに綺麗じゃないというなら、自身のその画力で描くのですw 絶対照れ臭くて嫌がるでしょうけど。イケメンならともかくどうして自分の顔を描かねばならんのじゃとか言いそう。
[一言] ホルボス山で正解かあ 過去から未来へ助言してくる聖女様として研究家や宗教家達の話題になりそうだな
[良い点] なるほど、聖女は女の子バージョンの勇者、そして勇者も色々な性格が有りますね。 魔王が百年一度生まれるというのに、どうやったら二人を倒したのか不思議です? 勇者と魔王が必ずぶつかる、というの…
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