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第241話 男爵家に行って、お養父様へ今週の報告をするのだぜ

 教皇さまに頭を下げてお部屋から出た。


 特に収穫は無かったなあ。

 別邸がどこら辺にあったかだけでも解れば良いのだけどな。


 リンダさんと一緒に孤児院方向へ歩く。

 院に近づくと、お庭で孤児たちがキャーキャー言いながら遊んでいるのが見えた。

 やあ、やっぱり子供は元気で良いね。


「あ、マコねえちゃんっ! 教皇様へのご挨拶、終わった?」

「終わった終わった」

「大丈夫、叱られなかった?」

「大丈夫だよう、叱られてないよ」

「そう、よかった~」


 というか、教皇さまは私に甘いから叱られた事は無いな。


 と言うことで、孤児院の庭で子供たちと遊ぶのである。

 泥巡したり、あやとりしたり、けん玉したり。

 楽しいなあ。

 やっぱ、成人後は孤児院を作って、そこの院長になってスローライフを送ろう、そうしよう。

 教会の外交とか知った事か。

 飛空艇があればどこに居ても仕事は出来るぞ。

 そうだそうだ。

 だから飛空艇が欲しい。

 くっそー、ビアンカさまめ~。

 どこに隠したんだっ。


 夕方になって、みんな遊び疲れたタイミングで私はお帰りである。


「えー、もう帰っちゃうの~」

「たまには泊まっていってよ~」

「「「「ね~ね~」」」


 可愛くねえねえと言っても、これからお養父様とうさまとお養母様かあさまに会わねばならないのだ、すまん、子供たち。


「ごめんね、また来週くるから」

「うーん、わかった~」

「マコトちゃんがいないとつまらないから、またきてね」

「マコおねえちゃ~ん」


 ああ、また一番小さなエリーが泣き出した。

 泣かないの。


「また来るからね、我慢してね」

「う、うん、が、がまんしゅる」

「良い子ね」


 ああ、みんな可愛いなあ。

 みんなが大きくなって、孤児院を卒業させて、立派な大人になってほしいなあ。

 本当はみんなと、ずっと一緒に居たいのだよ。


 さて、夕焼けで真っ赤な大階段を降りていく。

 なぜかリンダさんも一緒だ。


「また付いてくるの?」

「い、良いじゃ無いですか、男爵家までの護衛です」

「ダルシーいるし」

「ダルシーだけでは心配です」


 本当もう、リンダさんは過保護だなあ。


 私たちは夕焼けで真っ赤な王都大通りを歩き出した。

 燃えるような王都はとても美しいね。


 夕暮れは赤く、早くも夜の匂いがしだしている。

 街のあちこちから夕餉の匂いがしてくるね。

 なんだかもの悲しい感じもする。


 黙って二人で歩いて、男爵家に着いた。


「さあ、帰れっ!」

「そんなに邪険にしなくても良いでは無いですか」

「お養父様とうさまかお養母様かあさまが出てくると、リンダ師もお食事はいかがですかと勧めてくるから、その前に帰れっ」

「酷い、よよよ」

「嘘泣き」

「むう、前はこの手が有効だったのですが」


 リンダさんとも付き合いは長いからねえ。

 などと玄関先でぐだぐだしていたらお養母様かあさまが出てきた。


「あら、マコト、お帰りなさい、リンダ師も何時もありがとうございますね」

「いえいえ、私の仕事ですから」

「どうですか、一緒に晩ご飯でも、なにも良い物はありませんが」


 ぶーっ。

 お養母様かあさま、あなたの愛娘のふくれっつらを見て下さい。


「よろしいのですか、それでは遠慮無く」


 くそう。

 振り返ったリンダさんのドヤ顔が憎い。

 彼女は遠慮無しに我が家にどかどかと入っていった。


「マコト、お帰り、さあ、皆でお茶でも飲もう。ダルシーくんも呼びたまえ」

「はい、お養父様とうさま。ダルシー」

「はい、マコト様」


 ダルシーがどこからともなく現れた。


「さあ、今週はどんな事をしてきたのだい?」


 早速リビングルームでお養父様とうさまの尋問ですよ。


「今週は、たいした事はありませんでしたよ。魔導ドライヤーを開発したり、入浴剤を開発したりしたぐらいですよ」


 私だって、そうそう大暴れしている訳じゃあないのさ。

 たまには静かな一週間を過ごす事もありますよ。


「そうかいそうかい、それはいい、王都の噂では聖女候補がメイドに乗って飛空艇に飛び乗ったとか噂になっていたがそれはデマだったのだね」

「え、ええと、やりました」


 やべえ、忘れていた。


「ええと、ダルシーくんに乗って着陸前の飛空艇に飛び乗ったのかね、なぜそんな事を」

「ガドラガ大迷宮で瀕死の重傷を負った生徒が飛空艇に乗っていると聞きまして、いてもたってもいられず」

「まあ、大変、社交界でガドラガ大迷宮での遭難は噂になっていたわ。マコトちゃんが治してあげたの?」

「は、はい、瀕死の重傷でしたので、光魔法で治しました」

「そうか、それは良いことをしたね、偉いぞマコト」

「はい、ありがとうございます」


 うふふ、褒められちゃったぞ。


「週の半ばは入浴剤を作ってました、はい、これ、今晩使いましょう」

「あら、王族の方がやけにつやつやしてましたけど、もしかしてこれなのかしら」

「はい、凄く効果がありますので、ちょっと実家にも置いておきますね」


 私はお養母様かあさまに七本の小瓶を渡した。

 ダルシーが書類にチェックを入れている。


「まあ、楽しみね。最近の学園は色々な物を作るのね」

「は、はい、そうです」


 普通は作らないけどね。


「うむ、まあ、先週に比べれば落ち着いた学園生活だね」

「はい、これまでよりはずっと平穏でしたよ」


 というか、入学からこっち、イベントが起こりすぎじゃい。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、最近の更新もお疲れ様です! マコトさん、相変わらずリンダさんを少しに邪険にしますね。リンダさんもちょっと厚かましいですけどw
[一言] お義父様への報告部分はおさらいになっていいですね。でもまだひと月も経っていないことを再確認しびっくりです。テンポがいいので「そんなにたくさん読んできたっけ?」という思いです
[一言] 面白いです。 良い物語をありがとうございます。
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