第236話 朝ご飯を食べながら予定を確認する
メイドさんたちが起きる音で今日も目を覚ました。
むにゅ~。
昨日は隧道探検から帰ってすぐ寝てしまったのだな。
カーテンを開ける。
おお、今日も良い天気っぽい。
「おはよ、カリーナさん、マルゴットさん」
「はい、おはようマコト、今日は良い天気だよ」
「おあよ、ふわああっ」
マルゴットさんは今日も大あくびだな。
メイドさん二人を見送った後、ハシゴを下りて身支度をする。
「おはようございます」
ダルシーが現れて、お茶を用意してくれる。
いつもすまないねえ。
コリンナちゃんと向かい合ってお茶を飲む。
うん、美味しい。
「毎日おいしいお茶をありがとう、ダルシー」
「いえいえ」
ダルシーは照れながら消えた。
器用だな。
「飛空艇を見つけるリミットは?」
「一週間だね。本当はダンスパーティ直前まで大丈夫だけど、ドレスが縫い上がったら山越えルートで運送を出発させないといけないから、縫い上がる前まで。商隊が出発したら上空からは探しにくいからね」
「ありそうな場所は?」
「王都の中には無さそう。隠居場所に持っていたんじゃないかなってカロルが推理してたよ」
「隠居場所かあ」
「そんなに王都から離れては居ないはず、ビアンカさまは探せない所ならヒントくれるだろうし」
「まったく、たちが悪い聖女さまだなあ」
「まったくだ」
ビアンカさまへ愚痴を言ってもしょうが無いので、鞄に今日の教科書をつめて、205号室から外にでる。
階段をカカカカカと刻むように降りて、エレベーターホールへと行く。
もうみんな来ていたので、おはようおはようとご挨拶。
チンとエレベーターが開いてカロルが出てくる。
「おはよう、マコト」
「おはようカロル」
晩餐ぶりだね。
「アンヌに聞いたんだけど、地下に隧道があるのよね?」
「昨日見つけたよ。飛空艇格納庫まで繋がってた」
「凄いわね、あとは飛空艇だけね」
「そう、飛空艇だけ」
もう、回りの便利グッズはいらんぞ。
そりゃ女子寮から行ける飛空艇格納庫はロマンだけどねえ。
航空服も良いが、私は飛空艇本体が欲しい。
みんなが揃ったので食堂へ入る。
カウンターに並んで、メリサさんにナッツ入り甘々ポリッジを頼む。
ケトルからお茶をコップについでトレイに乗せて席に付く。
みんなが席についたので、いただきますだ。
「いただきます」
「「「「「「「女神に日々の糧を感謝します」」」」」」」
んもう、私を拝むんじゃありませんよ。
ぱくぱく。
あー、甘々ポリッジ美味しい。
口の中でナッツがコリコリ砕ける感触が良いよね。
うまうま。
「今晩は、男爵家に泊まるの?」
「うん、大神殿に行ってから、男爵家に行くよ。明日の朝早くに帰ってくるから、それから魔法塔に行こうね」
「解ったわ、錬金印刷されたリボン生地は楽しみね。大きいままなのかな?」
「切るように頼んでないからロールのままじゃないかな、集会室でみんなで切ろうよ」
コリンナちゃんがカロルの方を見た。
「カロル、今日の午後にドライヤーの第一陣が来るから、集会室でみんなにまず配ろう」
「そうね、それでいい? マコト」
「お願いね。私は試作型をダルシーに持たせてるからいらないよ」
「新型にすれば良いのに」
「そんなに回路は進化してないでしょ」
「そうね、最初だから基本的な回路の物だけだわ」
だったら、外がわが違うだけだから取り替えなくてもいいよね。
明日には錬金印刷機の軽便型も来るし、来週はドライヤーウイークかな。
「余ったら、エステル先輩と、王子さんたちに売りつけておいて」
「了解したわ、幾らぐらいで売るの?」
「値付けは、わかんないから、カロルとコリンナちゃんに任せるよ」
「わかったわ、まかせておいてっ」
なんだかカロルが張り切っておるが、まあ、任せておこう。
私がやるとどうしても安売りしちゃいがちだしね。
さて、ご飯を食べ終わったので、食器回収口にトレイを置いた。
登校するかな。
みんなも食器を下げたので登校しよう。
「今日の午後にドライヤーが来ますのね」
「楽しみですわ」
「ドライヤーで髪を整える事もできるのよ、いろいろ開発してみたら」
と、一言言ったら、メリッサさんと、マリリンさんが食い付いた。
「「そうですのっ!」」
「う、うん、ブラシで髪を押さえながらドライヤーを掛けるとウェーブが掛かるよ」
「「まあっ!」」
メリッサさんとマリリンは手を取り合った。
「それは興味深いですわ」
「いろいろ開発いたしましょう、楽しみですわ」
「がんばってね」
おしゃれコンビならドライヤーの面白い使い方を編み出してくれるでしょう。
この世界、乙女ゲームの世界だから化粧品は整ってるのよね。
なんでドライヤーが無かったんだろう。
やっぱり現代世界の電化製品っぽいからだろうか。
でも冷蔵庫は錬金技術で互換品があるしな。
変にリアルで、作り込まれたというよりも、ぽこぽこっとオーパーツがある感じの世界だよなあ。
意外に農産品は豊かだしなあ。
どうなっておるのか。
そんな事を考えながら、派閥のみんなと女子寮を出て、校舎へ向かって歩いたよ。




