第223話 お風呂の後に蒼穹の覇者号のマニュアルを読む
カポーンとコリンナちゃんと地下大浴場で入浴である。
雨で冷えた体にお湯が染みこむねえ。
「ふわああああ」
「ふわああああ」
声を揃えてしまうね。
お風呂最高。
どやどやと聖女派閥のみんなが浴室に入ってきた。
「あ、やっぱりマコトさまがいた」
「だいたいこの時間だと思ってましたわ」
メリッサさんとマリリンが声をかけてきた。
「夕方は空いてるからね」
でも、今日はいつもよりお風呂にいる人が多い。
そんな毎日は聖女の湯はやらんよ。
「飛空艇は見つかったかみょん?」
「マニュアルと格納庫は見つけたよ、本体はまだ」
「おお~~、順調に見つかってくるみょんなあ」
いや、コイシちゃん、その二つとも本体が見つからないと、なんの意味もないからね。
「しかし、関税とは姑息な手段を取る、やはり首をはねておくべきではないか」
「経済封鎖は別に卑怯な手ではないから、暴力での解決は駄目だよ」
「まったく、マコトはお人好しすぎる」
そう言うない、カトレアさん。
暖まったので、洗い場に出る。
ダルシーが嬉しそうにタオルに石けんをまぶして泡を作る。
私の全身をくまなくダルシーが洗ってくれる。
いつまでも慣れないなあ。
ちょっと恥ずかしい。
シャンプーをつけて、ダルシーが私の髪を洗い始める。
彼女の洗髪は気持ちが良くて好き。
ふわわあああっ。
気持ちがふわふわするね。
シャンプーとリンスをして貰って、バスタオルを髪に巻き付けてもらう。
いつもありがとうね。
コリンナちゃんはダルシーに洗われる前にちゃっちゃと髪を洗い上げていた。
すばやい。
湯船に入って、またあったまる。
裸のお付き合いは良いよねえ。
カロルも来れば良いのにねえ。
すっかり暖まってお風呂を出る。
「んじゃ、また晩餐で」
「「「「おつかれさまー」」」」
みんな声をあわせて送り出してくれるぜ。
更衣室に出ると、ダルシーがドライヤーを持って、ブオオオオオンと乾かしてくれるぞ。
着替えも用意してくれていて、ダルシーが着せてくれる。
いたれりつくせり。
ふわー、さっぱりさっぱり。
雨に濡れて、結構、体が冷えていたなあ。
今はぽかぽかである。
「さて、どうする?」
「部屋にもどってマニュアルを読む」
「そうか、本体が出たら、すぐ動かせるな」
「そうだよ、マニュアル大事」
本体が出ればの話で、壊れてなければ、だがね。
コリンナちゃんと一緒にぱたぱたと階段を上がる。
外は雨だねえ。
結構強めに降っている。
ざわざわ雨音がするね。
205号室へ戻って、ベットに潜り込んで蒼穹の覇者号のマニュアルを読み始める。
ほうほう。
定員十五人乗り、十人が泊まれて長期航行可能か。
ミニキッチンとラウンジ完備。
シャワールーム付きだわ。
六室個室構造で結構荷物も積めるし、長旅もできるのか。
気密魔法で一万クレイドルまで上昇可能。
前世のエベレストも飛び越えられるか。
ジェット旅客機並の高度に行けるな。
時速千キロクレイドルだって、凄いな。
黄金の暁号はどれくらいの速度がでるのかね。
すごいなあ、すごいなあ。
すごすぎて、見つかったら王国に接収されないかね、これ。
個人で持つものじゃないぞ。
え、飛行単価0ってなんだ?
魔石つかわないのか。
魔力は光魔法で、タンク回路に保存して一日の航行が可能?
お得やんっ!
あ、その分、聖女の魔力を使うという事か。
これなら、王国に取られなくて良いかも。
操縦マニュアルを見る。
おお、起動キーは子狐丸なのか。
子狐丸を通して魔力タンク回路に光魔力を溜めるのか。
操縦は小型舵輪。
上昇はそれを引き、下降は押すらしい。
「すっげー」
「なんだよ、マコト」
ベットから顔を出すと、コリンナちゃんは机の前で勉強をしておった。
相変わらず勤勉だなあ。
「ビアンカ様の飛空艇は光魔法で動いて、魔石がいらないらしい」
「おお」
「ランニングコストは只だってさ」
「それはすごい、あ、だから潰されて他の飛空艇に使われなかったのか」
「そうかもしれない、光魔力エンジンとか聞いた事ないしね」
「それはいい、見つかっても王国に取られる心配はないな」
「ないない、私以外動かせないから」
これは朗報だぞ、本体が見つかれば、だが。
しかし、なぜにこれをマリアさまに渡さなかったのか。
実は仲が悪いのか、先輩聖女さま二人は。
「晩餐にいこうぜ」
「そうだねー」
よし、晩餐の席でマニュアルをカロルに見せよう。
そうしよう。
私たちは部屋を出て施錠した。
また、パタパタと階段を降りていく。
外はもう真っ暗だな。
雨粒が窓ガラスを叩いている。
ちょっと肌寒いね。
エレベーターホールには、いつもの面々があつまっていた。
エレベーターが開いて、カロルとジュリエットさんとゆりゆり先輩が出てきた。
「おまたせ、マコト、それなに?」
「ビアンカ様の飛空艇のマニュアル」
「わっ、凄いっ! そんなのあったの?」
「図書館の秘蔵書庫にあったよ」
「さすがね、秘蔵書庫」
まあ、あそこはルカっちが居ないと捜し物もできないぐらいの混沌ぐあいだけどね。
なるほど、ゲームで彼が秘本を見つけてくれるわけだよ。
武道や魔法の蔵書もごろごろしてそうだったな。
こんど、お礼に書庫の整理を手伝ってあげようかな。
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