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第222話 コリンナメガネで隠し通路発見!

「ビアンカさま、役にたたねえ。時間の無駄だった」

「ちょとまてマコト」

「ん?」


 コリンナちゃんが応接セットの方を指さした。


「ああ、せっかくだからお茶を飲んでいこうか」


 もうダルシーは消えており、テーブルの上にお茶がのってる。

 しかし、こんな閉鎖された部屋のどこに隠れておるのだ?


「ちがう」


 ちがうのか?


「あの隅の壁に偽装が掛かってる」

「ほえ?」


 コリンナちゃんがメガネを外して貸してくれた。

 うわ、きっついなメガネの度。

 ぼんやりして見えにくい、が、たしかに隅の壁が赤くなってる。

 で、うっすらと取っ手が見える。

 隠しドアらしい。


「その場で効果を確かめられるとは、ビアンカさまもサービス満点」

「お茶を飲んだら確かめよう」

「そうだね」


 お茶が冷めるとダルシーに悪いし。


 応接セットに座ってお茶を飲む。

 うん、美味しい。

 なにげに応接セットも高級な手触りだね。

 良い皮使ってんな。


 お茶を飲み終わると、ダルシーが現れてカップを洗って茶箪笥にしまう。

 なんだな、ここ、秘密の会議するのにもいいね。


 ソファの後ろに回って、手探りで取っ手を探る。

 あ、確かにある。

 壁にしか見えないところに取っ手があるのは不思議な感じ。


 ガチャリと回すとドアが開いた。

 奥から微かに風が吹いてくる。

 外に繋がってるのか?


「飛空艇の隠し場所かな」

「ありうる。いこう」


 コリンナちゃんと一緒に狭い螺旋階段を降りていく。

 しばらく降りていった所にあった!


 Aみたいな字がかいた発着場が。

 かなり広い発着場だけが。


「飛空艇が無い」

「くっそーっ!」


 私はがっくりと膝をついた。


 マニュアルと格納庫が手に入ったぞ!

 そして、本体はまだ無い。


 発着場から通路が斜めに伸びている。

 保持の魔法が掛かっているのか、通路は綺麗だな。

 漁船サイズの飛空艇なら二隻ほど入りそうだね。

 メンテナンス工具もある。


 コリンナちゃんと通路をぶらぶらと歩き出口の方へいく。

 天井がかなり高いな。

 やっぱり狭いとぶつかったりするからだろうね。

 駐車場は広い方が楽という前世の要らない知識が湧いてくる。


 斜めに上がって行く通路は四十メートルぐらいで外に出ていた。

 学園の裏にある渓谷の崖に出入り口があるね。

 出口の下には広めの水平な広場があって、ここにもAみたいな字が書いてある。

 よく、こんな目立つ地形が見つからなかったなあ。

 外から見ると欺瞞魔法が掛かってるのかな?


「格納庫ゲット~」

「学園から発進できる~」

「だが、飛空艇はまだない~」

「まだない~」


 無念であるよ。


 やれやれと肩を落として螺旋階段を上ってビアンカ部屋へ。

 今日は螺旋階段を上る日だなあ。


「帰るか?」

「そうしよう、ビアンカさま、メガネをありがとうございます」


 コリンナちゃんが水晶球に頭を下げた。

 そこにビアンカ様は居ないとは思うが、気持ちはわかる。


 狭い階段を上がって、廃教会へ。

 防水シートの下でリンダさんが座っておった。


「あ、こんにちは」

「こんにちは、リンダ師」

「ご機嫌はいかがですか、聖女さま、コリンナさま」

「ビアンカさまにからかわれてお冠です」

「ほお」


 手っ取り早くリンダさんに飛空艇捜索の話をした。


「聖女さまのドレスに関税をかけようとは、不埒な奴め。聖戦ジハードを掛けてヒルムガルドを更地にしましょう」


 まったく、ワンパターンなリンダさんめ。


「私利私欲のために聖戦ジハードを使ったりしたら教会の名誉が地に落ちます」

「そんな事を言う奴らは吊してやればいいんですよ」


 やだやだ、聖女による恐怖政治なんて洒落にならんぞ。


「教会の図書館に資料が無いか探してみますね」

「大神殿の宝物庫の所にはそれらしい物は無いの?」

「ありませんねえ、マリアさまの魔王討伐の時にも、小型飛空艇があれば楽だからと、大神殿を結構探したらしいのですが、結局見つかりませんでした」

「マリアさまはどうやって魔国へ行ったの」

「主に徒歩ですね。キャンピング馬車も付いて行ったようですが、文献では、基本的に徒歩と書いてあります」


 マリアさまも大変だったな。

 それこそ、小型飛空艇が必要なタイミングだったのに。

 なんで世界の危機に出さないで、ドレスの危機に飛空艇を出してくるかな、あの人は。


「ところで、素晴らしい入浴剤を作られたそうですね。下さい」

「ううむ」


 しょうが無いなあ、大神殿には何時も世話になってるしな。


「ダルシー」

「はい、マコト様」


 ダルシーの腰に下がってるポシェットから入浴剤の大瓶を二本だして、リンダさんに渡した。


「大神殿の大浴場でも一本で間に合うと思うよ。男湯と女湯の二本」

「ありがとうございます。さっそく今晩試しましょう」

「週に一回、二本ずつぐらいは卸せるから」

「お金の方は?」

「公共のお風呂に近いから、千ドランクで」

「それはお安い」


 リンダさんから千ドランクを貰い、入浴剤用のお財布に入れた。

 書類にも大神殿行き、二本と記入した。


「それでは、マリアさま時代の飛空艇捜索の報告書を明日お持ちしますね」

「ありがとう、助かるよ、リンダさん」

「いえいえ、聖女様あっての大神殿ですので、ではまた」


 リンダさんは降りしきる雨のなか、マントをかぶって去っていった。


「リンダ師は、入浴剤を取りにきたんだな」

「まあ、そうだろうねえ」


 ダルシーあたりから漏れたかな。

 まあ、いいけどね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 多分上から行こうとすると潰される世界だったんだろうな、魔王戦……
[良い点] 作者さん、最近の更新はお疲れ様です! ビアンカ様は本当に何でもお見通しで凄いですね! なんか実はドレス関税15倍でも教会が普通に支払えるぽいw
[一言] 奉仕活動に出るシスターがピカピカになったり子供の頃から聖女の湯を使い続ける孤児院の子供達はお年頃になる頃にはみんなキラッキラだったり説法する教皇が光り輝いて見えたり屍山血河の中でリンダさんが…
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