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第221話 隠し部屋に行ったが、ビアンカさまはやくにたたない

 本を持って階段を上がって行く。

 ルカっちはカウンターの奥に引っ込んだ。

 借りていく本の手続きをして、図書館を後にした。

 外は寒いなあ。


「次はどこだい?」

「廃神殿でも行ってみるか」

「おお、ビアンカさまの隠し部屋か、行ってみたい」

「よし、一緒に行こう」


 雨は霧雨になっていた。

 この世界はあまり傘が無いのだ。

 酷い雨だとレインコートを着るがそれもあまり皆持っていない。

 だから雨だとみんなびしょ濡れになって動くのだ。


 ……。

 それは前世のヨーロッパの風習だろう?

 で、ゲームだと解りやすいように日本の気候だ。

 悪いハイブリッドになってるな。


 傘は売ってなくはないけどなあ。

 上に障壁を張るか。


 無詠唱でドーム型障壁をはる。

 雨を弾くだけだから薄くていいな。

 障壁は追随型にする、私が移動すると同じように動く。

 どこかに設置して、障害物にもできる。


「おおおお?」

「障壁で雨よけするよ」

「これは便利」


 コリンナちゃんと寄り添って森の道を行く。

 というか、上からの雨は障壁で防げるけど、足下の草からとかのしぶきは掛かるので、足下がびしょびしょであるよ。


 廃教会はあいかわらず防水シートをかけて工事中だけど、壁の素組とかができはじめていて、だんだんと建物ができあがってきているね。


 さすがに雨なので作業員さんも教会関係者も誰もいない。

 女神様の像だけがぽつんと雨の中立ちすくんでいる。


 女神像の前でお祈りをする。


――どうか、ビアンカ様の飛空艇が簡単に見つかりますようにー。というか、女神さまもなんとか説教してくださいよ。ビアンカさまは酷すぎます。


 しりません、という感じに女神さまはつんとしておられる。

 まったく、頼りにならないお方であるよ。


 銘板に光魔力を流し込む。

 台座の脇の床がガコンと開いた。


「おー、すごい、隠れ家感満載」

「本来、敵が攻めて来たときはこういう所に隠れるらしい。どこの教会にも一カ所はあるそうだよ」

「マジかー、教会は意外に戦争とか暴動に巻き込まれやすいもんな、そういう事か」


 そうそう、教会施設は意外に市井のあちこちにあるし、村なんかでも大きい施設だから、トラブルに巻き込まれる事が多いんだよね。

 そういう時の用心用らしい。

 まあ、これはビアンカさま専用みたいだけどね。


 しかし、マリアさまとかは入った事ないのかね。

 ビアンカさまはマリアさまを未来視して魔王討伐を手伝ったりしなかったのかな?

 最近の私は、マリアさまよりもビアンカさまの方が近しいな。

 過去からいろいろかまってくるしなあ。


 コリンナちゃんと狭い階段を降りて通路に出る。

 『ライト』の魔法を照明に打ち込んで光を灯す。


「おお、明るい、ほこりとかも落ちてないね」

「なんでかしらないけど、最初来た時から綺麗だったね」


 保持の魔法とか掛かってるのかな。


 綺麗な通路を歩いて、ドアの前まで行き、紋章板に手を置いて光魔力を流す。

 ドアが開いた。

 リンダさんを連れて来た時と変わらないね。

 奥のテーブルにぽつんと水晶球がおかれているだけだ。


「応接セットとかミニキッチンとかあるな。お、水出る」


 コリンナちゃんがミニキッチンの蛇口をひねると、ジャーッと水が出てきた。


「お茶を入れましょう」


 ダルシーが現れて、コップで一口水を飲み、顔をしかめてしばらく出しっぱなしにした。

 水魔石由来の水でも、長期間おいておくと味が変質するのかね。

 しばらく出しっぱなしにしてたら、合格点の水になったのか、ダルシーはケトルに水をくみ、魔導コンロにかけた。


 さて、私は水晶球に手を置く。

 いつも通りに魔力を吸われる感覚がして、ビアンカ様の画像が現れる。


『いらっしゃい、マコト、コリンナ、首尾良くマニュアルは手に入れられたみたいね』

「やかましい、とっとと飛空艇のありかをはきなさいっ」

『ノーノー、私が教えちゃうと自分で手に入れた感が減るでしょ。みんなのドレスの為だから頑張れ、後輩』


 くっそー。


『コリンナにはお近づきのしるしに、これ上げるー』


 壁の一部が動いて、メガネが落ちてきた。

 ……、なんで、デザインが元のと一緒なんだ?


「くれるんですか?」

『うん、看破のメガネー、魔術で偽装している存在とか一目で看破できるよ』


 それは便利!


「へー、うわっ、すごく良く見える、これはすごいっ!」

「もっとデザインを洗練させた奴にすれば良いのに」

『んー、まあ、いろいろ事情があるのよ、うぷぷぷ』


 なんか、ビアンカさま悪巧みしてんな、これ。

 まあ、コリンナちゃんのメガネが良くなれば美味しいし、付加効果も凄いな。

 だが、美容にはとても良くない。

 ただより高い物は無い、という前世のことわざが浮かんだんだが。


「これは凄いです、良いんですか、ビアンカさま」

『私だと思って、ずっと付けていてね』


 これはコリンナちゃんの美貌を隠す作戦かなあ。

 なんだろうか。


「よし、これで変装してる悪者も一網打尽だっ」


 あ、これは、ポッティンジャー十傑衆の中に魔術で変装する奴がいるんだな、そうなんだな。

 先読みチートの人は困るなあ。

 まあ、いいけど。


『それじゃ、マコっちゃん、飛空艇探し、がんばってね~、うふふ~っ』


 まったく、クソうぜえ。

 役に立たない悪聖女さまめ。

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― 新着の感想 ―
[一言] コリンナちゃんがそこら中に隠し扉やら隠しスイッチ見つけて大変なことに? そういえば看破した場合は看破してることは自覚出来るのだろうか
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