表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

215/1514

第212話 カロルと一緒に大浴場で入浴

 みんなでぞろぞろとペントハウスを出て、エレベーターに乗り込む。

 が、七人パーティになっていたので二人余る。


「カロルと私は後で行くから、先に大浴場に行ってて」

「了解いたしましたわ」

「大浴場でまた」


 みんなはエレベータで行ってしまった。

 なんで、一基しか無いんだろうか。


 だんだん西空が赤くなって夕暮れが近づいてきている感じ。

 温度もちょっとだけ下がったかな。


「ちょっと寒くなってきたわね」

「うん、春だけど朝夕は寒いよね」


 カロルがぷるぷるっと震える。

 私は後ろから抱きつく。


「なーにするのっ!」

「寒いからっ、まだ寒いからっ!」

「いきなり抱きつかないでっ」

「しかたがないんや、気温が悪いんやっ」


 なんか、視線を感じるので振りかえると、ゆりゆり先輩がペントハウスの窓からこちらを食い入るような目で凝視していた。

 私たちがエステル先輩と喋っている間に帰っていたのか。


「「……」」


 さすがに離れる。


「エレベーター早くこないかなあ」

「そうね」


 エレベーターが戻ってきたので乗り込む。 

 ゆりゆり先輩に手を振ると、彼女も振りかえしてくれた。


「ああ、こんな肌寒い時にはお風呂が一番だなあ」

「……」


 ちえ、無視かよう。


 チン。


 エレベーターを降りて、廊下を歩き、階段を降りて地下大浴場へ。


 みんな脱衣所にいて、もう服を脱いでいる子もいるね。

 寒いからついでに入っていくかな。


 服を脱ぎ始めると、カロルが嫌な顔をする。

 いいじゃんよう、お風呂で服を脱ぐのは当然ですよ。


「しょうがないわね、もうっ、アンヌ」

「はい、お嬢様」

「お? おおっ?」


 カロルが服を脱ぎ始めた。


「寒いから今日は特別よっ」

「おおおおおっ! カロル~~」

「裸で抱きつかないでよっ!」


 周りの七人が、おお~という歓声と拍手がわいた。


 というか、エステル先輩も、もう脱いでおるな。


 うっふっふ、お風呂、お風呂、カロルとお風呂。


「特別だからねっ、一回だけだからっ」

「うっひひひひーっ!」


 あー、テンション上がるテンションあがるーっ!


 入浴剤を持って、大浴場に入る。


「わ、来ましたわ、金的令嬢風呂の元をもってらっしゃるわ」

「聖女派閥の方と、エステルさまよ」

「やはり山を張って正解でしたわ」


 お、今日は意外に夕方風呂の人が多い。


 一人のお嬢さんが裸ん坊で寄って来た。


「マコト様っ! ありがとうございます、聖女の湯の元ですねっ!」

「前のと違って、入浴剤用に新しく作った奴だよ」

「わあああっ! 楽しみです、楽しみですっ!」


 カロルと並んで湯船に薬剤を入れていく。


「分量の感じが解らないわね、前回の効きっぷりを見る限り、これだけの量はいらない気がするわ」

「半分でも大丈夫かなあ」

「とりあえず、今日は全部入れて、次は三分の二とか、減らして行ってみましょうか」


 わたしは、瓶から薄桃色の薬液を垂らした。

 ぶわりとお湯の中で白色に変わり、そして透明に変わって行く。

 ハーブの香りがただような。


 そして、カロルの肌が白い。

 肩甲骨~、あばら~、もうちょっとお肉がついてもいいんじゃないかなあ。


「もうっ!」


 ボカリ。


 裸をじろじろ見ていたら、カロルにはたかれました。


 ああ、しかし、ラベンダーの良い匂いがするね。

 ツムラのバスクリンみたいな匂いだ。


「わあ、良い匂い、お花畑に居るようですわ」

「まあ、メリッサさまったら、詩人ね」

「やーね、言わないでマリリン」


 さて、お風呂に入ろうではないか。

 また、夕食後は混み合うんだろうなあ。

 聖女派閥特典であるよ。


「あ”~~~~」


 ああ、なんだか、染みこむ染みこむ。


「ああ、これは凄いわね」


 私の隣にカロルが入ってきた。

 治療効果とかは解らないけど、疲労回復効果は強そうね。

 しかも良い匂い。


「これは良いねえ、月曜日には入れなかったんだけど、これは確かに毎日入りたい」

「そうですよ、エステル先輩、毎日開催してください」

「あまり頻繁にやると、マコト君の負担がね」

「だんだんと考えるから、今のところは週二回で我慢してね」

「はい、解りました、ありがとうございます、マコトさま」


 ああ、なんか嫌な予感がすると思ったら、大神殿でも入浴剤をほしがりそうだなあ。

 リンダさんが明日ぐらい来そうな予感。

 大神殿も女神様がお風呂好きという設定の元、大浴場があって、信者の善男善女が入ったり、神官さんや尼さんが入ったりしている。

 二十本もあっという間に溶けそうだなあ。


 まあいいや、念願叶ってカロルと一緒にお風呂に入れたんだから。

 いや、極楽極楽。


「わあ、新しい入浴剤なんですね。すごい、良い匂い、お肌つるつる」


 レイラさんがお湯を両手ですくいながらそう言った。


「ああ、良いねえ、マコトさまさまだ」

「コリンナさまの素顔はお綺麗ですね、どうしてあんなメガネを?」

「王都の法衣貴族なんか貧乏なんですよ。お金が無いので」

「それは世知辛いですね。貴族なのに、賃金差が酷いですね」

「まあ、下っ端役人はお情けで貴族扱いですからしょうがないですね」


 はあ、暖まる。

 お風呂サイコーッ!!



よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。

また、下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] マコトさん、カロルと一緒にお風呂という悲願達成!
[気になる点] 下の話で申し訳ないが、聖女の湯にカロルが入ったら膜が再生しないかなとか考えてしまった。 醜聞の事実がある以上その辺は関係ないのかな。
[良い点] おおぉ、カロルさんがデレました!愛しくて尊いです〜
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ