第201話 今日のお昼はコイシちゃんお勧めの北方料理
カロルは酷くご立腹で更衣室で着換えて、A組に帰る間も、私の頬をむにむにとひねっていた。
そんなに怒るなよう。
うひひひひ。
さて、昼食だなあ。
どうするかなあ、三日連続でひよこ堂はちょっと何だし。
自分の席で頭をひねっていると、カーチス以下、B組の面子がやってきた。
ブーーーッ!
吹き出してしまった。
「ななな、なんだよっ、マコト!」
「カ、カーチスもつやつや~~。うはははははっ」
「う、うるせえよ、昨日風呂に入ったらこうなったんだ」
「僕……が、……マコトの……入浴剤を……入れた」
「お前の仕業か、エルマーっ!」
エルマーはこくこくとうなずいた。
「これは……、すごいな、野蛮なブロウライト卿がつやつやだな」
「うるせえよ、ジェラルドッ!! 男がつやつやでも意味なんかねーよ」
「いやいや、凄いね、これは、クレイトン卿もすごいけど、ブロウライト卿もすごいね」
「ケビン王子、しげしげと見るのは止めてくださいよ」
「ああ、これは失礼」
まったく、イケメンどもが見つめ合うんじゃねえよ。
妄想がはかどるぢゃないか。
ケビン×カーチスは有りだな。
うん。
「で、今日はどうしようか、キンボールさん」
「王子はビビアンさまとランチしなくて良いんですか?」
「彼女とは、火曜日と木曜日だよ」
「え、昨日は?」
「さぼっちゃった、あはは」
さぼっちゃったじゃないよ。
ビビアンさまとしては、ケビン王子が敵対派閥に寝返ったも一緒じゃないですか。
「ビビアンさまに言って、振り替えで今日にしてもらいなさいよ」
「えー、聖女派閥と一緒のランチの方が楽しいんだよ~」
「それは同意しますな。ポッティンジャー公爵派閥は虚飾が多くてあまり楽しい会食にはなりませんから」
いや、お前が止めろよジェラルド、けしかけてどうすんだ。
「明日はあっちに行くからさ、今日はいいでしょう?」
まったく、キラキラした笑顔で言いやがってよう。
王子様はよう。
「今日だけですよ、来週は行ってくださいね」
「解ってる、解ってるよ、キンボールさん」
まあ、ポッティンジャー公爵派とのランチが気詰まりなのは解るけどなあ。
ビビアンさまとデボラさんだからなあ。
あと、マイクーと。
そんなに嬉しくはないよね。
「で、どこ行くんだ?」
「街の中級食堂とか開発したい」
「ふむ、そうだな、パンばかりじゃ飽きるか」
「だれか、美味しくて安いお店しらない?」
コイシちゃんがおずおずと手を上げた。
「北部料理の食堂なら知ってるみょん」
「「「「……」」」」
「しょ、しょっぱくはないみょんっ!」
まあ、物は試しと言うしね。
不味くても、後で笑い話になるか。
「ええと、十五人ぐらい入れるの? お昼だけど」
「結構大きい酒場みょん、ランチもやってるみょんよ」
「じゃあ、行ってみようか、案内をよろしくね、コイシちゃん」
「了解だみょん」
ケビン王子が思案顔だ。
「北部料理? 食べた事がないね」
「しょっぱいのですかな」
「まあ、物は経験だね、いってみようか、ジェラルド、ロイド」
「僕はかまわないよ。北部料理は食べた事があるよ、北部出身の女の子と。ちょっとしょっぱめぐらいだったよ」
あいかわらず、タラシだな、ロイドちゃんは。
みんなで、ぞろぞろと教室を出て廊下を練り歩く。
コリンナちゃんが思案顔だ。
「お金無い?」
「あるがー、外食はしたことがあまりないので、気詰まりだな」
「お金使うの嫌いだよなあ」
「金は使うとなくなる」
「マコトの入浴剤の帳簿を付けてくれたら、お給金を出すわよ」
「また、なにかやるのか?」
「ちょっと、事業拡大よ」
「ドライヤーの方の帳簿もあるじゃん、給金はだすよー」
「そうか、ならば良いかな」
「ランチぐらいはお金使わないと、楽しくないわよ」
「部屋にキッチンが着いてたら、お弁当を作るのに」
コリンナちゃん、料理できるのか。
「どんなお弁当を作るの?」
「ハムサンド」
「ひよこ堂で買えや-」
校舎の出入り口でゆりゆり先輩が合流した。
「今日は外食ですの?」
「コイシちゃんのお勧めのお店に行くんだー」
「しょっぱいんですの?」
「しょっぱくないみょんっ!」
まあ、コイシちゃんが毎日お塩をどばどばかけているのをみんな見てるからねえ。
聖女派閥と国王派閥の混成隊は校門を出て、王都を練り歩くよ。
ぶらぶらぶらぶら。
コイシちゃんは、ひよこ堂の前を通り過ぎ、裏道の方に入った。
ここらへんは商業区であるから、裏通りでも治安はそんなに悪く無い。
まあ、凄い剣を下げた、カーチスと、カトレアさんと、エルザさんが居るのでチンピラはよってこないね。
大聖堂の裏手を通る。
「あ、聖女さん、こんちゃーっす」
「こんちゃーっす」
「あれ、律儀な不良ども、何してんの大神殿で」
にこやかに笑うチンピラは、この前絡んできた律儀な不良どもだ。
「リンダさんに雇われましたー」
「聖女さんに迷惑を掛けた分、寺男として働けといわれやして」
「そうなんだ、がんばれな」
「「了解っすー」」
ま、まあ、奴らはチンピラだが律儀な面もあるから良いのかな。
孤児たちが、彼らの足下にまとわりついていた。
子供にも懐かれてるか。
そんなに悪い奴らでもないのか。
大神殿裏を少し行くと、その店はあった。
北方酒場、鰊の波亭だ。
はたして、ランチはどれくらいしょっぱいのだろうか。
期待が高まる。
よろしかったら、ブックマークとか、感想とか、評価とか、レビューとかをいただけたら嬉しいです。
励みになりますので。
下の[☆☆☆☆☆]で評価していただくと、この作品が成長して、いろいろな展開に繋がるので、是非ご検討くださいませ。




